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2:憂鬱の本当の始まり
オウサマの夜這い
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やってくれたなこんちくしょう!
到着して、簡単に荷物片付けて。
王様に夕食は一緒にって誘われたけど、疲れてるしあんまり腹減ってないからって断って軽食をもらって。
風呂にながながと使ってふーっと一息。
もう寝てしまおうと寝室にはいると、そこで王様が本読みながら優雅に過ごしている。
俺に気付けば笑いかけてくるわけで。
「やあ」
「やあ、ってなんですか……俺、部屋の鍵は締めて」
「窓は開いていたよ」
そこからか!
王様は苦笑して、勝手に入ったのは悪いと思ったんだけどねと言う。
悪い。とても悪い。その気持ちは表情に出ていたのだろう。
「少し、話ができればと思って。別に夜這いに来たわけでは……いや、した方が意識してくれたかな」
「帰れ!」
思わず。
咄嗟に出た言葉に失敗したと思う。さすがに帰れと言うのは。
けれど王様は気にしないで良いと笑う。
「いいよ。もう少し君と話がしたくて。ララトア、座って」
促されて、対面の椅子に座る。
ふかふかのソファなんて寝室にはいらないんじゃ、と思ったけどあってくれてよかった。
「まず、着いて早々食事に誘ってごめん。疲れてるのに、凝った夕食なんて確かにしんどかったなと思って」
「ああ、いや……俺こそ断ってすみません」
「この国の料理は口に合うかな? 嘆きの『花鳥』の国は……どちらかというと菜食だろう?」
「あ、美味しかったです! サンドイッチを貰ったんですけど野菜もしゃきしゃきしてて。肉も味がしっかりついてて驚きました」
「驚く?」
「あ、ええと……他国から人を招くときは、ちゃんと味がついてると思うんですけど。いつもは俺達、薄味の食事が常だったので。味が濃くて驚いたっていうか……」
「ああ、なるほど」
国が違えば食事の質も変わると身を以て知ったわけだ。
王様は薄味が良いならそうするけれど、と言う。いや、俺のためにわざわざそうしてもらうわけにもいかない。
それに郷に入っては郷に従え、ってやつだ。
「それは薄味が恋しくなったときにお願いします。せっかく猛き『獅子の国』に来たんだから……この国の物を味わいたいなと」
「そうだね。きっとそれが良い。それなら服も、こちらのものを誂えると良い。国ではどうしていたの?」
「あ、お古貰ってました」
「お古……着古し?」
「はい。兄上たちの。まだ着れたし……」
「……」
「あっ、べ、別にお金がなかったからとかじゃないんですよ! ちゃんといいのも持ってたけど、俺は街に遊びに出たりとかもしてたし、服を汚す作業もしてたので」
王様が黙って神妙な顔をする。もしかして服を貰って着るとかはここではダメなのか?
いや、それはないだろう。ないと思いたい。
けれど王様を何か、思案させるには十分だったのだろう。
「ララトアは服を新しく買ったりなどは、あまり好きではなかったのかな」
「必要ないならいらないでしょう」
「それもそうだな。うん、やっぱり無駄はもっと削減してしまっていいよね」
「本当に要らない物ならいいんじゃないですかね」
物にはいろいろな使い道がある。俺が使えなくても、他の誰かは使えるかもしれない。
そういう考え方は、一族皆がしていた。服なんかはその最たるもの。
着古して黄ばんだシャツでも、土いじりをする俺にとってはありがたいものだった。そして俺が着古した服を掃除好きな妹がぞうきんにしてた。
「この国では、そういう使い回しっていうか……使えなくなったものを欲しい人がもらって使うってないんですか?」
「いや、あるよ。子供の服を着回しっていうララトアがやっていたのと同じようなことはある。けれど新しいものを買えばいいのだからわざわざ進んでそれを好んで使うか、というとそうでもないという感じかな」
これは国ごとの特色かな。他の国にいけばまた違うだろうし。
「王様は嘆きの『花鳥の国』以外にも行ったことはあるんですか?」
「あるよ。それより……王様はないんじゃないかな?」
「……ベスティアさん」
そう、と王様は笑う。
王様は王様で、やっぱりまだ名前でぱっと呼べるほどの距離感じゃないんだよなぁ。
王様もきっとそれはわかっているんだろうと思う。
「さて、あまり長居しては君の疲れもとれないか。よければ明日の朝食に招きたいんだが」
「……起きれたら」
「そうか。来てくれるのを待っているよ」
来いとは言わず、待っているという。
そう言われてしまうと、行かなきゃいけない気になってしまうじゃないか。
王様はお休みと言って部屋を出ていく。
ちゃんと扉からだ。俺はその背中を見送って、部屋に鍵をかけ。そして窓を閉めに行く。
「あれ、窓、どこも開いてないんだけど……入ってから締めたのかな……」
うーんと思いながら首を捻る。
でも、まぁいいかと寝台に入ればそこはふかふかしていて。俺はすぐさま眠りに落ちた。
到着して、簡単に荷物片付けて。
王様に夕食は一緒にって誘われたけど、疲れてるしあんまり腹減ってないからって断って軽食をもらって。
風呂にながながと使ってふーっと一息。
もう寝てしまおうと寝室にはいると、そこで王様が本読みながら優雅に過ごしている。
俺に気付けば笑いかけてくるわけで。
「やあ」
「やあ、ってなんですか……俺、部屋の鍵は締めて」
「窓は開いていたよ」
そこからか!
王様は苦笑して、勝手に入ったのは悪いと思ったんだけどねと言う。
悪い。とても悪い。その気持ちは表情に出ていたのだろう。
「少し、話ができればと思って。別に夜這いに来たわけでは……いや、した方が意識してくれたかな」
「帰れ!」
思わず。
咄嗟に出た言葉に失敗したと思う。さすがに帰れと言うのは。
けれど王様は気にしないで良いと笑う。
「いいよ。もう少し君と話がしたくて。ララトア、座って」
促されて、対面の椅子に座る。
ふかふかのソファなんて寝室にはいらないんじゃ、と思ったけどあってくれてよかった。
「まず、着いて早々食事に誘ってごめん。疲れてるのに、凝った夕食なんて確かにしんどかったなと思って」
「ああ、いや……俺こそ断ってすみません」
「この国の料理は口に合うかな? 嘆きの『花鳥』の国は……どちらかというと菜食だろう?」
「あ、美味しかったです! サンドイッチを貰ったんですけど野菜もしゃきしゃきしてて。肉も味がしっかりついてて驚きました」
「驚く?」
「あ、ええと……他国から人を招くときは、ちゃんと味がついてると思うんですけど。いつもは俺達、薄味の食事が常だったので。味が濃くて驚いたっていうか……」
「ああ、なるほど」
国が違えば食事の質も変わると身を以て知ったわけだ。
王様は薄味が良いならそうするけれど、と言う。いや、俺のためにわざわざそうしてもらうわけにもいかない。
それに郷に入っては郷に従え、ってやつだ。
「それは薄味が恋しくなったときにお願いします。せっかく猛き『獅子の国』に来たんだから……この国の物を味わいたいなと」
「そうだね。きっとそれが良い。それなら服も、こちらのものを誂えると良い。国ではどうしていたの?」
「あ、お古貰ってました」
「お古……着古し?」
「はい。兄上たちの。まだ着れたし……」
「……」
「あっ、べ、別にお金がなかったからとかじゃないんですよ! ちゃんといいのも持ってたけど、俺は街に遊びに出たりとかもしてたし、服を汚す作業もしてたので」
王様が黙って神妙な顔をする。もしかして服を貰って着るとかはここではダメなのか?
いや、それはないだろう。ないと思いたい。
けれど王様を何か、思案させるには十分だったのだろう。
「ララトアは服を新しく買ったりなどは、あまり好きではなかったのかな」
「必要ないならいらないでしょう」
「それもそうだな。うん、やっぱり無駄はもっと削減してしまっていいよね」
「本当に要らない物ならいいんじゃないですかね」
物にはいろいろな使い道がある。俺が使えなくても、他の誰かは使えるかもしれない。
そういう考え方は、一族皆がしていた。服なんかはその最たるもの。
着古して黄ばんだシャツでも、土いじりをする俺にとってはありがたいものだった。そして俺が着古した服を掃除好きな妹がぞうきんにしてた。
「この国では、そういう使い回しっていうか……使えなくなったものを欲しい人がもらって使うってないんですか?」
「いや、あるよ。子供の服を着回しっていうララトアがやっていたのと同じようなことはある。けれど新しいものを買えばいいのだからわざわざ進んでそれを好んで使うか、というとそうでもないという感じかな」
これは国ごとの特色かな。他の国にいけばまた違うだろうし。
「王様は嘆きの『花鳥の国』以外にも行ったことはあるんですか?」
「あるよ。それより……王様はないんじゃないかな?」
「……ベスティアさん」
そう、と王様は笑う。
王様は王様で、やっぱりまだ名前でぱっと呼べるほどの距離感じゃないんだよなぁ。
王様もきっとそれはわかっているんだろうと思う。
「さて、あまり長居しては君の疲れもとれないか。よければ明日の朝食に招きたいんだが」
「……起きれたら」
「そうか。来てくれるのを待っているよ」
来いとは言わず、待っているという。
そう言われてしまうと、行かなきゃいけない気になってしまうじゃないか。
王様はお休みと言って部屋を出ていく。
ちゃんと扉からだ。俺はその背中を見送って、部屋に鍵をかけ。そして窓を閉めに行く。
「あれ、窓、どこも開いてないんだけど……入ってから締めたのかな……」
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一部に翻訳ソフトを使用しています。
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本当にありがたく思います。
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