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第一章 理想

第2話 変わる日常

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外は少し肌寒くこれから訪れる冬を感じさせていた。
僕は駐車場に散らばったゴミを集めながら物思いにふけっていた。
 
あの時こうしておけば

母さんに苦労かけなければ

母さんの体調の事気にかけていたら

考え出すと後悔の念があふれてくる。

『気持ち切り替えなきゃ。』

僕は駐車場の掃除に専念することにした。たばこの吸い殻や放置された空き缶を集めていく。一つにまとめてごみ箱に捨てようとしたとき遠くから車の音が聞こえてきた。

(配送のトラック来たのかな?)

車の音がどんどん近づいてくる。“速度をおとさないまま”

「ふーっ。タバコでも吸うか」

と山田さんが外に出てきた。ポケットから煙草を取り出し火をつけている。

ふーっと煙を吐き出しながら

「黒木君掃除終わった?」

と、のんきに声をかけてくる。

僕はその問いには答えず走ってくるトラックを指さして

『あのトラックおかしくないですか?』

「めっちゃ飛ばしてんじゃん!遅れてるから焦ってるんじゃね?」

とケラケラ笑っている。

僕はそんな山田さんをほっておきこちらに向かってくるトラックに視線を戻す。

『ちょっとスピード出すぎじゃないですか?』

「確かに、あれじゃ止まれないでしょ!やばくね?」


とやり取りをしているうちにトラックは目前まで迫っていた。


僕は急いで避けようとしたが時すでに遅し。

ダーーーンと大きな音と同時に全身に強烈な痛みが走り、ザラザラした何かが体中に痛みを与える。そのザラザラした痛みがガラスによるものだと理解した時には僕は道路にたたきつけられていた。一瞬遠のいた意識が新たな衝撃に意識が無理やり引き戻される。

一瞬の静寂。その後周りから人の声が聞こえてくる。

「おい!トラックがコンビニに突っ込んだ!人も倒れてる!救急車!」

「うわー。これ絶対死んでるでしょ」

「これYouTubeあげたら伸びるかなー」

事故の音でどこからかたくさんの野次馬が集まってきているようだった。

「うわっ。。。おい!君!だいじょうぶか!」

(うわって。僕そんなにひどい状況なのかな…)

僕の側に誰かいるようだが意識が朦朧としてよくわからない。とにかく何か話さなきゃ。

『・・・あっ、うっ』

声が思うように出せない。
僕の側にいる男性が必死に声をかけてくれているようだが返事をすることが出来ない。

(山田さんは大丈夫だったかな)

(しばらく学校にはいけないな…)

遠くからサイレンの音が聞こえてくる

(このまま死んでもいいかな…)

色々考えているうちに、また僕の意識はゆっくりと闇に落ちていった。

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