やり直しの異世界転移

記憶を無くした青年

1話 ここはどこ…？

「あれ…ここは…？？」
ふと目が覚めるとあたりは薄暗く、湿っぽい草木が生い茂った森のような場所だった。
「なんでこんなとこに…ここはどこだ？」
目眩と頭痛がひどく、まともに頭が働かない、どんなに考えても倒れる前の記憶が思い浮かばなかった。
「俺は…名前、、何だっけ…」
名前も出てこないことに驚きしかなかった。
立ち上がろうとしても体に力が入らない。どんどん頭痛はひどくなり、また意識を手放しそうになる。薄れていく視界の中に何かが動いた気がした。
「おい…！おま………ぶ…？！」

瞼の中で何かが揺れている。
「…んん……。」
ゆっくりと目を開けるとあたりは薄暗く湿った空気が広がっており、空はうっすらと色づいてきていた。おでこのあたりにくすぐったさを感じ、上に視線を向けると整った顔の赤髪の男が目を閉じて自分を抱き抱えていた。訳が分からない状況だが、その男の腕の中は居心地が良く暖かかった。軽く動いたことで俺を抱き抱えていた男はゆっくりと目を開ける。
「んんっ……はぁ…おはよう、良く眠れたか？」
俺はいまだに頭が冴えておらず、返事をせずにぼんやりとしてしまった。
「俺はグレイ。お前は誰だ？何でったってこんな森の奥深くで倒れてたんだ？」
だんだんと冴えてきた頭でどんなに考えてもその質問の答えは出てこなかった。