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2:憂鬱の本当の始まり
オウジの歓迎会
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荷物を置いて一息。
旅の疲れもあるだろうと、しばらく俺を一人にしてくれるそうだ。世話をするものを傍にと言われたんだけどそれは必要ないと言う。
嘆きの『花鳥の国』では、皆自分の事はほとんど、自分でする。
部屋の掃除なんかは、いない間にしてもらうけど、着替えとか。そういうのは式典の時だけだ。
最低限の事は自分でする、としつけられる。それはまぁ、子供が多いからだと思うけど。全員分、侍女をつけるとかお金の無駄だし。
ということでヒースさんと相談して、俺も最低限ということにしてもらった。お風呂の湯を沸かしてもらったり、お茶が飲みたければお願い程度。けど、俺に主に対応する人はあとでよこすと言っていたっけ。
それも常にいてくれなきゃいけないなんてことはないから、自分で必要あれば声をかけると言うことにした。
聞けば王様も、ほとんど自分で自分の事をすると。じゃあ、それと合わせてくれって感じだ。
慣れるのにちょっと時間はかかるかもしれないけど、きっとその方が迷惑をかけないだろうし。
俺はちやほやされに来たんじゃなくて、勉強しにきたんだから。
けど、この正装については一人では無理だな。あとで手伝ってもらおう。
しわができるからすぐ出すんだ、と言われたそれはもう遅かった。うーん、これはしわ取りしてもらうべきかな。
と、それとにらめっこしていると扉をノックする音。返事をすると女の人がひとり、入ってきた。
「初めまして、ララトア様。わたくし、ララトア様のお手伝いをさせていただくミアと申します」
年の頃は、母上くらい。おちついた柔らかな雰囲気のちょっとふくよかな女の人だった。
にこにこと笑み浮かべる彼女に、俺もよろしくお願いしますと頭をさげる。
そして、さっそくお願いごとだ。
「あの、さっそくなんですけど……国からもってきた正装にしわが入ってしまってるので、これをちゃんとしてもらえますか?」
「はい、お任せください」
「それと……かしこまられるのは苦手なので。ちょっとずつ親しくしてもらえると嬉しいです」
「ええ、私もかわいい息子ができたような気持ちですよ」
そう言って微笑んでくれる。それに俺はほっとした。
この人は頼って大丈夫だなって、思えたからだ。
「それにしても……正装は布一枚なのですね」
「あ、はい。その布を最後に体に巻いて、装身具で固定というか……それを着るのは一人では難しいのでちょっと手伝ってもらうことになるけど。まぁ着る機会なんて」
「まぁ! でしたらいそいでしわとりをします! ララトア様の歓迎パーティーをしますし、折角ですので正装をされては?」
「え!?」
「あら、お聞きになってはいらっしゃらない?」
「えっ、えっ、まったく聞いてません」
「……少々お待ちくださいませ」
か、歓迎パーティー!? な、なんだそれ俺は聞いてない。
ミアさんはすすすと部屋を出て行って、しばらくするとヒースさんを連れて戻ってきた。
ヒースさんは、お話してませんでしたっけと言う。されてません!
「ああ、それは申し訳なく……ばたばたして忘れていたのでしょう。明日、王と重臣とで歓迎の宴をと話していまして……その後、国を守る騎士達の前にも顔をだしと」
「ちょ、なんかそれ、派手じゃないですか?」
「そうですか?」
「お、俺はそういう歓迎を受けにきたわけではなくて勉強しに来ただけで……その、正直それは分不相応というか……」
「なるほど。かしこまりました。では歓迎の宴だけで」
できたらそれもやめてくれていいんだけどー!
でも、城に部屋を借りてるからそれはさすがに、かな。うぅん……なるべく質素にこじんまりでと、俺はお願いした。
するとヒースさんは、では歓迎の晩餐くらいではいかがでしょうと妥協案を出してくれた。
どうしても歓迎会はしたいんだな、というのはわかる。じゃあ、それでと俺は頷いた。
「そういえば正装をお持ちとか。折角ですのでその姿を見せてくださいませんか?」
「晩餐会でですか?」
「ええ。私はあの国に行きませんでしたので、見せていただけると嬉しいです」
そう言われると、わかったと頷くしかなく。
「それから、嘆きの『花鳥の国』の王族の方は歌がお上手とお聞きしたのですが」
「あっ、歌は駄目です」
「え?」
「俺は下手なので、人前で歌うほどのそれではないので」
「またまたそんな、ご謙遜を」
「いいえ、歌えば国の恥になりますから、許してください」
いやいや、これはマジだから!
俺はそれはどうあっても回避しなければならない。むりむり。絶対に歌わないから!
ヒースさんはどうしてもという風に追いすがらずそうですか、と微笑んでくれた。
俺は謳わなくていいことにほっとした。本当に俺の歌は、やばいのだ。
俺のクオリティが当たり前だと思われたら困る。だから歌わない。絶対にだ。
それから、歓迎会から晩餐会に変更になったので、ヒースさんは調整をしてくると言って出ていく。
ミアさんはよかったですねと微笑んでくれた。俺もほっとしている。
そして、この後にミアさんがお茶を淹れてくれたのだけれど、あたたくてほっとするような味わいだった。
旅の疲れもあるだろうと、しばらく俺を一人にしてくれるそうだ。世話をするものを傍にと言われたんだけどそれは必要ないと言う。
嘆きの『花鳥の国』では、皆自分の事はほとんど、自分でする。
部屋の掃除なんかは、いない間にしてもらうけど、着替えとか。そういうのは式典の時だけだ。
最低限の事は自分でする、としつけられる。それはまぁ、子供が多いからだと思うけど。全員分、侍女をつけるとかお金の無駄だし。
ということでヒースさんと相談して、俺も最低限ということにしてもらった。お風呂の湯を沸かしてもらったり、お茶が飲みたければお願い程度。けど、俺に主に対応する人はあとでよこすと言っていたっけ。
それも常にいてくれなきゃいけないなんてことはないから、自分で必要あれば声をかけると言うことにした。
聞けば王様も、ほとんど自分で自分の事をすると。じゃあ、それと合わせてくれって感じだ。
慣れるのにちょっと時間はかかるかもしれないけど、きっとその方が迷惑をかけないだろうし。
俺はちやほやされに来たんじゃなくて、勉強しにきたんだから。
けど、この正装については一人では無理だな。あとで手伝ってもらおう。
しわができるからすぐ出すんだ、と言われたそれはもう遅かった。うーん、これはしわ取りしてもらうべきかな。
と、それとにらめっこしていると扉をノックする音。返事をすると女の人がひとり、入ってきた。
「初めまして、ララトア様。わたくし、ララトア様のお手伝いをさせていただくミアと申します」
年の頃は、母上くらい。おちついた柔らかな雰囲気のちょっとふくよかな女の人だった。
にこにこと笑み浮かべる彼女に、俺もよろしくお願いしますと頭をさげる。
そして、さっそくお願いごとだ。
「あの、さっそくなんですけど……国からもってきた正装にしわが入ってしまってるので、これをちゃんとしてもらえますか?」
「はい、お任せください」
「それと……かしこまられるのは苦手なので。ちょっとずつ親しくしてもらえると嬉しいです」
「ええ、私もかわいい息子ができたような気持ちですよ」
そう言って微笑んでくれる。それに俺はほっとした。
この人は頼って大丈夫だなって、思えたからだ。
「それにしても……正装は布一枚なのですね」
「あ、はい。その布を最後に体に巻いて、装身具で固定というか……それを着るのは一人では難しいのでちょっと手伝ってもらうことになるけど。まぁ着る機会なんて」
「まぁ! でしたらいそいでしわとりをします! ララトア様の歓迎パーティーをしますし、折角ですので正装をされては?」
「え!?」
「あら、お聞きになってはいらっしゃらない?」
「えっ、えっ、まったく聞いてません」
「……少々お待ちくださいませ」
か、歓迎パーティー!? な、なんだそれ俺は聞いてない。
ミアさんはすすすと部屋を出て行って、しばらくするとヒースさんを連れて戻ってきた。
ヒースさんは、お話してませんでしたっけと言う。されてません!
「ああ、それは申し訳なく……ばたばたして忘れていたのでしょう。明日、王と重臣とで歓迎の宴をと話していまして……その後、国を守る騎士達の前にも顔をだしと」
「ちょ、なんかそれ、派手じゃないですか?」
「そうですか?」
「お、俺はそういう歓迎を受けにきたわけではなくて勉強しに来ただけで……その、正直それは分不相応というか……」
「なるほど。かしこまりました。では歓迎の宴だけで」
できたらそれもやめてくれていいんだけどー!
でも、城に部屋を借りてるからそれはさすがに、かな。うぅん……なるべく質素にこじんまりでと、俺はお願いした。
するとヒースさんは、では歓迎の晩餐くらいではいかがでしょうと妥協案を出してくれた。
どうしても歓迎会はしたいんだな、というのはわかる。じゃあ、それでと俺は頷いた。
「そういえば正装をお持ちとか。折角ですのでその姿を見せてくださいませんか?」
「晩餐会でですか?」
「ええ。私はあの国に行きませんでしたので、見せていただけると嬉しいです」
そう言われると、わかったと頷くしかなく。
「それから、嘆きの『花鳥の国』の王族の方は歌がお上手とお聞きしたのですが」
「あっ、歌は駄目です」
「え?」
「俺は下手なので、人前で歌うほどのそれではないので」
「またまたそんな、ご謙遜を」
「いいえ、歌えば国の恥になりますから、許してください」
いやいや、これはマジだから!
俺はそれはどうあっても回避しなければならない。むりむり。絶対に歌わないから!
ヒースさんはどうしてもという風に追いすがらずそうですか、と微笑んでくれた。
俺は謳わなくていいことにほっとした。本当に俺の歌は、やばいのだ。
俺のクオリティが当たり前だと思われたら困る。だから歌わない。絶対にだ。
それから、歓迎会から晩餐会に変更になったので、ヒースさんは調整をしてくると言って出ていく。
ミアさんはよかったですねと微笑んでくれた。俺もほっとしている。
そして、この後にミアさんがお茶を淹れてくれたのだけれど、あたたくてほっとするような味わいだった。
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