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5 赤い月が昇る頃、オッドアイの瞳は見つめている。トンネルの向こうに開かれた世界で私を待っているのは誰?
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しおりを挟む「真子!」
真っ白な靄の向こうから蒼の声がした。
どうして蒼が?
何故、私のこと助けにきてくれたの?
こっちの世界の蒼は向こうの世界の蒼とは違うはずなのに!
私は倉田に掴まれていない右手をトンネルの向こうに伸ばした。
蒼はその手を掴んで引っ張った。
思いっきり引っ張られて私はトンネルの向こう側、元いた世界に入った。
それと同時に倉田もこちら側へ来た。
蒼は私を後ろへ追いやって、持ってきていたバットで倉田を思いっきり殴った。
不意打ちを喰らってよろけた倉田を蒼は蹴り飛ばした。
後ろに倒れそうになった倉田をトンネルから出ていた靄が包み込んで、そのまま向こう側の世界へ引きずり込んでいった。
靄は一瞬にして無くなった。真っ白で向こう側が見えなかったトンネルは、何事もなかったかのようにオレンジ色のライトが煌々と照らされて、トンネルの向こう側の世界もいつもの風景に戻った。
見上げると、黄色く光る月が私におかえりと告げた。
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