世界に蔑まれた黒の転移者 -拝啓-母さん、僕はこの異世界を滅ぼすことにしました。-

天風緋色

文字の大きさ
9 / 26
第一章 理想

第8話 初めての戦闘

しおりを挟む
僕達は互いに距離を取りにらみ合っている。
しびれを切らしたか三体のゴブリンはじりじりと距離を詰めてきた。

「ぐがーっ!!」

一匹のゴブリンがコロに飛び掛かかる。

『コロ!』

コロはゴブリンの攻撃を軽くかわすと一閃、鋭い牙でゴブリンの喉元を掻っ捌いていた。それを見て僕は安堵する。先ほどのコロの動きを見ても残り2匹のゴブリンはひるむ様子もなく今度は僕に向かって襲い掛かってきた。

明らかに“弱そうな”僕を狙ったのだろう。すかさずコロはスキル疾風を使用しゴブリンの眼前に立ちふさがる一匹のゴブリンの攻撃を口で受け止めもう一匹のゴブリンへ向けてゴブリンを放り投げる。ゴブリンたちは鈍い声を上げきりもみながら吹き飛んだ。

それでもゴブリンたちの戦闘意欲は衰えていない。コロを挟み込むように互いに離れて距離をとる。挟み撃ちにするつもりだろう。ゴブリンにはそれなりの知能があるようだ。

コロも流石に挟み撃ちにされては分が悪いかもしれない。僕は近くにあった手ごろな石をつかみゴブリン相手に投石する。投げた石は鈍い音を立て見事ゴブリンの頭に命中し僕の方に意識を向けさせる事に成功した。

すかさずコロがその隙にスキルを使いもう一方のゴブリンの喉笛を喰いちぎっていた。
残るゴブリンは分が悪いと感じたのか最後のゴブリンは逃走を計ったがコロはそれを見逃さない。背後からうなじめがけてくいかかる。

それにより最後に残っていたゴブリンも絶命したようだ。

僕は極度の緊張から解放され身体から汗がどっと吹き出しその場にへ垂れ込んだ。そんな僕に心配したのかコロがそばにすり寄ってくる。

『コロがいてくれてたすかったよ。ありがとな。』

コロはしっぽを振りながら僕の顔をなめてくる。-いや、さっきゴブリンを思いっきり喰いちぎってらっしゃいましたよねコロさん…

すると突然ウィンドウが表れた。
ウィンドウを見ると僕とコロのレベルが上がったことが表示されていた。

『僕は何もしていないけどレベルが上がるんだな。』

僕はレベルが上がる仕組みに仮説を立ててみた。
考えられるのは2つ。

1つは投石によってゴブリンにダメージを与えたことで戦闘に参加したとみなされた。
2つ従属魔が倒したモンスターの経験値はその主人にも反映される。

僕のレベルが上がったのはこのどちらかの理由だろう。
だが考えたところでハッキリとはわからないのでとりあえず今後検証することにして一旦保留することにした。

終わってみるとたっけなかったが、今となって手にじっとり汗をかいていることに気付いた。

ハッキリとわかったことは、こちらの世界でも“死が身近にある”と言う事だ。僕は自分を信じ強く生きるために気を引き締めた。

【黒木 天】
ステータス
Lv1⇒2
HP30+4
力7+2
魔力15+5
速さ8+2
運3+1
【従属魔創造Lv1】


【コロ】(種族:一角狼)
ステータス
Lv1⇒2
HP65+10
力20+3
魔力7+2
速さ26+4
運9+2
スキル:疾風
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

俺だけ“使えないスキル”を大量に入手できる世界

小林一咲
ファンタジー
戦う気なし。出世欲なし。 あるのは「まぁいっか」とゴミスキルだけ。 過労死した社畜ゲーマー・晴日 條(はるひ しょう)は、異世界でとんでもないユニークスキルを授かる。 ――使えないスキルしか出ないガチャ。 誰も欲しがらない。 単体では意味不明。 説明文を読んだだけで溜め息が出る。 だが、條は集める。 強くなりたいからじゃない。 ゴミを眺めるのが、ちょっと楽しいから。 逃げ回るうちに勘違いされ、過剰に評価され、なぜか世界は救われていく。 これは―― 「役に立たなかった人生」を否定しない物語。 ゴミスキル万歳。 俺は今日も、何もしない。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。 ↓ PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。

処理中です...