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キ、キスくらいしたことあるわっっっ!
しおりを挟むあまりのショックに声が出ない。
「っなっなっなっ………」
「ん?いいよ、尚樹って呼んで。」
そう言ってニヤリと笑いながら、わたしの身体に指を這わせる幸田尚樹。
「っばっ!っなっ!ふっっふっ…」
私の身体はプルプル震え出した。
「ふふっ。感じる?震えちゃって。かーわいー。」
顔が熱い。いや、全身熱い。怒りによってだがな!
「ふ、ふ、ふざけんなあああっ!!!!」
そう叫んで、めちゃくちゃに暴れてみるが…。
はい。無理でした。忘れてたけど、わたし、前後不覚になるくらい飲んだんでした……。
「……う…ダメだ…グルグルするぅぅ………。」
目が回る感覚に瞼をぎゅうっと閉じた。
「おっと、大丈夫か?」
そうして腕を放してくれたから、わたしは腕を額にのせ目を閉じて目眩をやり過ごす。
「結衣子。」
大きな手に頬を撫でられて薄く目を開けば、目の前に幸田尚樹の顔が。
「っっっっ⁉︎」
いきなり口づけてきて私の唇を割り開き、冷たい水を流し込んできた!
「っっん!…むぅ…」
ゴクリと飲んで目を見開いたら、目の前で半裸の幸田尚樹がもう一度水のペットボトルを呷ったところだった。そうしてまた顔を近づけてくるから、わたしは焦って顔を逸らしたが、顎を掴まれてもう一度唇が重なった。
「…っんんっっ……。」
また水を流し込まれて、飲みこんだ。
そのまま我が物顔でわたしの口内に押し入ろうとするヤツの舌を押し出そうと奮闘する。
が、
逆にねっとりと舌が擦れ合って
…気持ちいい…
ヤツの熱い舌が口内を撫で回す。キスってこんな気持ちいいもの…なの…?
「…ん…」
思わず声が出て、自分の声に恥ずかしくなった。
唇が離れると、ツゥーっと糸を引いた。ヤツはそれをペロリと舐めとり、チュッと軽くキスをしてきやがった!
思わず唇を両手で押さえたわたしはヤツを睨みつける。
が、
「眩暈は?治ったか?」
心配そうに覗きこんできた幸田尚樹に、調子が狂った。
思わず素直に首を縦に振ってしまった。
「もっと飲む?」
そう言ってペットボトルを小さく掲げる。
わたしは慌てて、今度は首を横に振った。
フッと笑ったヤツは
「真っ赤になっちゃって。かわいいな、結衣子。」
そう言って私の髪をサラサラ梳きながら、おでこに、目元に、と、チュッチュ、チュッチュやってくる。
「なぁ、おまえが処女なのは確信してるんだが。」
私は口を覆ったまま目を剥く!何言ってやがるこのエロ魔人!
「もしかしてキスも始めて?」
「アホか!き、きすくらいしたことあるわっっっ」
思わず手を離して叫んだが、慌ててもう一度両手で口を覆い隠した。
キスとは言っても高校生の時の唇を触れ合わせただけの一回だけだが、キスはキスだ!
「…ふーん…、キスはした事あるんだ?」
薄く笑った顔がこーわーいーー!!
いや、目が笑ってないし!何怒ってらっしゃるのかしらーーーー?!
「自分で聞いといてなんだが。やっぱムカつくわ。」
私はふるふると頭を振り続ける。
じゃきくなっっ。
幸田尚樹は冷淡な笑みを浮かべながら、顔を近づけてきた。
コワイコワイコーワーイー!!!
「ほら、手退けろ?」
唇を覆う私の手にもキスを繰り返す。
「そのキスの記憶、塗りかえてやる。」
イヤダ!喰われるーーーー!!!
チュッチュッと繰り返されるバードキス。そう、バードキス、かわいいバードキス!の、はずが!
なぜこんなに恐怖心を煽るのか⁈
ドキドキなのか、ぞわぞわなのか、バクバクなのか⁈ もう、何かわからないけど、とにかくわたしの心臓、口から飛び出しそうよ!この手離したら、内からも外からも大変な事になるぅぅぅぅぅっ!!!!
そして
目をすがめた幸田尚樹は
わたしがなかなか手を動かさないことに焦れたのか、在ろう事かヤツは…舐めやがった!舐めやがったよわたしの手を!
指の間をヤツの舌が這う。
至近距離で私を見つめながら、私の指の間を舌で舐っていく…。
獰猛な視線に目をそらすことができず。指の間に舌をねじ込まれて……。
ゾクゾクと背中が疼いて
「…ぅんっ」
と、声が出たっ。
ナニコレ⁉︎ ヤダ!これヤバイーーー!!!
「っや、やめっ」
耐えきれなくなり、思わず手を外して叫んだら、また両手を頭の上に片手で拘束された。
ニヤリと笑ったヤツはゆっくり顔を近づけてきて……
逃げられずに口を塞がれた。
柔らかい唇がやわやわと押し付けられて、そのうちにヌルッと生温かいモノでチロチロと唇を舐められた。そのまま下唇に柔く吸い付かれて、身体の奥がキュウっとなった。
唇を食まれて、吸われて、キモチ良くて…力が抜けた。フッと笑った気配がして、いつの間にか閉じていたらしい目を開いたらヌルッと分厚い舌が入ってきた!力が入らず、もうどうしていいか分からずにされるがまま、わたしは白旗を掲げたのだった…。
「もういい加減諦めろ。おまえは俺のもんだ。」
唇を離してそう言った幸田尚樹の唇が濡れて艶めいていて…。
その言葉にハッと我にかえった。
「ふ、ふざけんなっ!いつわたしがあんたのものになったのよ!」
「そりゃもう出会った時から決まっていた。」
「ハァ⁉︎ 誰が決めたんだ!わたしは許可した覚えはないぃぃ!!」
わたしは体を捩ってヤツの拘束から逃れようとするが、全くビクリともしない!この筋肉バカめ!
「会社中知ってるぞ。おまえは売約済みだって。だから誰もおまえにモーションかけてこないだろう?」
「私は!わたしのもんだぁぁぁっっ!!それにわたしは物じゃないっっ!てか、アンタのせいか!わたしに彼氏ができないのはっ!」
「だから、おまえの彼氏は俺。」
「アホも休み休み言えっ!」
「照れんなよ。会社で俺たち”幸田夫妻”って呼ばれてるじゃないか。忘れたとは言わせない。」
「それは!アンタが!こうやってふざけてわたしに絡んでくるからだろーが!」
あはははっと爽やかに笑った幸田尚樹は
「こうキャンキャン噛み付いてくるところが、またツボなんだよ。おまえ可愛すぎ。」
そう言って目尻にキスをしてきた。
「アンタは変態かっ!被虐嗜好ならおとなしくSMクラブにでも行きやがれっ!」
そう叫ぶと、幸田尚樹はハッとしたように目を見開いた。
「…そうか、俺、自分はSだって思ってたけど……実はMだったのか!」
ブリザード並みに!冷たく!冷ややかに!睨んでやったら
「…やべ、これだけでイケそう…俺マジでMだった…」
と、ほっぺた赤く染めて宣いやがった!
マジデシネ
冷気をブオーッと吹き出してやってると言うのに、バカは怯まない。
どころか。
楽しそうに笑ってやがるー!!!こーわーいー!
なんだよ!その甘ーい眼差しは!くっそ!チュッと可愛くキスなんてするんじゃねーっ!
「止めろ!このオンナホイホイ!そうやって女タラし込んで来たんだろうけどな!わたしは騙されないぞ!離せ!誰がアンタなんかにわたしの処女やるかっ!」
あ、しまった!
勢い任せに口を滑らせたわたしに、幸田尚樹は満面の笑みで喜んだ。
「やった!処女バンザイ!!」
「やらねーっつってんだろがっ!」
「おれのもの♡」
「アンタみたいな女ったらしとは、ぜっっっったいに!ヤダ!!」
「あのな…。ほんとおまえヒドイ…。…まぁ……確かに大学までは来るもの拒まずだったよ。」
目を逸らしながらそう言う幸田尚樹を冷たく睨んでやる。
「大学のときの話しだぞ!? でも別にこっちからタラし込んだんじゃないし、向こうから寄ってきたんだ…。」
そう言ってまた目を逸らしやがった。後ろめたい証拠じゃないか!
「ほら見ろ最低タラシオトコめっ!」
「いや、だから!あのな、入社しておまえに会ってからは誰とも付き合ってないし!」
「そうだねーただのセフレだもんねー彼女たちかわいそー。」
「寝てない!」
「嘘つくな!アンタの下半身の犠牲になった女の子たちに土下座して謝れっ!この節操なし!」
「嘘じゃねぇ!」
「会社内で手は出してないかもしれないけどな!よく外でかわいいお嬢さんたちを待たせてるじゃないかっ!会社まで来させて自慢か⁉︎ 待ち合わせならシャレオツなカフェにでも行きやがれっ!」
「そりゃ、向こうが勝手に待ち伏せしてるだけだ!めんどくさいからいつも撒いてるじゃないか!おまえも知ってるだろうっ。」
「そうだよ!わたしをダシにしやがって!勘違いしたお嬢さん方に何度呼び出しくらったと思ってんの!迷惑千万!」
「俺だって迷惑してんだ!あんな俺の外見だけに寄ってくる女なんて真っ平だっつってんだろっ」
「それこそ知ったことか!そのきれーな顔に産んだアンタの親に文句言ってこいっ!」
もう!ほんとムカつくーーーー!!
めちゃくちゃに暴れてやる。
はーなーせーーー!!!
「あーー!ほんとにおまえはっ!」
そう言った幸田尚樹に両手を抑えられて、ベッドに張り付けられた。
「だから!結衣子聞けって!おまえと会ってからのこの二年以上!誰とも寝てないし、キスだってしてない。
確かに大学までは適当なことしてたよ。でももう今はおまえだけだ。おまえのこと好きだって気づいてからは、一切誰にも触れてない。」
そう言って、真剣な表情で見つめてきた。
「好きだ。」
ドクンドクンドクン………
心臓が口から出てきそうなほどドキドキする…。
「俺はおまえが好きだ。」
「確かに不真面目なことをした時期もあったけど、でも自分から好きになったのはおまえだけだ。多分おまえが俺の初恋だ。」
そう言ってゆっくりと唇を押し付けてきた。優しいキスに心が揺れる。赤くなった顔で恥ずかしそうにはにかむ顔を初めて見た。
思わず全身から力が抜けて、見惚れてしまった。
真剣な告白にちょっとだけときめいていたのに!
ニヤリと笑ったヤツは、
「結衣子だって俺のこと好きだろ?」
それこそ上から(私を組み敷いたままなのでね…ええ…ムカつくことに)、上から目線で言いやがって、ニヤつきながら流し目くれやがって…
ムカつくーーーーーーっっっっ!!!
最低タラシオトコ 改め 自意識過剰勘違いオトコ って呼んでやるっ!
だがしかし!
……ムカつくことに
ぇえっと……
……まぁ……その…
……………事実なので……
真っ赤になった私は、口をパクパク開けたり閉めたしながら、敗北を確信したのである……
だから!これは!何の罰なのでしょーかあああああっっっっ!!
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