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しおりを挟む「前世を記憶する子供って、いるらしいもんね…。たいていは、子供の頃覚えてて、大人になるにつれて前世の記憶は無くなるとか言うけど、逆パターンもあるんだね…。」
旭は言った。
「ってかさ、乃海だけずるくない?俺も連れてけって言ったのに!なんだよそれ!まさに俺が求めてるロマンチックラブじゃん!」
類がうらやましそうに呟いた。
あれから毎日放課後自習する俺の周りには、何故か旭と類も居残りして俺の邪魔をしている。
「それにしてもさ、その安藤とかいうヤツ、なんなの!そいつも絶対ノエルの事好きなんだよな!」
類は自分の事のように安藤を憎んでいる。
「安藤って、ノエルの家庭教師らしい。ノエルの母方の親戚で、医大生なんだとさ。ノエルの母方って、みんな高学歴で金持ちみたいでさ、そいつ、大学生で親のスネかじってるくせにでっかいドイツ車乗ってんの。目線がもうはなっから見下してる感ありありでさ、あーーー!思い出すだけで頭くる!」
俺は握っているシャープペンをへし折ってしまいそうだった。
「顔は?」
旭が聞いた。
「…、認めたくないけど悪くは無い。冷たそうでこいつに感情なんかあんのかって感じだけどな。」
「代々金持ちで高学歴、医大生、外車、見た目良しか…、母親がわざわざ家庭教師に連れてくるくらいだから、ノエルの親からも信頼されてるんでしょ?…、乃海、油断は出来ないね…。乃海がこうして毎日自習してる間に安藤センセはノエルに猛アタックしてるかもね…。」
旭は腕組して首をかしげた。
「いや、ノエルは絶対渡さない!俺のもんだ!いくら安藤が親から気に入られているとしても、ノエルは俺の事が好きに決まってる!」
だって、ノエルは由紀子だ!そうに決まってる!
「てか、それ、ノエルに聞いたの?っつーか、あんたノエルに告白したの?」
「…してない。」
「告白もしないで彼氏ヅラするのって、むちゃずうずうしくない?」
「…。」
旭は眉間に皴を寄せて俺を見た。
「なんだよ。」
「あんたはさ、全くわかってない!」
「はあ?」
「普通の女の子にはね、当たり前の儀式がいるんだよ!ま、私くらいの女子高生の向こう側までいった超越者にとっては他人の感情など目を見るだけでわかるけどねっ!若造の心などスケスケのスケルトンっつーわけだ。ま、それは置いといて、乃海が今してるのは、告白してないけど俺の気持ちわかってるよね?これからも会うよね?ずっと一緒にいるよね?って事!コンビニでお金払う前にお菓子食べて、店出る前に金払うからいいだろ?って言ってるのと同じなんだよ!ったくおまえは、女の子の気持ちもコンビニのバイトの気持ちも分かってねーだろ!」
…女の子の気持ちは分かって無かったかもしれないけど、コンビニ店員の気持ちまでわからくてもいいだろ…。
つか、俺、コンビニでそんな事してねーし!
「わかったのなら、私にイチゴクレープのお供えをしたまえ。まだ売店に残っているはず。」
旭は悟りの境地に達したような顔をして俺に言った。
しぶしぶ俺は旭におさい銭を渡すと、旭は売店にすっ飛んで行った。
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