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シュタイン王国最強の剣士に勝ちました。
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ついに五万の大軍が来た。
峠の道を横いっぱいにして見渡す限り騎士と兵士が上がってきたのだ。その様は圧巻だった。
「り、リデイアーヌ様。大丈夫なんですか?」
さすがに、砦から見ていたアラカルト男爵や騎士や兵士、山賊達は真っ青になっていた。まあ、普通の反応だろう。
「全然問題は無いですよ。高々五万ですから。前は十万でしたからね」
私は平然としていた。
「さすが、竜帝陛下の御子孫の竜姫様は違いますね」
「そうだ。アラカルト男爵、リディアーヌ様は別格なのだ。何しろい10万の軍勢を前にあくびをされていらっしゃったくらいだからな」
感心するアラカルト男爵にハワードが余計な解説してくれるんだけど……
「ハワード、それよりもあの先頭に進んでくるのはあなたのお父様では無いの?」
私が前を歩いてくるハワードに似た偉丈夫を見て聞くと
「リディアーヌ様。竜姫様に逆らう逆賊など、父と呼んで頂きますな」
更にハワードがパワーアップしたように見えるのは気のせいか?
皆が竜姫様と呼んで騒ぎ出した時から、俺は昔から敬っていたとか訳の判らないことを叫んでいるし……
私が改まって思った時だ。
「リディアーヌ・インスブルク。私はブランドン・ノールだ。その方が最強の剣士を名乗っているようだが、私もシュタイン王国最強の剣士を自認している。私と尋常に勝負してもらおうか!」
私はハワードのお父様を初めて見た。
ハワードも高いがお父さんは2メートルはある巨体だ。
騎士の鎧姿のそれはとても格好良かった。
「はん、一辺境伯風情がしゃらくさい。一騎打など、その部下の一の家来の俺がお相手しよう」
ハワードが叫ぶやさっさと砦から出たんだけど……
ちょっと実のお父さんと殺し合いする気なの?
「ふんっ、我が勘当した息子か。そのような格下を出すとは、指揮官の名が泣くぞ。最強とは男に取り入るのが上手いだけなのか?」
何か辺境伯が言ってくれるが、
「おのれ、元父とは言え、竜姫様であるリディアーヌ様を侮辱するとは許せん」
「ハワード、止めなさい!」
斬りかかろうとしたハワードの横に飛び降りて、私は命じていたのだ。
「しかし、リディアーヌ様。竜姫様が一対一の剣術などする必要はございますまい」
ハワードが言うが、
「良いのよ。ハワード。あなたをあなたのお父様と戦わすわけにはいかないわ」
「そのようなことに気を使われなくても」
「そうだ。リディ、俺が戦おう」
レックスも言い出したくれた。
「だめよ、これは総指揮官同士の戦いなんだから」
私は首を振ったのだ。
「ノール辺境伯、私が軍を代表してあなたと戦うわ。でも、その代わり、あなたが私に負けたら、あなたの率いる全軍は私の傘下に入るということで良いわね」
「良かろう。その代わり貴様が負けたら、全員降伏するのだぞ」
「良いわよ」
私は言い切ったのだ。
普通は五万対二百だから五万の方が圧倒的に一騎打は分が悪いんだけど……
良いんだろうか?
「いや、辺境伯、それは違うだろう」
私がそう思ったら横からアーチに似た男が顔を出した。
第二騎士団長。アーチの父親だろう。
「何を言う、ウォーズ子爵。俺が負けたら貴様等がいくら戦っても勝ち目は無いぞ」
「それはやってみないと判るまい」
アーチの父親も好戦的だ。
「判ったわ。私と戦いたいものは一対一で私と戦いなさい。それで負ければ私の配下よ。それでも降伏しない指揮官がいれば、私が相手するわ」
「それではそちらが不利だろう」
ハワードの父が言ってくれた。
いやいやいやいや、五万と二百を代表して指揮官の一騎打なんて初めて聞いたって。普通はやらないわよ。
「俺が負けた段階でその方の勝ちだ」
辺境伯がなおも言い切ってくれた。
「ウォーズ子爵。それに異義がある場合はその方のみ王都に帰れ」
「しかし、辺境伯」
「子爵は私が負けると言いたいのか」
「いや、そうは言わんが」
「ならそこで見ていてもらおう」
そう言うとブランドンは前に出てきた。
私も前に出る。
ブランドンが太い剣を抜き放った。
相当自信があるのだろう。
剣も辺境に伝わる名のある剣なんだろう。
私は名も無い剣を抜き放ったのだ。
「おい、待て、リディアーヌ。貴様背中に聖剣を背負っておろう。何故俺に対して抜かん」
「聖剣なんて使ってあなたと戦ったらあなたの軍はそれだけで殲滅されるわよ」
私が言うと
「おのれ、貴様、俺に聖剣を使う価値がないというのだな」
なんか勘違いして憤っているけれど……
「使わなかったからと言って、後で負けた言い訳にするなよ」
辺境伯は言ってくれた。
「あなたの五万人のためよ。私が聖剣を使うと破壊力が剣の比じゃ無いのよね。この地を焼け野原にしたくないから仕方が無いわ。それに言い訳はしないし」
私はそう言うと上段に構えた。
「では行くぞ」
上段に構えた、ブランドンが私に斬りかかってきたのだ。
私は強化魔術を使ってその剣を受ける。
ガツンッ
力一杯振り下ろしてきた、ブランドンの剣は重かった。
しかし、強化魔術で強化した私はその剣を受けきったのだ。
「ほう、我が剣を受けたか」
ブランドンは笑ってくれた。
「では本気で行くぞ」
ガツン、ガツン、ガツン
矢のような早さで次々にブランドンは打ち込んできた。
私はそれを次々に受ける。
でも、ブランドンは後から後から打ち込んできた。
私はそれを次々に受けた。
辺境伯は平然としていた。
更に次々に打ち込んできた。
「まだまだ」
辺境伯は更に強く強烈な打ち込みをしてくる。
しかし、私は全てを受けたのだ。
「おのれ!」
辺境伯が渾身の力を込めて打ちかかってこようとした。
その瞬間だ。
私は辺境伯の剣をかいくぐるや、辺境伯の鎧の胴の部分に剣を叩き込んでいたのだ。
「グウェェェェ」
辺境伯は私の剣を受けて吹っ飛んでいった。
その瞬間私の勝ちが決まったのだ。
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ここまで読んで頂いて有難うございます
次は今夜更新予定です
峠の道を横いっぱいにして見渡す限り騎士と兵士が上がってきたのだ。その様は圧巻だった。
「り、リデイアーヌ様。大丈夫なんですか?」
さすがに、砦から見ていたアラカルト男爵や騎士や兵士、山賊達は真っ青になっていた。まあ、普通の反応だろう。
「全然問題は無いですよ。高々五万ですから。前は十万でしたからね」
私は平然としていた。
「さすが、竜帝陛下の御子孫の竜姫様は違いますね」
「そうだ。アラカルト男爵、リディアーヌ様は別格なのだ。何しろい10万の軍勢を前にあくびをされていらっしゃったくらいだからな」
感心するアラカルト男爵にハワードが余計な解説してくれるんだけど……
「ハワード、それよりもあの先頭に進んでくるのはあなたのお父様では無いの?」
私が前を歩いてくるハワードに似た偉丈夫を見て聞くと
「リディアーヌ様。竜姫様に逆らう逆賊など、父と呼んで頂きますな」
更にハワードがパワーアップしたように見えるのは気のせいか?
皆が竜姫様と呼んで騒ぎ出した時から、俺は昔から敬っていたとか訳の判らないことを叫んでいるし……
私が改まって思った時だ。
「リディアーヌ・インスブルク。私はブランドン・ノールだ。その方が最強の剣士を名乗っているようだが、私もシュタイン王国最強の剣士を自認している。私と尋常に勝負してもらおうか!」
私はハワードのお父様を初めて見た。
ハワードも高いがお父さんは2メートルはある巨体だ。
騎士の鎧姿のそれはとても格好良かった。
「はん、一辺境伯風情がしゃらくさい。一騎打など、その部下の一の家来の俺がお相手しよう」
ハワードが叫ぶやさっさと砦から出たんだけど……
ちょっと実のお父さんと殺し合いする気なの?
「ふんっ、我が勘当した息子か。そのような格下を出すとは、指揮官の名が泣くぞ。最強とは男に取り入るのが上手いだけなのか?」
何か辺境伯が言ってくれるが、
「おのれ、元父とは言え、竜姫様であるリディアーヌ様を侮辱するとは許せん」
「ハワード、止めなさい!」
斬りかかろうとしたハワードの横に飛び降りて、私は命じていたのだ。
「しかし、リディアーヌ様。竜姫様が一対一の剣術などする必要はございますまい」
ハワードが言うが、
「良いのよ。ハワード。あなたをあなたのお父様と戦わすわけにはいかないわ」
「そのようなことに気を使われなくても」
「そうだ。リディ、俺が戦おう」
レックスも言い出したくれた。
「だめよ、これは総指揮官同士の戦いなんだから」
私は首を振ったのだ。
「ノール辺境伯、私が軍を代表してあなたと戦うわ。でも、その代わり、あなたが私に負けたら、あなたの率いる全軍は私の傘下に入るということで良いわね」
「良かろう。その代わり貴様が負けたら、全員降伏するのだぞ」
「良いわよ」
私は言い切ったのだ。
普通は五万対二百だから五万の方が圧倒的に一騎打は分が悪いんだけど……
良いんだろうか?
「いや、辺境伯、それは違うだろう」
私がそう思ったら横からアーチに似た男が顔を出した。
第二騎士団長。アーチの父親だろう。
「何を言う、ウォーズ子爵。俺が負けたら貴様等がいくら戦っても勝ち目は無いぞ」
「それはやってみないと判るまい」
アーチの父親も好戦的だ。
「判ったわ。私と戦いたいものは一対一で私と戦いなさい。それで負ければ私の配下よ。それでも降伏しない指揮官がいれば、私が相手するわ」
「それではそちらが不利だろう」
ハワードの父が言ってくれた。
いやいやいやいや、五万と二百を代表して指揮官の一騎打なんて初めて聞いたって。普通はやらないわよ。
「俺が負けた段階でその方の勝ちだ」
辺境伯がなおも言い切ってくれた。
「ウォーズ子爵。それに異義がある場合はその方のみ王都に帰れ」
「しかし、辺境伯」
「子爵は私が負けると言いたいのか」
「いや、そうは言わんが」
「ならそこで見ていてもらおう」
そう言うとブランドンは前に出てきた。
私も前に出る。
ブランドンが太い剣を抜き放った。
相当自信があるのだろう。
剣も辺境に伝わる名のある剣なんだろう。
私は名も無い剣を抜き放ったのだ。
「おい、待て、リディアーヌ。貴様背中に聖剣を背負っておろう。何故俺に対して抜かん」
「聖剣なんて使ってあなたと戦ったらあなたの軍はそれだけで殲滅されるわよ」
私が言うと
「おのれ、貴様、俺に聖剣を使う価値がないというのだな」
なんか勘違いして憤っているけれど……
「使わなかったからと言って、後で負けた言い訳にするなよ」
辺境伯は言ってくれた。
「あなたの五万人のためよ。私が聖剣を使うと破壊力が剣の比じゃ無いのよね。この地を焼け野原にしたくないから仕方が無いわ。それに言い訳はしないし」
私はそう言うと上段に構えた。
「では行くぞ」
上段に構えた、ブランドンが私に斬りかかってきたのだ。
私は強化魔術を使ってその剣を受ける。
ガツンッ
力一杯振り下ろしてきた、ブランドンの剣は重かった。
しかし、強化魔術で強化した私はその剣を受けきったのだ。
「ほう、我が剣を受けたか」
ブランドンは笑ってくれた。
「では本気で行くぞ」
ガツン、ガツン、ガツン
矢のような早さで次々にブランドンは打ち込んできた。
私はそれを次々に受ける。
でも、ブランドンは後から後から打ち込んできた。
私はそれを次々に受けた。
辺境伯は平然としていた。
更に次々に打ち込んできた。
「まだまだ」
辺境伯は更に強く強烈な打ち込みをしてくる。
しかし、私は全てを受けたのだ。
「おのれ!」
辺境伯が渾身の力を込めて打ちかかってこようとした。
その瞬間だ。
私は辺境伯の剣をかいくぐるや、辺境伯の鎧の胴の部分に剣を叩き込んでいたのだ。
「グウェェェェ」
辺境伯は私の剣を受けて吹っ飛んでいった。
その瞬間私の勝ちが決まったのだ。
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