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第五部 小国フィーアネンの試練編
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それからが大変だったみたいだ。
ヴァンとジェドが強引にアドを私から引きはがし、我が家の騎士団に後で聞いたところではアドの手がなかなか引き剥がれないから、二人とも手だけでなくて、足も出ていたとか……
私は知恵熱みたいなもの、おそらく魔力が何日も封印されていた副作用もあって三日も寝込んでしまった。
私の見舞いに来たフィアーネン王国の女王陛下にはとても感謝された。
その横にいる近衛の隊長とは仲良さそうにしていたから、ピンク頭には二人の仲は壊されなかったみたいだ。
戦闘の結局、バイエフエルト王国は軍がほとんどが壊滅したので、フィアーネン王国に領地の一部を賠償として割譲して降伏してきた。
エルグランとしてもバイエフエルトの一部都市を割譲してもらうらしい。なんでも、その地をこの地域の外交・情報収集・貿易の拠点にするらしい。
そのあたりの事はアドとヴァンやジェドを中心にいろいろと暗躍したと聞いている。
そして、私は今、アドに何故か看病されているんだけど……
「はい、あーーーーんして」
アドがスープの入ったスプーンを差し出した。
「アド、私はもう元気になったから、自分で食べられるって」
「ダメだよ。フラン。昨日まで寝込んでいたんだから」
私が文句を言ってもアドは言う事を聞かない。
そう、私は今、アドに食べさせられているのだ。
もう起き上がって普通に動けるのに、アドは何故かとても過保護になっていた。
アド自身もまだ、元気になってそんなに経っていないのに……
でも、目の前にスプーンを置かれるとおいしそうな匂いがする。
たまらず私がぱくりと食べてしまった。
「おいしい?」
「うん」
このスープ。さすが王宮のコックが作ったものだ。本当においしい。
「はい」
また、アドがスプーンを差し出してくる。
仕方なしに私はパクッと食べた。
「どう」
「おいひい」
食べながらなので、ちゃんと話せない。
「あっ」
私の唇についた玉ねぎのかけらをアドが指でとってくれた。
それを自分で食べてくれんだけど。
「本当においしいな」
「ちょっと、なんてことするのよ」
私が真っ赤になって文句を言った。これって完全に間接キスじゃない!
でも、それどころではなかった。
「怒ったフランも可愛い」
と言って唖然とする私の唇に自分の唇をそっと重ねてくれたのだ。
え! ええええ!
またキスしてくれた。
それは、キスは初めてではないし、偶にはしていたが、なんか多くないか……
私はもう真っ赤だ。
「赤くなったフランも可愛い」
そう言うと食器を机の上に置いて、私の顔に手を添えて、唇を寄せて来たのだ。
私は抵抗する間もなく、また、唇を奪われてしまった。
そして、今度は長い。舌が入って来て私の舌をからめとるんだけど。
ちょっと何してくれるのよ!
でも、私は力が抜けて抵抗が出来ないんだけど……
でも、熱くなってしまって、息も出来ない!
「ちよっと兄上、何してるのさ」
「殿下、いい加減にしてください」
ヴァンとジェドの乱入で破られるまでそれは続いたんだけど……
本当に私は死ぬかと思った。
私はゼイゼイと息をしていた。
「何だお前らも。俺とフランの仲を邪魔しに来たのか」
アドが不機嫌に言った。
「殿下、別に姉は殿下の介添えなくても食べられるでしょ」
「そうです。それよりも仕事してください。」
アドに二人が反論する。
「別にお前ら二人いれば何とかなるだろう」
「そんな訳ないでしょう。それでなくても人手が足りないのですから」
アドの意見にヴァンが反論した。
「姉上の面倒は実の弟の私が見ます」
ジェドが言ってくれるんだけど。
「何言っているんだ。それなら義理の弟の私が」
「お前らに婚約者の面倒を見させられるか」
三人で言い争いだしたんだけど……
「フランは誰に面倒を見てもらいたい」
「アリスで」
私が専属侍女の名前を出すと
「アリスはここにいないでしょ」
ジェドが突っ込んできた。
この三人か。それなら
「じゃあ、アドで良いわ」
私が言った。
前世で病院に入院していた時に出来たら王子様のような人とに一度でいいから看病してもらいたいと願った事もあったのだ。アドは本当の意味で王子様だし。私の婚約者でもあるのだ。
アドが怪我していた時はを看病したのだから逆でもいいと思うし。
「ええええ!」
「義姉上、それは酷いよ」
二人が抗議するが、
「ま、そういう事で、君たちは仕事に行こうね」
アドが立ち上がって二人を追い出そうとした。
「まあ、兄上にはこの手は使いたくなかったのですが」
ニタリとヴァンが笑ってくれたのだ。
そして、ヴァンは通信用魔道具のスイッチを押してくれたのだ。
「フランソワーズさん! あなた二学期がもう始まっているのに、いつまでサボっているのですか?」
そこには何故か怒り心頭のフェリシー先生が私を睨んで立っていたのだ。
えっ、ええええ!
私は唖然とした。ヴァンは私に恨みでもあるの?
私はもう涙目だった。
「あれ、王妃殿下は?」
ヴァンも驚いているけれど、私にとってはどちらも忌避したかったのに、これはヴァンの陰謀なの!
私はきっとしてヴァンを睨みつける暇も無かった。
「フランソワーズさん。判っているのですか……」
そこから延々とフェリシー先生のお説教が入ったのだ。
「しかし、フェリシー、フランは我々を今手伝ってくれていて」
「フランソワーズさんに交渉事が出来るわけは無いでしょう。旧帝国内で、フランソワーズさんに交渉させたらうまい具合に丸め込まれて我が国の国益を損なってしまいます」
何かフェリシー先生がめちゃくちゃむかつくことを言ってくれる。
「いや、まあ、そういう所も確かにあるがそこは我々がフォローして」
アドも認めるんだ! 私は更にムッとしたんだけど。
「そういう面のプロはそちらに三人もいらっしゃるでしょう」
フェリシー先生が私以外の三人をねめつけた。
「いや、まあ、そうだが、ここには騎士もほとんどいずにだな」
「それなら、今日中に北方騎士団の一個大隊が到着します。それで十分でしょう?」
「いや、まあ」
アドは言い返せなかった。
「良いですね。フランソワーズさん。すぐに帰って来なさい。判りましたね」
そうフェリシー先生に言われたら頷くしかなかった。
「それと帰ってきたらこれまでサボっていた分の補講ですから。覚悟しておきなさい」
それだけ言うとフェリシー先生はさっさと魔道通信を切ってしまったんだけど……
そ、そんな、ちょっと待ってよ! 最悪じゃない!
私はもう頭を抱えるしかなかったのだ……
第五部 完
****************************************************************
ここまで読んで頂いて有難うございます。
取り合えず、第五部は完結です。
これからは閑話等ちょこちょこ上げていこうと思います。
ブックマーク、評価等まだの方はして頂けたら幸いです。
また、このお話の第一巻が全国の書店様ネット書店様で絶賛発売中です。
詳しくは10センチくらい下をご覧ください。
新作も現在考案中で間もなくスタートします。
今後とも応援よろしくお願いします。
ヴァンとジェドが強引にアドを私から引きはがし、我が家の騎士団に後で聞いたところではアドの手がなかなか引き剥がれないから、二人とも手だけでなくて、足も出ていたとか……
私は知恵熱みたいなもの、おそらく魔力が何日も封印されていた副作用もあって三日も寝込んでしまった。
私の見舞いに来たフィアーネン王国の女王陛下にはとても感謝された。
その横にいる近衛の隊長とは仲良さそうにしていたから、ピンク頭には二人の仲は壊されなかったみたいだ。
戦闘の結局、バイエフエルト王国は軍がほとんどが壊滅したので、フィアーネン王国に領地の一部を賠償として割譲して降伏してきた。
エルグランとしてもバイエフエルトの一部都市を割譲してもらうらしい。なんでも、その地をこの地域の外交・情報収集・貿易の拠点にするらしい。
そのあたりの事はアドとヴァンやジェドを中心にいろいろと暗躍したと聞いている。
そして、私は今、アドに何故か看病されているんだけど……
「はい、あーーーーんして」
アドがスープの入ったスプーンを差し出した。
「アド、私はもう元気になったから、自分で食べられるって」
「ダメだよ。フラン。昨日まで寝込んでいたんだから」
私が文句を言ってもアドは言う事を聞かない。
そう、私は今、アドに食べさせられているのだ。
もう起き上がって普通に動けるのに、アドは何故かとても過保護になっていた。
アド自身もまだ、元気になってそんなに経っていないのに……
でも、目の前にスプーンを置かれるとおいしそうな匂いがする。
たまらず私がぱくりと食べてしまった。
「おいしい?」
「うん」
このスープ。さすが王宮のコックが作ったものだ。本当においしい。
「はい」
また、アドがスプーンを差し出してくる。
仕方なしに私はパクッと食べた。
「どう」
「おいひい」
食べながらなので、ちゃんと話せない。
「あっ」
私の唇についた玉ねぎのかけらをアドが指でとってくれた。
それを自分で食べてくれんだけど。
「本当においしいな」
「ちょっと、なんてことするのよ」
私が真っ赤になって文句を言った。これって完全に間接キスじゃない!
でも、それどころではなかった。
「怒ったフランも可愛い」
と言って唖然とする私の唇に自分の唇をそっと重ねてくれたのだ。
え! ええええ!
またキスしてくれた。
それは、キスは初めてではないし、偶にはしていたが、なんか多くないか……
私はもう真っ赤だ。
「赤くなったフランも可愛い」
そう言うと食器を机の上に置いて、私の顔に手を添えて、唇を寄せて来たのだ。
私は抵抗する間もなく、また、唇を奪われてしまった。
そして、今度は長い。舌が入って来て私の舌をからめとるんだけど。
ちょっと何してくれるのよ!
でも、私は力が抜けて抵抗が出来ないんだけど……
でも、熱くなってしまって、息も出来ない!
「ちよっと兄上、何してるのさ」
「殿下、いい加減にしてください」
ヴァンとジェドの乱入で破られるまでそれは続いたんだけど……
本当に私は死ぬかと思った。
私はゼイゼイと息をしていた。
「何だお前らも。俺とフランの仲を邪魔しに来たのか」
アドが不機嫌に言った。
「殿下、別に姉は殿下の介添えなくても食べられるでしょ」
「そうです。それよりも仕事してください。」
アドに二人が反論する。
「別にお前ら二人いれば何とかなるだろう」
「そんな訳ないでしょう。それでなくても人手が足りないのですから」
アドの意見にヴァンが反論した。
「姉上の面倒は実の弟の私が見ます」
ジェドが言ってくれるんだけど。
「何言っているんだ。それなら義理の弟の私が」
「お前らに婚約者の面倒を見させられるか」
三人で言い争いだしたんだけど……
「フランは誰に面倒を見てもらいたい」
「アリスで」
私が専属侍女の名前を出すと
「アリスはここにいないでしょ」
ジェドが突っ込んできた。
この三人か。それなら
「じゃあ、アドで良いわ」
私が言った。
前世で病院に入院していた時に出来たら王子様のような人とに一度でいいから看病してもらいたいと願った事もあったのだ。アドは本当の意味で王子様だし。私の婚約者でもあるのだ。
アドが怪我していた時はを看病したのだから逆でもいいと思うし。
「ええええ!」
「義姉上、それは酷いよ」
二人が抗議するが、
「ま、そういう事で、君たちは仕事に行こうね」
アドが立ち上がって二人を追い出そうとした。
「まあ、兄上にはこの手は使いたくなかったのですが」
ニタリとヴァンが笑ってくれたのだ。
そして、ヴァンは通信用魔道具のスイッチを押してくれたのだ。
「フランソワーズさん! あなた二学期がもう始まっているのに、いつまでサボっているのですか?」
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えっ、ええええ!
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私はもう涙目だった。
「あれ、王妃殿下は?」
ヴァンも驚いているけれど、私にとってはどちらも忌避したかったのに、これはヴァンの陰謀なの!
私はきっとしてヴァンを睨みつける暇も無かった。
「フランソワーズさん。判っているのですか……」
そこから延々とフェリシー先生のお説教が入ったのだ。
「しかし、フェリシー、フランは我々を今手伝ってくれていて」
「フランソワーズさんに交渉事が出来るわけは無いでしょう。旧帝国内で、フランソワーズさんに交渉させたらうまい具合に丸め込まれて我が国の国益を損なってしまいます」
何かフェリシー先生がめちゃくちゃむかつくことを言ってくれる。
「いや、まあ、そういう所も確かにあるがそこは我々がフォローして」
アドも認めるんだ! 私は更にムッとしたんだけど。
「そういう面のプロはそちらに三人もいらっしゃるでしょう」
フェリシー先生が私以外の三人をねめつけた。
「いや、まあ、そうだが、ここには騎士もほとんどいずにだな」
「それなら、今日中に北方騎士団の一個大隊が到着します。それで十分でしょう?」
「いや、まあ」
アドは言い返せなかった。
「良いですね。フランソワーズさん。すぐに帰って来なさい。判りましたね」
そうフェリシー先生に言われたら頷くしかなかった。
「それと帰ってきたらこれまでサボっていた分の補講ですから。覚悟しておきなさい」
それだけ言うとフェリシー先生はさっさと魔道通信を切ってしまったんだけど……
そ、そんな、ちょっと待ってよ! 最悪じゃない!
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