竜吟虎嘯

カク

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第一章

ナポレオン大公Ⅰ

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以下は本小説の第一章の内容でございますが、皆様ご覧ください!

第一章    ナポレオン大公編Ⅰ
 
 「リサ、起きて、行くよ」と、男がベッドに眠ってる女の子の耳元で囁いた。「う、もう、朝か......」瞼をあがいて開く。「昨夜は------すみませんでした」女の子は全裸だったが、体の半分が布団に包まれていた。真っ赤な顔しながら、手で布団の一角を握り締め、少し上のところに上げようとして、隠そうとしてた様であった。その景色に我慢できる男がひとにぎりだろうに、男はただ何気なく女の子に背中を向けたまま着替えをし続けてた。

 「準備は?」しばらくしたら、男が女の子に聞く。「うん、できてます」「では、出発するよ」男がドアを押し開けたら、眩しい日差しが屋内に差し込み、女子の額にも届いた。目眩がして、くなくなと倒れかけの女子は男に支えられた。「今日はちょっと辛いかも、こらえてね」と男が女子を慰めそうに言ってた。「わたくしは平気です。任務はちゃんと遂行しますから、だから、あのう」次の何かを言いかける女子は急に何かに気づいたみたいでやめた。目線の先は顔が真っ暗になっていた男だった。「よし、出るとしよう」男は顔が一瞬で正常に戻り、そしていつもの優しい声で女子に言いかけた。

 森の小屋から街中に行ってきた二人は盛大なパレードを迎えるために大通りの両側に集まってる人ごみの隊列に潜み、あの時を待つと決めた。

 王都に位置するローマ大道はナポレオン大公の英姿を拝見したがる公民達で賑わっていた。王都は外から裏まで三つの同じ形の石壁を持つ区域からなり、正五角の形の城作りであるってことは外来者が城の中心にたどり着くのなら、決まって、三つの石壁にあるそれぞれの検査口を通らなければならないといったことだ。すべての城壁の各角に門があるが、その中で、特殊な機能を持つのはローマ大道が通る凱旋門である。これらの区域は王都の裏にあればあるほど海抜が高く、そして凱旋門が一番上の区域の石壁にある。今回のパレードは神聖ローマ帝国がインディアン連合王国とロラキアフラド三世帝国との戦争で犠牲した兵士達を記念するために行ったのだ。故に、ローマ大道に沿い、凱旋門を潜ってから、戦死した兵士達の名前を凱旋門の終点にある英雄記念碑に刻むというような流れのはずだったが……

 「ね、ね、お姉さん。僕、お母さんがみつからないの」道路の一側で待ち伏せをしてた二人組の女子はどこから来たかわからない坊屋にズボンの裾を軽く掴まれ、坊屋は目を泣き腫らした、無邪気な顔で女子を見上げて願っていた。「??? えっ?ちょっと、え?あのう、違うよ。わたくしは今......」「母さんが見つからないのー、嫌なのー」子供が顔面を両手に埋めて、泣きながらだだを捏ねてくる。「いいから、いいから、一緒に探そう!お母さんを」「うん!お姉さん、ありがとう!」任務の執行まではまだ時間があるし、その時は必ず計画通りの位置につくから、多分大丈夫じゃないかなと思っていたリサは、坊屋の甘えに耐えず、村の家にいる弟のことを思い出したこともあって、一緒にお母さんを探すという約束をしたわけだ。それにリサは元々押しに弱くて、平凡で善良な女の子だ。

 急いで子供の手を握り、早くお母さんを探そうと周りを見回し始めた。「あ、母ちゃんだ!あそこ!あそこ!」「どこ?------あ!あった!よかったね!」とリサは目を坊屋が指した方向に向けていて、微笑んでいた。婦人が慌てて誰かを探している様から見ると、間違いなく、この子のお母さんだと信じたリサは人ごみを抜け、あのお母さんに向かっていった......

 「よし、見晴らしが利く」ある民家の屋上にこっそりと飛び上がってる男は煙突の陰に潜み、独り言を言っている。そして兵士達の配置や脱走方向を確かめてくる。目線がリサに止まった男は何故かほんの少しの笑みを口元に浮かべて、一分弱後男は偵察に戻った。

 辺りに配置された兵士の位置を確認に行ってきた男は、待ち伏せ先でリサの姿を見つけなかったが、冷静を失わずに策を練り始めた。(もう計画通りの時間だが、どうする?やはり一旦退却すべきか?いや、そうすると、バニアの方はどうする?)一瞬にして、男はもはやいくつかの策を脳裏で何回も繰り返して考えたが、なかなか上策を探し当てられず、いつもの冷静さを少しだけは失ったようで、震えてきちまった。周りから見ると、興奮で震えがとまらなく、爆笑を必死に堪えている男だった。そうだ、この男は変な癖がついている、いわゆる今で言う変態だ。この男の名は謎で、知っているのはニックネームだけで、いつもクレージーホストと同業界の同士に呼ばれている。変態でありながらも、一流の腕前の持ち主であるのだ。

 危機であればであるほど、どうしようもなく体の体温が上がっていく体質でどうしよもなく興奮してしまいそうになるクレージーホストにも、まともな人間でいた時期があったそうだが、クレージーホスト自身も思い出せないほど遠い昔の話だ。

 結局、その体質のせいで、彼はいよいよどうしよもなく外道の道をたどるようになった。 

 boom-------!まだ興奮に耽けていたクレージーホストは後ろから爆発音が聞こえて、猛然に振り返った。少しだけ驚愕を帯びた顔だった。

 王都の一番裏にある区域で、英雄記念碑の辺りから振動が伝わってきた。

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