約束

まんまるムーン

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 電話の後なんとなく眠れなくて、おばあちゃんの住んでいた離れに行った。ドアを開けるとまだそこにはおばあちゃんの気配が漂っていた。この家におばあちゃんがいない事が不思議に思えた。おばあちゃんの部屋に入ると、窓から月明かりが差し込んで、あの飴色に輝くラジオを照らしていた。私はおばあちゃんがいつもしていたように、柔らかい布でラジオを磨いた。ふと振り向くと、窓辺の椅子におばあちゃんが座って、私に微笑んでいる幻影が見えた。

「まだおばあちゃんのラジオを乃海君のおじいちゃんに渡せてないなぁ…。」
おばあちゃんの幻影は立ち上がって窓の外の月を見上げた。そして静かに消えていった。私は何故か焦りを感じた。

 出来るだけ早く、このラジオを次の持ち主に渡そう!

 そう思いながら途中だったラジオ磨きを始めた。下の方を磨いている時に、何かが落ちた気がしてラジオを持ち上げてみると、小さな封筒に入った手紙が落ちていた。おばあちゃんが乃海君のおじいさんに宛てた手紙だ!私はクローゼットからおばあちゃんの愛用していた小旅行用のバッグを取り出した。そしてその中に丁寧にラジオを入れた。サイズはちょうど良かった。私は安心した。そしてその手紙を入れてチャックを閉めた。
 
 次、乃海君に会えたら、これを乃海君のおじいさんに渡しに行こう。






「何でおまえがいるの?ってか、君たち何なんだよ?」
安藤が驚いた顔をして言った。

 土曜の10時前、俺と類と旭はノエルの家の前にいた。何も知らない安藤はノンキにノエルの家の前へ車を停めた。

 ふふふ、安藤よ!キサマとノエルを二人きりでデートなどさせるものか!

 類に今日の事を話すと、おもしれ~!絶対俺も連れてけ!と快諾。旭には、何か旨い物が食えるらしいぜ!と言うと、私を連れて行かねば毎晩夢枕に立ってお前を呪う!と、これまた快諾。明日の日曜に、二人は俺の課題を手伝ってくれる事になった。
 あー、友達って、ほんとありがたい!

「ノエルが問題集を買いに行くって言ってたから、ちょうど俺たちも問題集買おうかって思ってた時だったし、じゃ、一緒に行こうかって事になったんだ。よろしくな、安藤先生!」
「何で俺がおまえらまで連れて行かなきゃいけないんだ!」
安藤が嫌そうな顔をして吐き捨てるように言った時、門が開いてノエルが出てきた。
「あれ?乃海君!」
ノエルの顔がパーっと明るくなった。
「ノエル、おはよう!今日、俺たちも行くから。類と旭も連れてきた。」
「えー、ほんと!嬉しい!…課題、大丈夫なの?」
「大丈夫!真の友情が課題までも克服したんだ…。」
「そなんだね!よくわからないけど、よかった!」
ノエルは嬉しそうにくしゃっと笑った。

 可愛いなあ。
 毎日の自習と週末の課題とノエルに会えないストレスでボロボロだった心身が癒されていく~!

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