世界に蔑まれた黒の転移者 -拝啓-母さん、僕はこの異世界を滅ぼすことにしました。-

天風緋色

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第一章 理想

第6話 懐かしき友

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あたりがまぶしい光に包まれる。自分から力が抜けていく感じがある。おそらく魔力を消費しているのだろうか。その光が徐々に形を成していく。光がおさまるとそこに現れたのは、

「わん!わん!」

そこには一匹の犬?がいた。大きさは1メートルくらいだろうか。普通の犬と大きく違う特徴として頭に一本の角が生えている。

『これが従属魔…』

ステータスウィンドウが表れ種族名が表示された。
 
“一角狼”

どうやら犬ではなかったみたいだ。

表れた従属魔がしっぽを振りながら僕にすり寄ってきた。僕が優しく体をなでてあげるとどうやら喜んでくれているみたいだ。

するとウィンドウが表示された。

“従属魔の個体名を設定してください”

どうやら名前を付けてあげなければいけないようだ。確かに名前がないと不便だな。僕は考えた。
そういえば昔、犬を飼っていたことがあった。友達がいなかった僕の唯一の友達だったその子の名前を付けることにした。

『お前の名前はコロだ。これからよろしくなコロ!』

コロは嬉しいのか僕にじゃれかかってきた。

どうやら名前を気に入ってくれたらしい。僕はコロとしばらくじゃれあった後、寝転がり夜空を眺めながらこれからの事を考え始めた。いつまでもこの拠点にいるわけにはいかない。食料になる木の実はあるがいつまでも木の実だけで食いつないでいくのは難しい。

住む場所も簡易的なシェルターでは大雨や嵐の際にに耐えることは出来ない。このままここに住み続けるのは得策とは言えない。

『とりあえず人が住んでいるところを探そう』

僕が独り言をつぶやくとそれに答えるようにコロが“ワン!”と一声ほえた。

『お前もそう思うか?よし!明日から人探しをしよう!』

僕達はしばらく戯れその日は休むことにした。

母さんが亡くなりずっと孤独感にさいなまれていた僕にとってコロと過ごす時間はとても心地の良い時間だった。
あたりはすっかり暗くなり焚火の明かりが2人を照らしている。知らない土地にいながらも1人ではない事で不安などは一切感じない。

僕は異世界に転移してよかったと感じていた。元の世界は生きるためにただ同じことを繰り返す作業のようなものだった。今はコロと2人で生きていくために考えて行動をしなければならない。先が見えない事に気持ちが高ぶっていた。

予測の出来ない明日が来る。僕はその事に期待を膨らませながら眠りについた。



コロ(種族:一角狼)
ステータス
Lv1
HP65
力20
魔力7
速さ26
運9
スキル:疾風
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