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第二章
『波紋』(3)
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専用ゲートへと消えていった少年のことを思い返しながら、金髪パープルこと塚井駆は何か引っかかった。
会場へと向かっていた足が自然と止まり、道のど真ん中で思案する。
「そう言えば、彼とは『ソクラテス』の試験運転の日に初めて会ったんだったな」
実は後日、改めて『ソクラテス』と向き合った際に塚井は測定不良に不自然な点を発見していた。
尊敬する教授に褒められたせいで舞い上がって、自分の見解を見失いかけていたのだ。
今になって、大きな見落としに気付こうとしていた。
『考えられる可能性はですねぇー、観測対象が『ソクラテス』の範囲ギリッギリにいた、もしくわぁー、受信不良を起こしたことですかねぇ?』
いつだって自分に正解を与えてくれたはずの教授の言葉に、初めて違和感を覚えたのだ。
「あのとき教授は測定範囲のギリギリだと言った……ギリギリならもっと大量のエラーメッセージが出るんじゃないか?」
そう、ここは十二学区。
測定範囲がパレット全域程度の範囲だったとしても、範囲外は無人ではない。
エラー対象と同じように測定範囲の境界線上に十二学区の生徒たちがいくらでも存在する。
だから測定の有効範囲などと言う曖昧な線引きで測定値にエラーが出るとは思えなかった。
いかなる対象だったとしてもスペック範囲内なら、数値が記録され、範囲外ならデータは残らない。
この二つしか結果は存在しないはずなのだ。
振り返るとあのときは気付かなかったが、やんわりと遠回りに『ソクラテス』の改修を止めろと言われた、とも捉えられなくはない。
(そうだとしたらどうなる? あの二件のエラーは……純粋に『ソクラテス』のスペック外の魔力を受信したと言うことに?)
エラーメッセージが表記される理由は魔力が過少か、過剰。
過少は理解できるが、その逆は俄には信じられない。
しかも片方に至っては種類さえも特定できない魔力なのだ。
(二件?……ふたり――)
どっと汗が噴き出す。
あの日始めて出会った、無能と評した二人。
それは誰の同伴者だったのか。
まさか、と顔を上げるが少し前に見送った背中はもう見えない。
仮に再び出会うことがあれば、その目で現実を見定める必要がある。
会場へと向かっていた足が自然と止まり、道のど真ん中で思案する。
「そう言えば、彼とは『ソクラテス』の試験運転の日に初めて会ったんだったな」
実は後日、改めて『ソクラテス』と向き合った際に塚井は測定不良に不自然な点を発見していた。
尊敬する教授に褒められたせいで舞い上がって、自分の見解を見失いかけていたのだ。
今になって、大きな見落としに気付こうとしていた。
『考えられる可能性はですねぇー、観測対象が『ソクラテス』の範囲ギリッギリにいた、もしくわぁー、受信不良を起こしたことですかねぇ?』
いつだって自分に正解を与えてくれたはずの教授の言葉に、初めて違和感を覚えたのだ。
「あのとき教授は測定範囲のギリギリだと言った……ギリギリならもっと大量のエラーメッセージが出るんじゃないか?」
そう、ここは十二学区。
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エラー対象と同じように測定範囲の境界線上に十二学区の生徒たちがいくらでも存在する。
だから測定の有効範囲などと言う曖昧な線引きで測定値にエラーが出るとは思えなかった。
いかなる対象だったとしてもスペック範囲内なら、数値が記録され、範囲外ならデータは残らない。
この二つしか結果は存在しないはずなのだ。
振り返るとあのときは気付かなかったが、やんわりと遠回りに『ソクラテス』の改修を止めろと言われた、とも捉えられなくはない。
(そうだとしたらどうなる? あの二件のエラーは……純粋に『ソクラテス』のスペック外の魔力を受信したと言うことに?)
エラーメッセージが表記される理由は魔力が過少か、過剰。
過少は理解できるが、その逆は俄には信じられない。
しかも片方に至っては種類さえも特定できない魔力なのだ。
(二件?……ふたり――)
どっと汗が噴き出す。
あの日始めて出会った、無能と評した二人。
それは誰の同伴者だったのか。
まさか、と顔を上げるが少し前に見送った背中はもう見えない。
仮に再び出会うことがあれば、その目で現実を見定める必要がある。
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