42 / 85
フェルディナントに甘み所に誘われたところに宰相の娘が怒って来ました
しおりを挟む
私はフェルディナントを連れて王都案内する大役を終えてほっとした。
「いかがだったのですか、姫様?」
興味津々でサーヤが聞いてきたので、
「ちゃんと案内できたわよ」
私が頷くと、
「いや、それは当然そうだとは思いますが、お二人の間に何か進展はございました?」
「進展と言っても何もないわよ。大聖堂にフェルディナント様を案内して、フェルディナント様の故郷の料理のカリー店に連れて行ってもらって、周りのお店で二人で買い物しただけよ」
私はサーヤの問いに平然と答えていた。私としては何かあっては困るのだ。
「何かプレゼント、もらわれました?」
「プレゼントっていっても……そういえば、ころちゃんにブローチを買ってもらったわ」
「わん」
私が言うと、ころちゃんは自慢そうに首輪のブローチが見えるように胸を張ってくれたのだ。
「うーん、子犬のブローチですか」
残念そうにサーヤが言ってくれたんだけど……
「最後は中央公園の丘の上に夕焼けを見に連れて行ってもらったわ」
「それは王都のカップルのデートの定番コースではないですか!」
サーヤは前のめりに身を乗り出して聞いてくれた。
「で、何があったんですか?」
サーヤが興味津々で聞いてくれた。
「きれいな夕焼けを見て、感激したわ」
私はフェルディナントに言い寄られたことや、それに対してころちゃんが噛みついた件は黙っていようと思った。知られたら二度ところちゃんをデートに同席させてくれそうになかったし、そうなると私としては困るのだ。
「それから、フェルディナント様はどうされたのですか? 姫様の手を握られたとか、そういう事は無かったのですか?」
サーヤが更に熱心に聞いてきたが、
「うーん、どうかな?」
私はそうされたけれど、またサーヤがうるさくなるので黙っていることにしたのだ。
「そうですか? 思ったよりもフェルディナント様は奥ゆかしい方なのですね」
サーヤは少しがっかりしたようだった。
「まあ、でも、姫様との初デートですから、そんなものかもしれませんね」
サーヤは一人で納得してくれているんだけど……
「ちょっと、サーヤ。私はフエルディナント様に王都を案内しただけで、デートでは無いわ」
私はサーヤに反論した。
「何をおっしゃっていらっしゃるんですか? 大国の皇子様が、小国とは言え未婚の年相応の王女であるカーラ様と二人だけでお出かけされたのです。これをデートと言わずして何というのですか?」
サーヤはそう言ってくれたけれど、私としては、デートしたい相手は白い騎士様だけで、フェルディナントはお友達として王都を案内しただけなのだ。
そこははっきりしておきたいんだけど……言い出すと
「また、姫様はそんな夢物語のような事を言い出されて! そもそも白い騎士様なんて言われますけれど、どこのどなたかも判らないでは無いですか!」
全くサーヤには相手にもされなかった。
でも、それはまだそれで良かったのだ。
「姫様とデートに誘われたのですから、またすぐにフェルディナント様からデートのお誘いがあるに違いないですわ」
サーヤがそう言っていたが、そんな事は無いと思うんだけど……
なにしろ、ころちゃんがフェルディナントのお尻に噛みついていたし、それでフェルディナントは私をデートに誘うのを懲りたはずだ。
私がそう思っていた時だ。
私は王宮の庭園をころちゃんを連れて散歩していた。
「わんわん」
ころちゃんが吠えてくれた。
何事だろうとそちらを見たら、フェルディナントがこちら向かって歩いてくるところだった。
フエルディナントが私を見つけてこちらに手を振ってきたので、私は逃げ隠れできなかった。
「これはこれはカーラ様、この前は王都観光に付き合ってくれてとても楽しかったです」
嬉しそうにフェルディナントは言ってくれた。
「喜んで頂けてたのなら、良かったですわ。お尻は大丈夫でした?」
私は愛想笑いを浮かべて、気になっていたことを聞いてみた。
「お尻? ああ、子犬に噛まれた奴ね。何も問題ないですよ。心配なら跡をお見せいたしましょうか?」
「えっ?」
まさかそのように返されると思わなかったのでね私は真っ赤になった。
「わんわん!」
今にも飛びかかりそうにころちゃんが吠えるので、私は慌ててころちゃんを抱き上げた。
「これ、ころちゃん、この前みたいなことはだめよ」
私がころちゃんに注意すると
「クウーーーー」
ころちゃんが少しおとなしくなる。少しは反省しているみたいだ。
もっとも雰囲気をぶっ壊してくれたので、私としては歓迎だったのだが、いつもいつも噛みつかれるとさすがの私も庇いきれない。ここは釘を刺しておかないと。
「それで、カーラ様。今度は女性に人気のスイーツの店が王都に出来て、出来たらその店にあなたも一緒に来てほしいのだが」
フェルディナントが私を誘ってきた。
フェルディナントにとってはこの前のころちゃんに噛みつかれたことは何でも無いみたいだった。
「えっ、美味しいスイーツのお店ですか?」
私も思わず食いついていた。私も美味しい物には目がないのだ。特に若い女の人に人気の店ということは絶対に美味しいはずだ。私は思わずつられていた。
「カーラ様!」
その時だ。私の後ろから目を釣り上げたアレイダが駆けてくるのが目に入ったのだ。
「いかがだったのですか、姫様?」
興味津々でサーヤが聞いてきたので、
「ちゃんと案内できたわよ」
私が頷くと、
「いや、それは当然そうだとは思いますが、お二人の間に何か進展はございました?」
「進展と言っても何もないわよ。大聖堂にフェルディナント様を案内して、フェルディナント様の故郷の料理のカリー店に連れて行ってもらって、周りのお店で二人で買い物しただけよ」
私はサーヤの問いに平然と答えていた。私としては何かあっては困るのだ。
「何かプレゼント、もらわれました?」
「プレゼントっていっても……そういえば、ころちゃんにブローチを買ってもらったわ」
「わん」
私が言うと、ころちゃんは自慢そうに首輪のブローチが見えるように胸を張ってくれたのだ。
「うーん、子犬のブローチですか」
残念そうにサーヤが言ってくれたんだけど……
「最後は中央公園の丘の上に夕焼けを見に連れて行ってもらったわ」
「それは王都のカップルのデートの定番コースではないですか!」
サーヤは前のめりに身を乗り出して聞いてくれた。
「で、何があったんですか?」
サーヤが興味津々で聞いてくれた。
「きれいな夕焼けを見て、感激したわ」
私はフェルディナントに言い寄られたことや、それに対してころちゃんが噛みついた件は黙っていようと思った。知られたら二度ところちゃんをデートに同席させてくれそうになかったし、そうなると私としては困るのだ。
「それから、フェルディナント様はどうされたのですか? 姫様の手を握られたとか、そういう事は無かったのですか?」
サーヤが更に熱心に聞いてきたが、
「うーん、どうかな?」
私はそうされたけれど、またサーヤがうるさくなるので黙っていることにしたのだ。
「そうですか? 思ったよりもフェルディナント様は奥ゆかしい方なのですね」
サーヤは少しがっかりしたようだった。
「まあ、でも、姫様との初デートですから、そんなものかもしれませんね」
サーヤは一人で納得してくれているんだけど……
「ちょっと、サーヤ。私はフエルディナント様に王都を案内しただけで、デートでは無いわ」
私はサーヤに反論した。
「何をおっしゃっていらっしゃるんですか? 大国の皇子様が、小国とは言え未婚の年相応の王女であるカーラ様と二人だけでお出かけされたのです。これをデートと言わずして何というのですか?」
サーヤはそう言ってくれたけれど、私としては、デートしたい相手は白い騎士様だけで、フェルディナントはお友達として王都を案内しただけなのだ。
そこははっきりしておきたいんだけど……言い出すと
「また、姫様はそんな夢物語のような事を言い出されて! そもそも白い騎士様なんて言われますけれど、どこのどなたかも判らないでは無いですか!」
全くサーヤには相手にもされなかった。
でも、それはまだそれで良かったのだ。
「姫様とデートに誘われたのですから、またすぐにフェルディナント様からデートのお誘いがあるに違いないですわ」
サーヤがそう言っていたが、そんな事は無いと思うんだけど……
なにしろ、ころちゃんがフェルディナントのお尻に噛みついていたし、それでフェルディナントは私をデートに誘うのを懲りたはずだ。
私がそう思っていた時だ。
私は王宮の庭園をころちゃんを連れて散歩していた。
「わんわん」
ころちゃんが吠えてくれた。
何事だろうとそちらを見たら、フェルディナントがこちら向かって歩いてくるところだった。
フエルディナントが私を見つけてこちらに手を振ってきたので、私は逃げ隠れできなかった。
「これはこれはカーラ様、この前は王都観光に付き合ってくれてとても楽しかったです」
嬉しそうにフェルディナントは言ってくれた。
「喜んで頂けてたのなら、良かったですわ。お尻は大丈夫でした?」
私は愛想笑いを浮かべて、気になっていたことを聞いてみた。
「お尻? ああ、子犬に噛まれた奴ね。何も問題ないですよ。心配なら跡をお見せいたしましょうか?」
「えっ?」
まさかそのように返されると思わなかったのでね私は真っ赤になった。
「わんわん!」
今にも飛びかかりそうにころちゃんが吠えるので、私は慌ててころちゃんを抱き上げた。
「これ、ころちゃん、この前みたいなことはだめよ」
私がころちゃんに注意すると
「クウーーーー」
ころちゃんが少しおとなしくなる。少しは反省しているみたいだ。
もっとも雰囲気をぶっ壊してくれたので、私としては歓迎だったのだが、いつもいつも噛みつかれるとさすがの私も庇いきれない。ここは釘を刺しておかないと。
「それで、カーラ様。今度は女性に人気のスイーツの店が王都に出来て、出来たらその店にあなたも一緒に来てほしいのだが」
フェルディナントが私を誘ってきた。
フェルディナントにとってはこの前のころちゃんに噛みつかれたことは何でも無いみたいだった。
「えっ、美味しいスイーツのお店ですか?」
私も思わず食いついていた。私も美味しい物には目がないのだ。特に若い女の人に人気の店ということは絶対に美味しいはずだ。私は思わずつられていた。
「カーラ様!」
その時だ。私の後ろから目を釣り上げたアレイダが駆けてくるのが目に入ったのだ。
28
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は反省しない!
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢リディス・アマリア・フォンテーヌは18歳の時に婚約者である王太子に婚約破棄を告げられる。その後馬車が事故に遭い、気づいたら神様を名乗る少年に16歳まで時を戻されていた。
性格を変えてまで王太子に気に入られようとは思わない。同じことを繰り返すのも馬鹿らしい。それならいっそ魔界で頂点に君臨し全ての国を支配下に置くというのが、良いかもしれない。リディスは決意する。魔界の皇子を私の美貌で虜にしてやろうと。
【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない
金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ!
小説家になろうにも書いてます。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!
永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手
ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。
だがしかし
フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。
貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。
折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!
たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。
なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!!
幸せすぎる~~~♡
たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!!
※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。
※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。
短めのお話なので毎日更新
※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。
※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。
《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》
※他サイト様にも公開始めました!
婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~
白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」
枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。
土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。
「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」
あなた誰!?
やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!
虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる