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九条真の事件簿 第四章「金庫の中身」
しおりを挟む九条は書斎の隅にある金庫をじっと見つめていた。
「この金庫、最近開けられた形跡がありますね。浅倉さん、開けてみてもよろしいですか?」
隆は眉をひそめ、腕を組んだ。
「何を言っているんだ。この金庫の鍵は父しか持っていなかった。それに、そんな勝手なことをされては困る!」
九条は頷きながら金庫を観察している。
「なるほど、なるほど……」
「何が『なるほど』なんですか?」美咲が苛立ち混じりに尋ねた。
九条は指を一本立て、得意げに答える。
「この金庫は最新型の電子ロックではなく、古典的なダイヤル式です。つまり、鍵がなくても開けられる可能性がありますね」
「えっ、それって……」美咲が驚く。
九条は静かに金庫の前に座り込むと、ダイヤルを回し始めた。
「音を聞いてください。この微妙なクリック音がロックのヒントになるのです。探偵として、こういう小技は必要不可欠ですよ」
「まさか、そんな手で開けるなんて……」隆が眉間に皺を寄せる。
九条は慎重にダイヤルを回し続け、数分後、カチリと音が鳴った。
「開きました!」
そう言って金庫の扉を開けると、中から現れたのは数枚の古びた写真と、もう一通の手紙だった。
「これは……父が何かを隠していたのか?」隆が呟く。
九条は手紙を取り出し、慎重に中身を確認する。
手紙の内容:
「私が本当に大切にしてきたもの、それは浅倉家の名誉ではない。家族が互いに支え合い、信じ合うことだ。この金庫にある写真は、家族に伝えたい大切な真実を写したものだ。これを見た者が、次の浅倉家を導いていくべきだろう」
九条は手紙を静かに置き、写真を美咲と隆に見せた。それは幼い頃の家族写真だった。だが、その中に一人だけ見慣れない女性が写っていた。
「この人……誰?」美咲が写真を指差す。
九条は静かに答える。
「この女性が浅倉家の鍵を握っている人物かもしれませんね。お父様が隠していた『真実』が、これで少しずつ見えてきました」
隆は困惑した表情で写真を見つめる。
「父にこんな知り合いがいたなんて聞いたことがない。一体この女性は何者なんだ?」
九条はにこりと笑う。
「それを知るためには、次の現場に行く必要がありますね」
「次の現場?」美咲が首をかしげる。
「ええ、この女性がどこにいるのか、もしくは彼女の痕跡を探すために、もっと情報を集めましょう。ただし、その前に――」
「その前に?」
「一息つくために、甘いものを買いに行きましょう。推理はエネルギーが命ですからね」
美咲と隆は同時にため息をついた。九条のペースに翻弄されながらも、二人は探偵の奇妙な言動が事件をどう動かすのか期待せざるを得なかった。
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