世界に蔑まれた黒の転移者 -拝啓-母さん、僕はこの異世界を滅ぼすことにしました。-

天風緋色

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第一章 理想

第5話 新天地

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僕は湖のほとりに立っていた。

さっきまで居たであろう闇の空間とは違い、風が頬を撫で小鳥の囀りが聞こえてくる。先ほどのやり取りが夢ではなく現実であった事を僕に伝えていた。

『-きれいな所だな。』

僕は目の前の広大な自然に圧倒されていた。
湖の周りにはたくさんの木々が立ち並び湖畔にはたくさんの色とりどりの花が咲いている。
目を閉じ大きく深呼吸をする。心地いい。僕はその場に寝転がる。雲がゆっくりと流れていく。

(ゆっくり空を眺めるなんていつぶりだろう)

僕は目をつむりしばらくの間、この癒しの時間を満喫した。

『そういえば、僕はいったいどんなギフトをもらったんだ?』

ふと闇の空間で光る球体が話していた事を思い出す。イレギュラーである転移者には、ギフトが送られると彼?彼女?は話していた。

『どうやって自分のギフトを調べるんだ?』

球体からもらった知識は、この異世界で生きていく為に必要な知識と言語能力のみでギフトに関する知識はもらっていなかった。

とりあえず異世界転移の“お決まりのセリフ”を言ってみることにした。

『ステータスオープン』

すると目の前にウィンドウのようなものが表れた。どうやら正解だったみたいだ。そのウィンドウには自分の名前と現在のレベルや能力の数値が書かれていた。

『-やっぱり僕って運が低いんだな…。』

自らの運の低さに自虐的な苦笑いしているとギフトの項目に“従属魔創造Lv1”と表示されていた。

『従属魔創造…これが僕のギフトなんだな。』

名前から想像するに従属魔と言う存在を作り出すことが出来る能力なのだろう。あの球体が言っていたその人物が渇望しているモノが与えられるギフトに反映されると。

(渇望に反映されるか…ボッチの俺にピッタリのギフトだな。)

とりあえずギフトについて調べるのは後回しにして、あたりを散策することにした。湖の周りは森に囲まれている。湖のほとりを散策しているとリンゴに似た果実をつけた。球体にもらった知識のおかげでこの木の実が食べられることがわかる。

『便利だな。あの球体に感謝しなきゃだな』

食べ物と水はある。しばらくはここを拠点にすることにして野営の準備をすることにした。自慢ではないが僕は某動画サイトでサバイバルの動画をよく見ている。だからこそ、今この瞬間にワクワクしていた。

木材をあつめ簡易的なシェルターと寝床を作る。苦戦しながらも火をつける事にも成功した頃には空は茜色に染まり始めていた。集めた木の実を食べながら自身のギフトについて考えてみることにした。

焚火のパチパチと木がはぜる音を聞きながら僕はステータスウィンドウを呼び出す。

『ステータスオープン』

ステータスウィンドウが表れる。
ギフトの項目を指で触れてみるとギフトに関する詳細が表れた。そこにはこう書かれていた。

“従属魔創造”
魔力を消費し従属魔を創造する。使役する従属魔は使用者の感情により姿や能力が変化する。

要するに自分の感情が具現化するという事だろうか。

とにかく使ってみない事には詳細が分からないので僕は従属魔創造を使ってみることにした。

『従属魔創造』


【黒木 天】
ステータス
Lv1
HP30
力7
魔力15
速さ8
運3
【従属魔創造Lv1】

一般男性平均
ステータス
Lv1
HP30
力10
魔力10
速さ10
運10

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