105 / 115
大国王妃視点 夫に説明を受けて最悪の状態になっていることを知りました
しおりを挟む
私は未だに病床についていた。
あの憎き竜娘の友人を捕まえて竜娘を呼び出して懲らしめようとしたら、王宮を破壊されて竜娘に張り倒されたのだ。息子と同じ全治3ヶ月の瀕死の重傷を負わされたのだ。癒やし魔術師が必死に治療していなかったら死んでいたと思う。初めて息子の苦痛が骨身にしみて判った。
あやつだけは絶対に許さない。
私は心の底から決心したのだ。
そして、今、私の仇も含めて息子が討伐に向かってくれた。
「あの子は大丈夫かしら」
私は戦場に向かった息子のことを少し心配した。
しかし、今度は二十万もの軍勢で向かったのだ。
それも兄のアンダーソン公爵がついいている。
今回は問題ないだろう。
そう安心していた。
そして、息子が捕虜にしてくれたら、あの憎くき竜娘をどのように料理してやろうか?
それを楽しみにしていたのだ。
竜娘は我がシュタイン王国に反逆してくれた。
鉱山送りの鉱山娼婦ではもはや許されない。
処刑は確実だ。
串刺しの刑にするのか、八つ裂きにするのか、のこぎり引きの刑にしても良いかもしれない。
私は泣き叫ぶ小娘を思うと溜飲が下がった。
そう、私は確実に息子が竜娘を捕まえてくると思っていたのだ。
「えっ、嘘でしょう」
その知らせを聞いた時は私は驚いた。
最初の知らせは我がシュタイン王国軍二十万が破れたということだった。
私には信じられなかった。
次の詳細の情報はクラークと宰相が持ってきた新聞だった。
「えっ」
私はその新聞を見て絶句した。
我が息子が竜娘の竜に咥えられて振り回されている挿絵が一面にでかでかと載っていたのだ。
『竜姫、婚約破棄された腹いせに竜に王太子を咥えて振り回さす』
見出しにでかでかと載っていた。
「そ、そんな、馬鹿な。息子は、エイベルはどうなったの?」
私は知らせに来たムクラークとタース宰相に聞いていた。
「殿下は竜王国軍に捉えられたそうです」
「そうなの。生きているのね」
ムタースの声に私はほっとした。そのまま古代竜に食べられたのでは無いかと危惧したのだ。
「クラーク、直ちに釈放するように竜娘と交渉してくれる」
私は夫にお願いしたのだ。
「キャメロン、それはやぶさかではないが、それ以前に火急を要する案件が出てきたのだ」
「あなた、エイベルの命以上に大切な問題があるの? あの子はこのシュタイン王国の王太子なのよ」
私は思わず叫んでいた。
「妃殿下、それはこのシュタイン王国が存在してこそ、言えることなのです」
「えっ、シュタイン王国が存在してこそってあなた何を言っているの?」
私には横から話し出したムタースの言っていることが理解できなかった。
「戦闘で、アンターソン公爵は重傷を負って捕虜になりました。軍の二十万の大半が捕虜になっております。軍の大半をエイベル殿下が連れて出征されましたので、この王都には今近衞1個師団と騎士団の予備兵力1万しかおりません。
それに対して竜王軍は3万の軍が3方から我が王都を目指しているのです」
宰相が説明してくれた。
「直ちに残りの軍を集めれば良いのでは。まだ十万は残っているでしょう」
私は夫に聞いた。
「それは集めているのだが、兵士達は地方に抑えとして配置した兵士だ。中々動員に苦労しているのだ」
クラークが説明してくれた。
「そんな高々3万よ」
私は信じられなかった。
「国境がきな臭くなってきたし、ドミバンがこれ幸いと攻勢をかけているのだ」
「おのれ蛮族め。竜娘と連動しているのね」
私は歯ぎしりした。
「それと王と近郊の貴族達が次々に竜王国に降伏しているのです」
「なんですって!」
私はムタースの報告が信じられなかった。
「敵は降伏した領主達の軍勢を吸収して今や十万に達しようという勢力になりつつあるのだ」
「なんでそんなことに」
私にはクラークの言葉に更に驚かされた。こちらが必死に集めてもその数になるかどうかだった。
でも、そんな簡単に降伏するものなのか? 中央部は先祖代々シュタイン王国に付き従って来たものが多いはずだ。
「竜娘は我が父から息子が無能だったら国を譲ると言われたと主張しておるのだ」
苦々しげにクラークが吐き捨ててくれた。
「な、なんですって。そんなことをお父様がされたとは信じられないわ」
私は怒りのあまりクラークを睨み付けた。
「俺もそう思うし、貴族達もそれを信じた訳では無いだろう」
「当たり前です」
「でも、それを言い訳にして大挙して降伏しているのだよ」
「そんな」
私にはクラークの言葉が到底信じられなかった。
「王都は恐慌状態になって慌てて、住民が大挙して家財道具をまとめて郊外に離脱を始めたている」
クラークは現状を報告してくれたのだ。
「どうするのあなた」
「俺は味方を糾合して一戦するつもりだ。
なあに、俺もシュタイン王国の王だ。そう簡単に負けはせんよ」
クラークは私に笑いかけてきた。
「ただ、戦では何が起こるか判らん。そなたも最悪の事態を想定しておいてほしい」
そう言うとクラークはムタースを連れて部屋を出て行ったのだ。
「そんな、最悪の事態って何よ! シュタイン王国が滅ぶって言うの? それはあり得ないわ」
私は叫んだが侍女の誰もそれに頷いてはくれなかったのだ。
*************************************************
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
一週間以内に完結します
現在更新中のもう一つのお話
『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952
絶賛更新中です。
絶対に面白いので是非とも読んでね
あの憎き竜娘の友人を捕まえて竜娘を呼び出して懲らしめようとしたら、王宮を破壊されて竜娘に張り倒されたのだ。息子と同じ全治3ヶ月の瀕死の重傷を負わされたのだ。癒やし魔術師が必死に治療していなかったら死んでいたと思う。初めて息子の苦痛が骨身にしみて判った。
あやつだけは絶対に許さない。
私は心の底から決心したのだ。
そして、今、私の仇も含めて息子が討伐に向かってくれた。
「あの子は大丈夫かしら」
私は戦場に向かった息子のことを少し心配した。
しかし、今度は二十万もの軍勢で向かったのだ。
それも兄のアンダーソン公爵がついいている。
今回は問題ないだろう。
そう安心していた。
そして、息子が捕虜にしてくれたら、あの憎くき竜娘をどのように料理してやろうか?
それを楽しみにしていたのだ。
竜娘は我がシュタイン王国に反逆してくれた。
鉱山送りの鉱山娼婦ではもはや許されない。
処刑は確実だ。
串刺しの刑にするのか、八つ裂きにするのか、のこぎり引きの刑にしても良いかもしれない。
私は泣き叫ぶ小娘を思うと溜飲が下がった。
そう、私は確実に息子が竜娘を捕まえてくると思っていたのだ。
「えっ、嘘でしょう」
その知らせを聞いた時は私は驚いた。
最初の知らせは我がシュタイン王国軍二十万が破れたということだった。
私には信じられなかった。
次の詳細の情報はクラークと宰相が持ってきた新聞だった。
「えっ」
私はその新聞を見て絶句した。
我が息子が竜娘の竜に咥えられて振り回されている挿絵が一面にでかでかと載っていたのだ。
『竜姫、婚約破棄された腹いせに竜に王太子を咥えて振り回さす』
見出しにでかでかと載っていた。
「そ、そんな、馬鹿な。息子は、エイベルはどうなったの?」
私は知らせに来たムクラークとタース宰相に聞いていた。
「殿下は竜王国軍に捉えられたそうです」
「そうなの。生きているのね」
ムタースの声に私はほっとした。そのまま古代竜に食べられたのでは無いかと危惧したのだ。
「クラーク、直ちに釈放するように竜娘と交渉してくれる」
私は夫にお願いしたのだ。
「キャメロン、それはやぶさかではないが、それ以前に火急を要する案件が出てきたのだ」
「あなた、エイベルの命以上に大切な問題があるの? あの子はこのシュタイン王国の王太子なのよ」
私は思わず叫んでいた。
「妃殿下、それはこのシュタイン王国が存在してこそ、言えることなのです」
「えっ、シュタイン王国が存在してこそってあなた何を言っているの?」
私には横から話し出したムタースの言っていることが理解できなかった。
「戦闘で、アンターソン公爵は重傷を負って捕虜になりました。軍の二十万の大半が捕虜になっております。軍の大半をエイベル殿下が連れて出征されましたので、この王都には今近衞1個師団と騎士団の予備兵力1万しかおりません。
それに対して竜王軍は3万の軍が3方から我が王都を目指しているのです」
宰相が説明してくれた。
「直ちに残りの軍を集めれば良いのでは。まだ十万は残っているでしょう」
私は夫に聞いた。
「それは集めているのだが、兵士達は地方に抑えとして配置した兵士だ。中々動員に苦労しているのだ」
クラークが説明してくれた。
「そんな高々3万よ」
私は信じられなかった。
「国境がきな臭くなってきたし、ドミバンがこれ幸いと攻勢をかけているのだ」
「おのれ蛮族め。竜娘と連動しているのね」
私は歯ぎしりした。
「それと王と近郊の貴族達が次々に竜王国に降伏しているのです」
「なんですって!」
私はムタースの報告が信じられなかった。
「敵は降伏した領主達の軍勢を吸収して今や十万に達しようという勢力になりつつあるのだ」
「なんでそんなことに」
私にはクラークの言葉に更に驚かされた。こちらが必死に集めてもその数になるかどうかだった。
でも、そんな簡単に降伏するものなのか? 中央部は先祖代々シュタイン王国に付き従って来たものが多いはずだ。
「竜娘は我が父から息子が無能だったら国を譲ると言われたと主張しておるのだ」
苦々しげにクラークが吐き捨ててくれた。
「な、なんですって。そんなことをお父様がされたとは信じられないわ」
私は怒りのあまりクラークを睨み付けた。
「俺もそう思うし、貴族達もそれを信じた訳では無いだろう」
「当たり前です」
「でも、それを言い訳にして大挙して降伏しているのだよ」
「そんな」
私にはクラークの言葉が到底信じられなかった。
「王都は恐慌状態になって慌てて、住民が大挙して家財道具をまとめて郊外に離脱を始めたている」
クラークは現状を報告してくれたのだ。
「どうするのあなた」
「俺は味方を糾合して一戦するつもりだ。
なあに、俺もシュタイン王国の王だ。そう簡単に負けはせんよ」
クラークは私に笑いかけてきた。
「ただ、戦では何が起こるか判らん。そなたも最悪の事態を想定しておいてほしい」
そう言うとクラークはムタースを連れて部屋を出て行ったのだ。
「そんな、最悪の事態って何よ! シュタイン王国が滅ぶって言うの? それはあり得ないわ」
私は叫んだが侍女の誰もそれに頷いてはくれなかったのだ。
*************************************************
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
一週間以内に完結します
現在更新中のもう一つのお話
『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952
絶賛更新中です。
絶対に面白いので是非とも読んでね
173
あなたにおすすめの小説
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
絞首刑まっしぐらの『醜い悪役令嬢』が『美しい聖女』と呼ばれるようになるまでの24時間
夕景あき
ファンタジー
ガリガリに痩せて肌も髪もボロボロの『醜い悪役令嬢』と呼ばれたオリビアは、ある日婚約者であるトムス王子と義妹のアイラの会話を聞いてしまう。義妹はオリビアが放火犯だとトムス王子に訴え、トムス王子はそれを信じオリビアを明日の卒業パーティーで断罪して婚約破棄するという。
卒業パーティーまで、残り時間は24時間!!
果たしてオリビアは放火犯の冤罪で断罪され絞首刑となる運命から、逃れることが出来るのか!?
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる