21 / 35
2:憂鬱の本当の始まり
オウサマのおためし
しおりを挟む
手を繋いで地下迷宮の外に出る。
オウサマはゆっくり、俺の手を離した。
「また来る?」
「来れるなら、来たいです」
「わかった。もう少し時間をとれるようにしておくよ」
「あの、絵のところから動かないから、あそこに連れて行って貰えれば一人で過ごせるので」
「うん、それはダメだよ。君があの周囲から離れないとも限らないし」
そ、そこは信用してもらうしかない。
というより、あそこだけできっと、俺は何時間だっていられる。
「あそこは安全な場所だけど……いつまで安全かはわからないし」
「?」
「……城にいる人は皆知ってるんだけど。ああ、信じているかどうかは別だよ」
「はい」
「地下迷宮は……たとえるなら、そう。生きているんだ」
「生きて?」
なにそれ、どういうこと? 生きているって、動いている、とか?
んん? と変な声が出てしまった。
オウサマはだから、いつどこがどう変わるのかわからないという。
しかし、猛き『獅子の国』の王にはカミサマからの加護があるという。
「迷宮の中で迷子になれば戻ってこられない。この中で迷子になると迷宮に喰われるっていうんだけど、王だけは喰われない」
「それがカミサマからの加護?」
「そうだよ。だから、中に入るなら僕と一緒じゃないとダメ」
なんか、そんな抽象的な表現と思う。
でも、迷宮に喰われるか。そう言いたくなる雰囲気だったこともわかる。
俺はおとなしく、わかったと頷いておいた。
「今度、他の場所にも案内してあげるから。ララトア、折角だから昼食も一緒にどうかな?」
ね? とにこにこ言われて。
まぁ、いいかなぁと思ってしまったのだ。
オウサマは無理に何か求めることも……呼び捨てにしてとかは言うけど。
強制しているわけじゃないし。別に、嫌いではない。好きでもないけど。
俺が良いですよと頷くと、嬉しそうに緩く微笑む。
じゃあこっちとオウサマは俺を案内する。
それはふつーに、城にある食堂だった。
えっ、オウサマ、ここで食べるの? 部屋とかに豪華なの持ってこさせるものだと思ってたんだけど!!
周囲みれば、皆別に慌てている様子もない。つまり、これは日常的な、あたりまえの事なのだろう。
「城の食堂の料理は美味しいんだよ。いくつかあるけど、ここは騎士や文官の利用が多いんだ。僕もここが一番近いから、ここにくる」
「へー……俺はいつも、別の食堂ですね。シェラに……あ、友達に連れて行ってもらってます」
「……友達」
「はい」
オウサマはちょっと黙ってしまった。なんだ?
変な感じだ。
けど、すぐにいつもの調子で今日のメニューは二つだよと言う。
肉か、魚かというとこで、俺は肉にする。するとオウサマは魚を選んでいた。
食堂は、トレイをもってその上に一つずつ。サラダ、スープ、付け合せの小鉢、メイン、パン。デザートはフルーツらしい。
俺もオウサマにならってとって、こっちにと案内される方へ。
ん? 皆はそのまま見えてる席につくのに、オウサマはどこへ。
すると、階段があって少し高い場所にいくつか席が作られていた。
「さすがにね、同じ場所で食べると皆の方が委縮しちゃったりもあるから」
「ああ、確かに……」
こっちの席は僕や高官たちが使うんだとオウサマは教えてくれた。
うん。楽しく、美味しい食事とりたいのに上司がいたら、確かに食べ辛いわ。わかる。
オウサマは一番過ごしやすい席に向かう。他に誰もいなくて、貸切みたいな感じだ。
「どうぞ。といっても僕が作ったものじゃないけど」
「はい、いただきます」
まずスープひとくち。コンソメの味おいしい。
それからまずどれも一口ずつ食べていく。おいしい。
なんだ、ここの料理、いつもいってる食堂より、おいしいのでは。
「どうかな」
「とても美味しいです」
「よかった」
オウサマは笑って、自分も食べ始める。
その間、なんとなく会話は無くて。どっちも黙って食べていた。
そして食べ終わって、しばらくして。
「ララトア、僕は色々と考えてみたんだけど」
「はい」
「君に振り向いてもらいたいから頑張ろうと思ってた。でも半年で君は、帰っちゃうつもりなんだよね」
「その予定で来てますから」
「だからね、ちょっと僕と……お付き合いしてみない?」
「……えーっと……それじゃあ、俺はこれから学校いくので失礼します」
「いや、待って。お願いだから」
立ち上がろうとした俺をオウサマは引き留める。
いや、だって何言ってんだって感じだ。
突然のお付き合いしてみない、という。どういうことだよ!
「いきなりお付き合いしてみないって言って困惑」
「困惑じゃないです。拒否です」
「……拒否するのは、わかるよ。けど、ものは試しというので……僕に許可をくれないかな」
「どんな、許可ですか」
「君にもうちょっと、近く接すること」
それはどういう事だろうか。
俺はじとーっとした視線をオウサマに向ける。
オウサマは、近くって言うのは恋人にするような事をってことだけどと言う。
それはアウトではなかろうか!
そう思っていると、もちろんキスやら、そういう事はしないって。
当たり前だろう!! 俺はそれ望んでない。もしそんなの、無理矢理してくるのなら、俺は帰る。
この遺跡の居城に未練はたらたらだけど、俺は! 帰る!
「だって君、普通に接したくらいじゃなびいてくれる感じがまったくないから」
「普通に?」
「普通にだよ。正直、その……恋するなんて初めてでどこまでどう、接したらいいかわからなくて」
「は?」
は、初めて?
めちゃくちゃモテそうな顔して、初めて!?
何言ってんだこいつ。
本当に何言ってるんだ、このオウサマ。
オウサマは、だからねと笑う。だからなんだよ。
「めいっぱい、俺が恋人になったらしたいことをララトアにさせて欲しい」
「……た、例えば?」
「そう……だなあ……」
オウサマはしばし考える。
そして、俺に笑みを向けた。
が、それは今まで俺に向けていた笑みではなくて。
なんていうか、昼間から駄目だろみたいな色香を全開で。とろけるような。
優しげな視線、けど、なんかいつもと違う。
うわ、うわなんだそれやめろ、やめてくれと思うような、そんな笑み。
「――好きだよ、ララトア」
そして、いつもより熱を帯びて若干低い響きの声が、俺の鼓膜を震わせる。
「ッ!! ッ!!!」
「って言う感じで」
「こ、こんな、あ、あんた、な、なに」
あわわわわと俺は上手に、言葉が紡げない。
オウサマはそれも楽しんでいるようで、こうしてふるまいたいんだけどどうかなと問いかけてくる。
どうかなって、どうもこうもない。
こんなの続けられたら俺は、おかしくなってしまう。そう、思った。
かーっと顔に熱が集う。やばい、これはやばい。俺は、こんなの続けられたら、きっと、いやきっとじゃなくて。
確実に、流されてしまう。流されて、好きにさせられてしまいそう。
無理無理無理。
「どうかな、ララトア」
ま、またそういう、俺の心震わすような声色で、名を呼んでくる!
オウサマは楽しそうだ。だから、俺がどう感じてるかなんかわかってるんだろう。
そうだよ、そういうの隠すの下手なんだよ。顔面に、今全部、羞恥も動揺もなにもかも出てるに違いない!
これはダメだと俺の何かが言っていて、ここで断るべきなのだと思う。
けれどなぜかそうできないのは、俺の心がもう、揺らされているからなんだろう。
「ララトア」
「そ、そんな気安く呼ぶな……」
「気安く、ではないけれど……」
完全にオウサマのペースだ。
にこにこ笑いやがって、ちくしょう。好意を向けられ続けて、それを弾けないのは俺の弱さなのかもしれない。
そもそもこれを弱さというのも違う気も、するけれど。
けれど、これは断るべきだろう。無理だ、俺が耐えられない。
そう思って、俺は口を開こうとした。
「王!」
けど、それが弾けるような声でふさがれてしまった。
視線向ければ、そこには息切らせて。走ってきたであろうヒースさんの姿があった。
オウサマはゆっくり、俺の手を離した。
「また来る?」
「来れるなら、来たいです」
「わかった。もう少し時間をとれるようにしておくよ」
「あの、絵のところから動かないから、あそこに連れて行って貰えれば一人で過ごせるので」
「うん、それはダメだよ。君があの周囲から離れないとも限らないし」
そ、そこは信用してもらうしかない。
というより、あそこだけできっと、俺は何時間だっていられる。
「あそこは安全な場所だけど……いつまで安全かはわからないし」
「?」
「……城にいる人は皆知ってるんだけど。ああ、信じているかどうかは別だよ」
「はい」
「地下迷宮は……たとえるなら、そう。生きているんだ」
「生きて?」
なにそれ、どういうこと? 生きているって、動いている、とか?
んん? と変な声が出てしまった。
オウサマはだから、いつどこがどう変わるのかわからないという。
しかし、猛き『獅子の国』の王にはカミサマからの加護があるという。
「迷宮の中で迷子になれば戻ってこられない。この中で迷子になると迷宮に喰われるっていうんだけど、王だけは喰われない」
「それがカミサマからの加護?」
「そうだよ。だから、中に入るなら僕と一緒じゃないとダメ」
なんか、そんな抽象的な表現と思う。
でも、迷宮に喰われるか。そう言いたくなる雰囲気だったこともわかる。
俺はおとなしく、わかったと頷いておいた。
「今度、他の場所にも案内してあげるから。ララトア、折角だから昼食も一緒にどうかな?」
ね? とにこにこ言われて。
まぁ、いいかなぁと思ってしまったのだ。
オウサマは無理に何か求めることも……呼び捨てにしてとかは言うけど。
強制しているわけじゃないし。別に、嫌いではない。好きでもないけど。
俺が良いですよと頷くと、嬉しそうに緩く微笑む。
じゃあこっちとオウサマは俺を案内する。
それはふつーに、城にある食堂だった。
えっ、オウサマ、ここで食べるの? 部屋とかに豪華なの持ってこさせるものだと思ってたんだけど!!
周囲みれば、皆別に慌てている様子もない。つまり、これは日常的な、あたりまえの事なのだろう。
「城の食堂の料理は美味しいんだよ。いくつかあるけど、ここは騎士や文官の利用が多いんだ。僕もここが一番近いから、ここにくる」
「へー……俺はいつも、別の食堂ですね。シェラに……あ、友達に連れて行ってもらってます」
「……友達」
「はい」
オウサマはちょっと黙ってしまった。なんだ?
変な感じだ。
けど、すぐにいつもの調子で今日のメニューは二つだよと言う。
肉か、魚かというとこで、俺は肉にする。するとオウサマは魚を選んでいた。
食堂は、トレイをもってその上に一つずつ。サラダ、スープ、付け合せの小鉢、メイン、パン。デザートはフルーツらしい。
俺もオウサマにならってとって、こっちにと案内される方へ。
ん? 皆はそのまま見えてる席につくのに、オウサマはどこへ。
すると、階段があって少し高い場所にいくつか席が作られていた。
「さすがにね、同じ場所で食べると皆の方が委縮しちゃったりもあるから」
「ああ、確かに……」
こっちの席は僕や高官たちが使うんだとオウサマは教えてくれた。
うん。楽しく、美味しい食事とりたいのに上司がいたら、確かに食べ辛いわ。わかる。
オウサマは一番過ごしやすい席に向かう。他に誰もいなくて、貸切みたいな感じだ。
「どうぞ。といっても僕が作ったものじゃないけど」
「はい、いただきます」
まずスープひとくち。コンソメの味おいしい。
それからまずどれも一口ずつ食べていく。おいしい。
なんだ、ここの料理、いつもいってる食堂より、おいしいのでは。
「どうかな」
「とても美味しいです」
「よかった」
オウサマは笑って、自分も食べ始める。
その間、なんとなく会話は無くて。どっちも黙って食べていた。
そして食べ終わって、しばらくして。
「ララトア、僕は色々と考えてみたんだけど」
「はい」
「君に振り向いてもらいたいから頑張ろうと思ってた。でも半年で君は、帰っちゃうつもりなんだよね」
「その予定で来てますから」
「だからね、ちょっと僕と……お付き合いしてみない?」
「……えーっと……それじゃあ、俺はこれから学校いくので失礼します」
「いや、待って。お願いだから」
立ち上がろうとした俺をオウサマは引き留める。
いや、だって何言ってんだって感じだ。
突然のお付き合いしてみない、という。どういうことだよ!
「いきなりお付き合いしてみないって言って困惑」
「困惑じゃないです。拒否です」
「……拒否するのは、わかるよ。けど、ものは試しというので……僕に許可をくれないかな」
「どんな、許可ですか」
「君にもうちょっと、近く接すること」
それはどういう事だろうか。
俺はじとーっとした視線をオウサマに向ける。
オウサマは、近くって言うのは恋人にするような事をってことだけどと言う。
それはアウトではなかろうか!
そう思っていると、もちろんキスやら、そういう事はしないって。
当たり前だろう!! 俺はそれ望んでない。もしそんなの、無理矢理してくるのなら、俺は帰る。
この遺跡の居城に未練はたらたらだけど、俺は! 帰る!
「だって君、普通に接したくらいじゃなびいてくれる感じがまったくないから」
「普通に?」
「普通にだよ。正直、その……恋するなんて初めてでどこまでどう、接したらいいかわからなくて」
「は?」
は、初めて?
めちゃくちゃモテそうな顔して、初めて!?
何言ってんだこいつ。
本当に何言ってるんだ、このオウサマ。
オウサマは、だからねと笑う。だからなんだよ。
「めいっぱい、俺が恋人になったらしたいことをララトアにさせて欲しい」
「……た、例えば?」
「そう……だなあ……」
オウサマはしばし考える。
そして、俺に笑みを向けた。
が、それは今まで俺に向けていた笑みではなくて。
なんていうか、昼間から駄目だろみたいな色香を全開で。とろけるような。
優しげな視線、けど、なんかいつもと違う。
うわ、うわなんだそれやめろ、やめてくれと思うような、そんな笑み。
「――好きだよ、ララトア」
そして、いつもより熱を帯びて若干低い響きの声が、俺の鼓膜を震わせる。
「ッ!! ッ!!!」
「って言う感じで」
「こ、こんな、あ、あんた、な、なに」
あわわわわと俺は上手に、言葉が紡げない。
オウサマはそれも楽しんでいるようで、こうしてふるまいたいんだけどどうかなと問いかけてくる。
どうかなって、どうもこうもない。
こんなの続けられたら俺は、おかしくなってしまう。そう、思った。
かーっと顔に熱が集う。やばい、これはやばい。俺は、こんなの続けられたら、きっと、いやきっとじゃなくて。
確実に、流されてしまう。流されて、好きにさせられてしまいそう。
無理無理無理。
「どうかな、ララトア」
ま、またそういう、俺の心震わすような声色で、名を呼んでくる!
オウサマは楽しそうだ。だから、俺がどう感じてるかなんかわかってるんだろう。
そうだよ、そういうの隠すの下手なんだよ。顔面に、今全部、羞恥も動揺もなにもかも出てるに違いない!
これはダメだと俺の何かが言っていて、ここで断るべきなのだと思う。
けれどなぜかそうできないのは、俺の心がもう、揺らされているからなんだろう。
「ララトア」
「そ、そんな気安く呼ぶな……」
「気安く、ではないけれど……」
完全にオウサマのペースだ。
にこにこ笑いやがって、ちくしょう。好意を向けられ続けて、それを弾けないのは俺の弱さなのかもしれない。
そもそもこれを弱さというのも違う気も、するけれど。
けれど、これは断るべきだろう。無理だ、俺が耐えられない。
そう思って、俺は口を開こうとした。
「王!」
けど、それが弾けるような声でふさがれてしまった。
視線向ければ、そこには息切らせて。走ってきたであろうヒースさんの姿があった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結済】「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる