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ルード視点 母がクラウが虐げられていたことを知って、継母等を許さんと怒りだして大変な目に遭いました

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俺は本当にどうにかしてしまったのだ。
クラウともっと一緒にいたいと思ってしまったのだ。
今まで女に対してそんな事を思ったことはなかった。

その心の変化に俺は戸惑った。

「まあ、これでもう話すことはないと思うが、元気でな」
俺はその戸惑いを誤魔化すために、去り際にそう言ってしまったのだ。

おい、それじゃあ、クラウと二度と話せないではないか!
そう残念がる俺様と、俺の立場では仕方がない。
と諦める俺様の二人がいたのだ。

一体どういうことなのだ?
日頃女なんかに見向きもしなかった俺が気にするなんて……

俺にはよく判らなかった。

とりあえず、戸惑っている俺を誤魔化して、母に報告することにしたのだ。

「ルード、これはどういうことなの?」
俺は母の部屋に入るなり睨みつけられた。

なんのことだ? 
俺はちゃんとクラウを連れて帰ってきたぞ。

そう、俺は虐げられていたクラウの親族を断罪して、クラウを連れてきたのだ。
母に責められるいわれはなかった。
俺は経緯を淡々と母に報告した。

「あなた、まさか、私の親友が私にくれぐれも娘を頼むと頼んで亡くなったエレオノーレの娘のクラウディアを鞭打ったというその継母と義妹を修道院送りにするだけで許してきたのではないでしょうね」
俺は母の言葉にゾクリとした。
これは相当怒っている……

「しかし、クラウもあまり酷い事をしてくれるなと言っていましたし」
俺は必死に言い訳した。
「甘い。あなたは甘すぎるわ。それが今後上に立っていく人の言うことですか?」
母は俺を見てお手上げだというジェスチャーをしてくれたのだ。
「あなた、その信用ならない外務卿が果たして継母等を本当に修道院に送る思っているの?」
「当然でしょう」
母の言葉に俺は頷いた。
「本当に馬鹿ね。良い? 私はクラウディアのことはカッセルの国王にくれぐれもよろしく頼むとお願いしたのですよ。公爵家のお父様も親戚に当たるからカッセル国にはそれ相応の援助をしていたのよ。毎年よ。カッセルからはちゃんとしていると報告が毎年来ていたわ。それがクラウディアが継母に鞭打たれていたですって! 国王等は何していたのよ。金だけもらってちゃんと見ていなかったのたよ。そんな奴らがちゃんと働くと思っているの? まあ、その報告を鵜呑みにしていた私も悪かったけれど……」
母にそう言われると俺は返しようがなかった。

「あなたもあなたよ。そんな奴らが監視役がいなくなった途端ちゃんとすると思うの?」
「まあ、それはそうかも知れませんが」
「何を他人事のように言っているのよ。そもそもあなたが一番苦しい時に、エレオノーレはあなたを助けてくれたのよ。命が狙われるかもしれないのに、結界まで張って守ってくれたのよ。そのエレオノーレが命に変えて守った娘が虐げられていたのに、引っ叩いただけで帰ってくるとはどういうことなのよ。本来なら、処刑くらいしてきなさいよ。流石にそれはまずいのならば、クラウディアが被った鞭打ちの数くらいは、何故鞭打ってやらなかったの?」
母は激怒していた。
「いや、しかし、母上」
俺がまだ反論しようとすると
「直ちにカッセルの大使を呼びなさい」
俺を無視して侍女長に命じたのだ。

「しかし、もう遅い時間ですが」
侍女長は一応は抵抗したのだ。

「深夜でもなんでも、私が激怒していると言ってすぐに連れてくるのです」
母がこうなっては手がつけられなかった。
母はライゼマン公爵家の出からなのか、言い出したらそうするまできかないのだ。
母の叔母なんて、元々我が家の祖父と婚約していたにもかかわらず、カッセルなんて小国の伯爵家の令息を愛してしまって、なんと、二人で駆け落ちしてくれたのだ。
その時は本当に大変だったそうだ。
怒り狂った祖父は激怒、我が家の怒りを感じたカッセルはオイシュタット伯爵家を子爵家に降格、更には男爵家まで降格して、なんとか怒りを逸らしたとか……
公爵家も叔母を許さず、勘当したとか。
でも、当の叔母は全く動じずに、その夫と愛の家庭を築いて幸せに暮らしたとかいうのだ。
本当にはた迷惑な事この上ない。
母と父は学園からの恋愛結婚だという話だが、父は結婚するまでは母が他の男に気が映るのではないかと、気が気ではなかったそうだ。
本人は認めないが、今でも母の騎士はほとんどが女騎士で、男は本来ならば、父の騎士に当たるものを配置するほどだ。
それほど気にしていたのだ。
まあ、この二人は今でも相思相愛だから良いのだが、二人きりにしたらいちゃいちゃしだすのはいい加減にやめて欲しい。
だから、母のすることに父は絶対に反対などしないので、母は絶大な権力を誇っていたのだ。最もめったに我儘は言わないのだが、言い出すとタガが外れるのだ。

母が激怒していると聞いて、飛んで来た大使は寝ぐせがついていた。
すでに寝ていたみたいだ。
慌てて飛んできた大使に対して、

「あなたの国はなんということをしてくれたのですか」
いきなりは母怒鳴りだしたのだ。母が怒鳴るなど滅多にない事だった。

「私があなた国の国王にちゃんと面倒を見てくれるようにあれほど頼んだ、オイシュタット男爵家のクラウディアがその継母に鞭打たれていたそうではありませんか。どう責任を取ってくれるのです?」
大使が言い訳する間もなく母は延々と怒り出したのだ。

「いや、あの、エルザ様」
大使は一時間くらい怒られてもう蒼白になっていた。

「これは完全な国際問題です。直ちにどうするか国王の返事を聞いてきなさい。判りましたね」
「はい、判りました。早急にお返事差し上げます」
大使はこれでやっと下がれると安心したのだろう。
母が許すわけはないではないか!

「グスタフ。直ちに大使と一緒にカッセルに言ってその不埒な継母と義妹がどうなったか私に報告しなさい」
母は傍にいた自分の騎士に命じたのだった。
「今から転移するのですか? 間もなく真夜中ですが」
大使は青くなっていた。

「当たり前です。カッセル国王には緊急の要件につき、大使がすぐに向かうと伝えてあります。私はあなたから返事があるまで起きていますから」
「お、起きていらっしゃるのですか?」
大使は慌てた。

「大使、あなたの国には私の実家のライゼマン公爵家からも多大な援助がされているのです。全てはクラウディアがちゃんと生活を送れるようにあなたの国がしてくれるようにと願って父がしていたのです。もし、クラウディアが虐げられていたと知ったら怒り狂った父が貴国に攻め込む可能性もあるのですよ。心してしなさい」
「はっ、直ちに馳せ戻って陛下と相談いたします」
「そうね。私が待ちきれなくて父に言う前のほうが良いわよ」
母は不敵に笑ったのだ。

「早急にお返事いたします」
大使は母の脅しに、慌てて飛んでいったのだ。

まあ、母が怒ると単なる脅しでなくて、実際に父に泣きついてやりかねないが。
そうなったら本当にカッセルは滅んでしまうだろう。
母はそこまで怒り狂っていたのだ。
俺はその様子を唖然と見ているしか出来なかった。
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