1 / 26
プロローグ
しおりを挟む
(どうして僕がこんな目に…)
いつもと変わらない静かな夜のはずだった。
庭に置かれた質素なテーブルには自分たちで育てた野菜料理、近くの川で取ってきた魚を焼いたもの、ちょっと固い黒パンがおいしそうな香りを漂わせながら綺麗に並べられている。それらをランプの明かりと月明りが照らし出し、テーブルを囲み大切な人たちといつも通り心地よく静かな夜を過ごすはずだった。
僕たちが暮らしていた家は燃え上がる炎に包まれ、暗い宵闇を赤々と染め上げている。綺麗に並べられた料理はテーブルごとひっくり返され見るも無残にあたりに散らばり先ほどまで鼻孔をくすぐっていた美味しそうな料理の面影をなくしていた。
(僕が、僕たちがお前たちに何をしたって言うんだ…)
僕たちが丹精込めて作った畑や花壇は、見るも無残に踏み荒らされていく。
(なぜ僕から大切なものを奪うんだ…)
鈍色の鎧をまとった2人の男に押さえつけられ息苦しさや痛みを感じながらも、僕の視線は目の前に横たわる大切な人と大切な友達から外すことが出来ない。
何十人もの兵士が僕をとり囲み、その中に一人だけ白銀の鎧をまとった大柄の男が何か僕に叫んでいる。
「聞いているのか!!-この異端者め!」
罵倒を浴びせているのだろうか。
白銀の騎士は何かをわめいているようだがそんな事はどうでもいい。
自分の置かれている状況に混乱し、絶望にさいなまれながら
目からは止めどなく涙があふれ、声にならない慟哭をあげ身体は怒りに震える。
サクラ、コロ、――母さん。
もう、我慢しなくていいよね
僕はたくさん我慢したよね
――きっと、許してくれるよね。
『滅ぼしてやる…』
『このクソみたいな世界もろとも、お前ら全員滅ぼしてやる!!』
湧き上がる感情のままに、神から与えられたgift“従属魔作成”を発動する。大量の魔力が消費される。もうどうなってしまってもかまわない。すべてを消し去る事が出来るなら。
ドス黒く深い闇
燃え上がる怒り
とめどなく溢れる悲しみ
深い深い絶望
すべての感情が渦巻き形を成していく。
そして、
僕は大きな慟哭をあげながら、自らのスキルで最恐の従魔を作り出した。
“拝啓、母さん僕は転生したこの異世界を滅ぼすことにしました。”
いつもと変わらない静かな夜のはずだった。
庭に置かれた質素なテーブルには自分たちで育てた野菜料理、近くの川で取ってきた魚を焼いたもの、ちょっと固い黒パンがおいしそうな香りを漂わせながら綺麗に並べられている。それらをランプの明かりと月明りが照らし出し、テーブルを囲み大切な人たちといつも通り心地よく静かな夜を過ごすはずだった。
僕たちが暮らしていた家は燃え上がる炎に包まれ、暗い宵闇を赤々と染め上げている。綺麗に並べられた料理はテーブルごとひっくり返され見るも無残にあたりに散らばり先ほどまで鼻孔をくすぐっていた美味しそうな料理の面影をなくしていた。
(僕が、僕たちがお前たちに何をしたって言うんだ…)
僕たちが丹精込めて作った畑や花壇は、見るも無残に踏み荒らされていく。
(なぜ僕から大切なものを奪うんだ…)
鈍色の鎧をまとった2人の男に押さえつけられ息苦しさや痛みを感じながらも、僕の視線は目の前に横たわる大切な人と大切な友達から外すことが出来ない。
何十人もの兵士が僕をとり囲み、その中に一人だけ白銀の鎧をまとった大柄の男が何か僕に叫んでいる。
「聞いているのか!!-この異端者め!」
罵倒を浴びせているのだろうか。
白銀の騎士は何かをわめいているようだがそんな事はどうでもいい。
自分の置かれている状況に混乱し、絶望にさいなまれながら
目からは止めどなく涙があふれ、声にならない慟哭をあげ身体は怒りに震える。
サクラ、コロ、――母さん。
もう、我慢しなくていいよね
僕はたくさん我慢したよね
――きっと、許してくれるよね。
『滅ぼしてやる…』
『このクソみたいな世界もろとも、お前ら全員滅ぼしてやる!!』
湧き上がる感情のままに、神から与えられたgift“従属魔作成”を発動する。大量の魔力が消費される。もうどうなってしまってもかまわない。すべてを消し去る事が出来るなら。
ドス黒く深い闇
燃え上がる怒り
とめどなく溢れる悲しみ
深い深い絶望
すべての感情が渦巻き形を成していく。
そして、
僕は大きな慟哭をあげながら、自らのスキルで最恐の従魔を作り出した。
“拝啓、母さん僕は転生したこの異世界を滅ぼすことにしました。”
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
俺だけ“使えないスキル”を大量に入手できる世界
小林一咲
ファンタジー
戦う気なし。出世欲なし。
あるのは「まぁいっか」とゴミスキルだけ。
過労死した社畜ゲーマー・晴日 條(はるひ しょう)は、異世界でとんでもないユニークスキルを授かる。
――使えないスキルしか出ないガチャ。
誰も欲しがらない。
単体では意味不明。
説明文を読んだだけで溜め息が出る。
だが、條は集める。
強くなりたいからじゃない。
ゴミを眺めるのが、ちょっと楽しいから。
逃げ回るうちに勘違いされ、過剰に評価され、なぜか世界は救われていく。
これは――
「役に立たなかった人生」を否定しない物語。
ゴミスキル万歳。
俺は今日も、何もしない。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる