戦神の加護を得た幼女は無敵です! 大国の王子達を顎で従えてダンジョン制覇に向かいます

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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友人が私を豚にしてくれたので、ふざけたらお兄様に怒られてしまいました

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 明かりが私達のいる林の上を走る。

 私達は緊張に固まっていた。
 上から完全に上手く隠れているかよく判らない。
 林の上をしばらく明かりの光が揺れた。

「おい、本当に音がしたのか?」
 一人の兵士の訝しそうな声がした。
「変だな。鳥かなんかだったのかな?」
「そうじゃないのか?」
 男達の声を聞いて私がほっとしたときだ。

 私の目の前で光る二つの点が見えた。
 私はその目とにらめっこすることになってしまった。

 何よ、これは?

 よく見るとそれは真っ黒な色をした鳥で、

「ギャーー」
 いきなり大声で鳴き出して、私に襲いかかってきたのよ! 私は思わず手を振ってしまった。

 普通ならばカラスごとき瞬殺できたと思う。
 でも、慌てていたのと突然だったから振り払っただけで、カラスはそんなに大きなダメージを受けていなかったみたいだ。

「ギャーギャー」
 叫びながら私の周りを飛び出したのだ。

「おい、なんかカラスが暴れているぞ」
「誰かいるのか?」
 上から男達の声が降ってきた。

 まずい!
 このカラスを黙らせないと!
 このカラスを仕留めるならファイアーボールか雷撃か?
 いや、そんなの使ったら上の兵士が即座に降りてくるはずだ。
 隠密に宮廷から逃げ出すことが出来なくなる。

 カラスは必死に私を攻撃しようとしてくる。

 上からどんな風に見られているかなんかよく判らないけれど、もうこうなったら素手で攻撃あるのみよ。
 これ以上長引かせると様子を見に降りてくるはずだ。

「アリス、大丈夫よ」
 モンモンが私に話しかけてきた。
 何が大丈夫か判らないけど、確か、モンモンは幻の魔術を使えたはずね。
 私を可愛い、動物にしてくれたんだと思う。

 これで戦える。
 私はやる気になった。
 後はモンモンが誤魔化してくれるみたいだし……

 私を嘴と爪で攻撃しようとしてきたカラスを私はよく見る。

 パシーン!

 そして、私に嘴で攻撃しようとしてきたカラスの横顔を張り飛ばしていたのよ。

 何故か
「ブー」
 とか言う鳴き声がしたような気がしたけれど、気のせいのはずだ。

「ギャーーーー!」
 カラスは泣いて吹っ飛ばされていた。

 カウンター一発よ。

 ざまーみろよ!

 私はガッツポーズをしていた。
「アリス!」
 お兄様が注意してきた。
 ちょっとさすがにガッツポーズは誤魔化すのが難しいのかも……慌てて私はしゃがみこんだ。

「おい、豚がカラスを襲っていたぜ」
 上から声が降ってきて私は驚いた。

 豚? 豚って私が豚に見えたってこと?
 どういう事よ! モンモン!
 私が文句を言おうとしたらモンモンに口を塞がれたんだけど……
「えっ?」

「でも、なんで豚なんているんだ?」
「さあな。調理場から逃げ出したんじゃないか?」
「おい、捕まえに行くか?」
「冗談だろう? 俺達の仕事はこの城壁を守ることだぜ。そんなのに関わっていられるよ」
「それもそうだな」
「やばい、時間が押しているぜ」
「早く戻らないとまた叱られるな」
 二人の兵士は慌てて去って行ったんだけど……

「どういう事よモンモン?」
 私は切れていた。
 動物は一杯いるのに、豚にするなんてどういう事よ!
「どういう事って、幻の魔術をアリスに掛けてあげたのよ」
 モンモンは自慢げに言ってくれたけれど、

「でも、なんで豚なのよ」
 私が文句を言うと
「仕方が無いでしょ。シロクマとかだと信憑性がないじゃない!」
 モンモンが言い訳してくれたんだけど、シロクマってもっと酷くなっているじゃない!
「でも、ウサギとかもう少し私に似つかわしい動物がいるじゃない!」
「ウサギがカラスを襲う訳ないでしょ」
 私の言葉に横からイリーナが突っ込んでくれた。
 それはそうかもしれないけれど……

「本当よ。パンダの方が良かった?」
「うーん」
 モンモンの言葉に私は固まってしまった。
 豚よりはパンダの方がましだったかも。

「おい、アリス、時間が無いから、行くぞ」
 お兄様は私達の争いを無視して私にそう言うと、鍵縄を城壁に投げていた。
 今度はしっかりと絡まった。

 縄を引いて問題が無いのを確認するとお兄様が上って行った。
 確かにそうだけど……でも豚って酷くない! いくら自分が太っているからって私を豚にすること無いじゃない!
「本当に、許せない!」
 私はモンモンを置いていこうとした。

「ちょっとアリス、ちゃんと幻で誤魔化してあげたでしょ」
 モンモンはそう言うけれど、豚にしてくれて、横でブラッドが笑っているし……


 ブラッドに肘鉄を食らわせる。
「グッ!」
 腹を押えて倒れ込むブラッドを無視して、背負いたくないけれど、私はモンモンを背負ってあげた。
 一番上から落としてやろうかと良からぬことを考えながら。
「アリス、ちゃんと上まで運んでよ」 
 モンモンは私に注文してくれたけれど、普通に運んだんでは私の気が済まない。
「モンモン、ちゃんと捕まっているのよ」
 私はそう言うと、両手で綱を持った。
「えっ、アリス、落ちるわよ」
 恐怖に震えた声でモンモンが言ってくれたけれど、豚にしてくれた恨みよ!
「行くわよ」
 私はそのまま、両手と足を使って一気に壁を駆け上がったのよ。
「ちょっ、ちょっと落ちる!」
 悲鳴を上げてモンモンは私にしがみついてくれた。
 それこそ必死に!

 上に上がるとモンモンは冷や汗で青くなっていた。
「酷いアリス」
 半分涙目だった。

「アリス、やるにしても程度があるぞ。モンモンはお前を助けてくれたんだから」
 お兄様にまで怒られてしまった。
 うーん、やり過ぎたか……
 でも、豚にしてくれたモンモンも悪いわよ!

 おしとやかなモンモンはこういう時も得だ。
 皆に庇ってもらえるし……皆が私を見る視線が冷たいんだけど……

 うーん、こんなのでこれから最果てのダンジョンまで行けるのか?
 私はうんざりしてきた。
**************************************
ちょっとふざけただけで四面楚歌のアリスでした…………
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