良心的AI搭載 人生ナビゲーションシステム

まんまるムーン

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7 それは残酷過ぎる現実と無償の愛だった…。ナビ最終章。今、全ての謎が解き明かされる。

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 成田空港に着くと、着ていたダウンを脱がなければならなかった。日本の春は暖かかった。

 ターミナルを移動するモノレールに乗ると、まるで止まっているのかと思うくらい速度がゆっくりと感じた。これに比べたらクローテン空港のモノレールは暴走列車だ…。空港でもうすでに、久しぶりの故郷にカルチャーショックを感じていた。

 入国審査が終わって外に出ると、奈美が待っていてくれているはずだった。迎えに来てくれるという連絡をもらっていたけど、たくさんいる人の中で、どの人が奈美なのか分からなかった。僕にとっての彼女は、最後に会った中学生だった彼女のままだ。髪をスポーツ刈りくらいまで短く切っている少年のような女の子…。

「頼人!」

 名前を呼ばれて振り向いた。

 …え? 

 そこには全く違う女性が立っていた。肩上の前下がりのワンレンで片方を耳にかけ、耳には大きな輪っかのピアス、服装はシンプルで、薄めのニットに細身のジーンズを履いて、コンバースの灰色のハイカットを履いていた。

 僕の名を呼ぶその人は、白い歯を出して僕に微笑みかけていた。その笑顔にドキドキしてしまった。僕の思い出の中の日焼けをした角刈りの男の子みたいな幼馴染は、誰が見ても素敵な女性に変身していた。

「…奈美?」
「あんた! 私の事、忘れたの? 酷い!」
彼女は口を尖らせて僕を睨んだ。
「奈美…女だったんだ…。」
思わず心の声を呟いてしまった。
「失礼にも程があるでしょっ!」
「ご、ごめん…。」
失礼のお詫びにランチを奢ることになった…。




「理人は元気にしてる?」
ラーメンをすすりながら奈美は聞いてきた。
「元気だよ。空港まで車で送ってくれた。」
「そっか~。もう理人も車を運転する年になったんだ~。なんか変な気分~。」

 考え深そうに頷く奈美を横目に、僕はむさぼるようにラーメンを食べた。向こうにいる時、日本のラーメンが食べたくてたまらなかった。

 もちろん都会に行けばラーメン屋を見つける事は出来たけど、ほとんどが日本人ではなく、他のアジア人が経営していて、ラーメンの味は僕が求めていた物とは違っていた。

 そして値段が高い! 一杯2000円以上した。ここまで高いともはや贅沢品だった。都会に行くまでの交通費もこっちの何倍もするのに、さらにそんな高級なラーメンなど食べられるはずがない。

 しょうがなく家でそれらしき物を自作して自分を慰めていた。向こうにいる時はそれでも美味しいと思えたけど、やっぱり日本で食べるラーメンは美味しすぎる! 美味しすぎて涙が出そうだ…。

「ちょっと、頼人! 何年ぶりの再会ってのに、無言でラーメン貪るのはやめなよね!」
「ご、ごめん…旨すぎて…。」
すでに僕は最初の一杯を食べ終えて、替え玉を頼んでいた。

「奈美はどうしてた?」
「私? 普通に大学生だよ。体育大の。バスケもまだ続けてるよ。」
「そっか。でもさすがにもう角刈りじゃないんだね!」
「そ! どう? 女らしくなったでしょ?」
「うん! ビックリした! 理人にも見せてやりたいよ!」

「理人は研究所で頑張ってるの?」
「うん。研究内容は教えてもらえないけどね。まあ、会社の極秘機関で働いてるからしょうがないけど…。」

「そっか。良かった、二人とも元気で。で、頼人はこっちの大学に行くんだっけ?」
「うん。父さんが前に勤めていた大学で、今でも一番仲が良かった友達の教授がいるんだ。設楽教授って人なんだけどさ、その教授のやってる研究が面白そうで、先でその教授のゼミに入りたいって思ってるんだ。」

「そっか~! 楽しみだね! 頑張れ!」
「…俺、何故か分かんないんだけど…ものすごく日本に帰りたくなっちゃってさ…。向こうの生活が嫌になったとかじゃないんだけど…。もしかして…それも…その事に関係してるのかな?」
「…かもね。頼人は、頼人の思うように自分らしくいればいいよ。」
「…そだよね。」

 奈美は僕見ながらニヤニヤしていた。
「…何だよ、ニタニタして…気持ち悪いな…。」
「頼人、大人になったね~。」
「そりゃもう18だし…。」
「向こうでチューくらいはした? …それともそれ以上済ませちゃった?」
僕は飲んでいた水を噴出した。

「何なんだよ! 何年ぶりかにあったってのに、そんな下ネタ…。」
「私の見込み通り、カッコよくなったなって思ってさ! 姉ちゃんは嬉しいよ!」

 そんな事言う奈美の方はどうなんだろ…。
 こんなにキレイに女らしくなったんだから、きっとカッコいい彼氏でもいるんじゃないかな…。

「いないよ!」
僕はまた飲んでいた水を噴出した。

「ちょ、ちょっと! 人の心の中、勝手に読まないでくれるっ!」
「なんてったって私は、もうこの世界を超越した次元の住人だからねっ! そういう行動を介さなくても人と深いところで繋がることが出来るのよ!」

 奈美は僕が何も聞いていないのに、勝手に鼻息交りで自信満々に語った。見た目を変わっても、こんなとこは相変わらず変わってないな。僕は少しホッとした気持ちになった。
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