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聖女教・教皇の独り言 爬虫類の親玉を処分することにしました
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私はこの国の唯一の教え、全世界一億人の信者を持つ教会の教皇、ランドン・カーショーだ。
我が教会は世界各地にある異端の宗教を潰してここまで大きくなってきた。
昔は我が教会も迫害されたことがあったが、シュタイン王国と組んでからはそのような事は無くなった。我らの宗派は聖女信仰で、教会の押す聖女様がありがたくも世界の混沌や魔物達を浄化してくれるというものだった。
各地の王にとっても世界を浄化してくれた聖女が王の配偶者になることによって、住民からありがたがられるという利点もあった。更に、その聖女が子供を産めばありがたい聖女様の子孫が国王になるのだから、国民としても喜んでそれを迎え入れたのだ。
我らは各地の魔物信仰や、路傍の石を信仰する宗派をシュタイン王国の拡張とともに制圧し、傘下に取り組んでいったのだ。
魔物というか爬虫類の竜を信仰するなどというふざけた古竜王国も100年前にシュタイン王国が制圧し、竜信仰を行う宗派も我ら教会が飲み込んだのだ。
一部路傍に祠として生き残っていたみたいだが、我々がお目こぼししてやっただけだ。
そして、最後に残ったのはこのあたりでは、竜の子孫が起こしたというインスブルク王国だ。
しかし、その子孫が起こした古竜王国も既に滅んだ。もはや残っているのは辺境の国一国。
まあ、インスブルク王国など人口が50万人しかいない辺境の地だ。そんなに慌てることも無いだろうと思っていたのだ。
しかし、シュタインの国王が何をとち狂ったか、突如としてその王国の娘の王女を自らの孫の婚約者に連れて来たのだ。
我々教会は当然ながら反対した。しかし、国王は自分の意見を曲げなかった。
我が教会としては次の王太子のエイベル殿下にはトレント公爵の側室の娘で聖女として売り出そうとしていたアラベラを婚約者に当てようとしていたのだ。
ここまで時間をかけて準備してきたのに、その準備を国王は自分勝手な意見で変えてくれたのだ。
我々にはそれを許すことが出来なかった。
国王が早死にしたのも神罰が当たったからだ。決して我々が毒殺したのでは無い……
そして、我々はトレント公爵に命じて、インスブルクの王女を婚約破棄して、断罪、そのままトカゲ崇拝のインスブルク王国も併合しようと画策していたのだ。
都合の良いことに、インスブルクの小娘は婚約破棄したエイベルを張り倒して重傷を負わせて、逃亡してくれた。
これは、思ってもいないチャンスが転がってきたと我が教会は沸いた。
我々はシュタイン王国の占拠後を睨んで、直ちにインスブルクに派遣する宣教師の選別を始めたのだ。
これで爬虫類を崇める醜い宗派を大陸から一掃できると喜んでいた。
なのに、なのにだ。小娘はシュタインの大軍を破ってくれたのだ。完膚なきまでに。
我々には信じられなかった。
我が宗派に改宗したギンガルメ王国の王女がインスブルクに嫁入りしているので、その娘を使って、小娘を牢屋にぶち込むこととに我々は成功した。
これでなんとかなる。
後は小娘をインスブルクに圧力をかけて引き渡させて、宗教裁判にて火あぶりにさせてやれば良いだろう。我々はそう、思ったのだ。
幸いなことにシュタインの王妃が小娘の友人を捕まえて、拷問にかけているというでは無いか。何ならそれを宗教裁判にしてその者を魔女と断罪して火あぶりの刑にしても良いのだ。
しかし、インスブルクの小娘は信じられないことに、インスブルクの牢から脱獄、竜に乗ってシュタインの王宮に攻め込んでくれたのだ。
大国シュタイン王国に少数で攻め込むなど信じられなかった。普通は無駄死にして終わりなのに、あろうことか小娘は王宮を火の海に変えて、友人を救出して脱出していったのだ。
これはとても都合が悪い。また、爬虫類である竜信仰が復活してはまずいでは無いか!
俺は各地の教会に竜の祠を破棄するように命じたのだ。
しかし、小娘は竜を使って、各地の領主を降伏させて、次々に占領地を増やしだしたのだ。
「なんたることだ」
俺は教会暗部のジョスリン・ケインズに暗澹たる気分で呟いていた。
このシュタイン王国は今まで我が教会の色一色で染められていたのだ。
それが次々に爬虫類信仰の色に変わっていくのを見るのはとても辛いものがあった。
なんとしてもこの流れを断ち切らねばならなかった。
「ジョスリン、なんとしてでも、あの小娘を殺せ」
俺は暗部に命じていた。
「何をしてもよろしいのですか」
「かまわん。どんなに卑劣な手段を使ってもかまわん。罠にかけようが犯そうが、なんとしてでも小娘を始末するのだ」
「判りました。インスブルクの王宮に王太子妃の付き人で暗部を入れております。そやつ等に国王を襲わせて、重傷を負わせます。そして、見舞いに来た小娘を始末してご覧に入れます」
「出来るのか? 奴は手強いぞ」
「教会暗部千年の歴史があるのです。邪魔なものの始末など楽勝でございます。今まで何千人の人間を葬ってきたと思われるのです? 聞くところによると小娘は単純そうです。力だけ自慢の小娘など何ほどのことがありますでしょうか?」
「そうじやな。お主のお手前拝見といこう」
「お任せください」
そう言うや、黒ずくめの男は頭を下げると、音も立てずにその場から消え去ったのだ。
*************************************************
ここまで読んで頂いて有難うございました
次は教会の暗黒面を支えてきた教会暗部が相手です。
単純なリディは果たして、やられてしまうのか?
続きが気になる方はお気に入り登録、感想等して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
我が教会は世界各地にある異端の宗教を潰してここまで大きくなってきた。
昔は我が教会も迫害されたことがあったが、シュタイン王国と組んでからはそのような事は無くなった。我らの宗派は聖女信仰で、教会の押す聖女様がありがたくも世界の混沌や魔物達を浄化してくれるというものだった。
各地の王にとっても世界を浄化してくれた聖女が王の配偶者になることによって、住民からありがたがられるという利点もあった。更に、その聖女が子供を産めばありがたい聖女様の子孫が国王になるのだから、国民としても喜んでそれを迎え入れたのだ。
我らは各地の魔物信仰や、路傍の石を信仰する宗派をシュタイン王国の拡張とともに制圧し、傘下に取り組んでいったのだ。
魔物というか爬虫類の竜を信仰するなどというふざけた古竜王国も100年前にシュタイン王国が制圧し、竜信仰を行う宗派も我ら教会が飲み込んだのだ。
一部路傍に祠として生き残っていたみたいだが、我々がお目こぼししてやっただけだ。
そして、最後に残ったのはこのあたりでは、竜の子孫が起こしたというインスブルク王国だ。
しかし、その子孫が起こした古竜王国も既に滅んだ。もはや残っているのは辺境の国一国。
まあ、インスブルク王国など人口が50万人しかいない辺境の地だ。そんなに慌てることも無いだろうと思っていたのだ。
しかし、シュタインの国王が何をとち狂ったか、突如としてその王国の娘の王女を自らの孫の婚約者に連れて来たのだ。
我々教会は当然ながら反対した。しかし、国王は自分の意見を曲げなかった。
我が教会としては次の王太子のエイベル殿下にはトレント公爵の側室の娘で聖女として売り出そうとしていたアラベラを婚約者に当てようとしていたのだ。
ここまで時間をかけて準備してきたのに、その準備を国王は自分勝手な意見で変えてくれたのだ。
我々にはそれを許すことが出来なかった。
国王が早死にしたのも神罰が当たったからだ。決して我々が毒殺したのでは無い……
そして、我々はトレント公爵に命じて、インスブルクの王女を婚約破棄して、断罪、そのままトカゲ崇拝のインスブルク王国も併合しようと画策していたのだ。
都合の良いことに、インスブルクの小娘は婚約破棄したエイベルを張り倒して重傷を負わせて、逃亡してくれた。
これは、思ってもいないチャンスが転がってきたと我が教会は沸いた。
我々はシュタイン王国の占拠後を睨んで、直ちにインスブルクに派遣する宣教師の選別を始めたのだ。
これで爬虫類を崇める醜い宗派を大陸から一掃できると喜んでいた。
なのに、なのにだ。小娘はシュタインの大軍を破ってくれたのだ。完膚なきまでに。
我々には信じられなかった。
我が宗派に改宗したギンガルメ王国の王女がインスブルクに嫁入りしているので、その娘を使って、小娘を牢屋にぶち込むこととに我々は成功した。
これでなんとかなる。
後は小娘をインスブルクに圧力をかけて引き渡させて、宗教裁判にて火あぶりにさせてやれば良いだろう。我々はそう、思ったのだ。
幸いなことにシュタインの王妃が小娘の友人を捕まえて、拷問にかけているというでは無いか。何ならそれを宗教裁判にしてその者を魔女と断罪して火あぶりの刑にしても良いのだ。
しかし、インスブルクの小娘は信じられないことに、インスブルクの牢から脱獄、竜に乗ってシュタインの王宮に攻め込んでくれたのだ。
大国シュタイン王国に少数で攻め込むなど信じられなかった。普通は無駄死にして終わりなのに、あろうことか小娘は王宮を火の海に変えて、友人を救出して脱出していったのだ。
これはとても都合が悪い。また、爬虫類である竜信仰が復活してはまずいでは無いか!
俺は各地の教会に竜の祠を破棄するように命じたのだ。
しかし、小娘は竜を使って、各地の領主を降伏させて、次々に占領地を増やしだしたのだ。
「なんたることだ」
俺は教会暗部のジョスリン・ケインズに暗澹たる気分で呟いていた。
このシュタイン王国は今まで我が教会の色一色で染められていたのだ。
それが次々に爬虫類信仰の色に変わっていくのを見るのはとても辛いものがあった。
なんとしてもこの流れを断ち切らねばならなかった。
「ジョスリン、なんとしてでも、あの小娘を殺せ」
俺は暗部に命じていた。
「何をしてもよろしいのですか」
「かまわん。どんなに卑劣な手段を使ってもかまわん。罠にかけようが犯そうが、なんとしてでも小娘を始末するのだ」
「判りました。インスブルクの王宮に王太子妃の付き人で暗部を入れております。そやつ等に国王を襲わせて、重傷を負わせます。そして、見舞いに来た小娘を始末してご覧に入れます」
「出来るのか? 奴は手強いぞ」
「教会暗部千年の歴史があるのです。邪魔なものの始末など楽勝でございます。今まで何千人の人間を葬ってきたと思われるのです? 聞くところによると小娘は単純そうです。力だけ自慢の小娘など何ほどのことがありますでしょうか?」
「そうじやな。お主のお手前拝見といこう」
「お任せください」
そう言うや、黒ずくめの男は頭を下げると、音も立てずにその場から消え去ったのだ。
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