モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました

球技大会3 B組相手に逆転勝ちしました

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「やったーーー」
「アン凄いぞーーー」
A組からも歓声が上がる。

ピーーーー
そこへ前半終了の笛がなった。

「はい、皆ご苦労さま」
イングリッドが迎え入れてくれる。
補欠連中は疲れ切ってその場に座り込むものもいた。

やっぱり体力のない1年生にはこの行事はまだまだ厳しいのだ。


「ようし、14点差よ。ここから行くわよ」
イングリッドの声がする。
そう、ここからだ。

レギュラーメンバーのうち、ヨセフィーナ、キャロリーナペアが、まず出場して、ドグラス、ルーカスペアがあとから出場予定だ。もう総力戦だった。

ジャンプボールはアルフが叩く。それをイングリッド、エルダペアが取って、ドリブルで敵陣に進む。バートに渡して、シュートするが、土人形に弾かれる。しかし、そのリバウンドをアルフが取るとそのままシュートする。8点目。残り12点だ。

次はB組のボールだ。フリースローから攻め込むがアルフにカットされる。

「アン!」
アルフはゴール下に詰めていた私にボールをパスした。土人形は誰も戻っていない。受け取ると楽楽シュートした。

「良いぞ! ちびっ子」
「頑張れ!」
私は歓声にミニアンちゃんに手を振って応えさせた。

「よし、残り10点だぞ」
フィル様の言葉にみんな頷く。

しかし、ここからはB組も動きが良くなってきた。

私にも1体が付く。

さすがに2試合目ともなるとA組の皆に疲れが見えてきた。

こちらが2点取ると敵も2点取るということで、一進一退が続く、26対18になった。

残り5分だ。ヨセフィーナ、キャロリーナペアが、ドグラス、ルーカスペアと交代する。

「アン、次の作戦行くわよ」
イングリッドが合図した。

敵のボールをバートがカットする。

「アン」
バートの声とともに、私はゴール下からジャンプする。

そこに、バートからのボールが来た。

受け取るやゴールの上からゴールに向けてシュートする。

シュートが決まった。

「良いぞ! ちびっ子」
「凄い」
歓声が上がる。

「あんなの、ありかよ!」
B組の連中は唖然としていた。

そう、ミニアンちゃんのジャンプ力は凄いのだ。

残り6点だ。

敵ボールでスタートする。

何故か土人形が2体も私の周りに残っているんだけど。

でも、それで攻められるの?

私の想定通り、すぐにボールは取られて、アルフが斬り込んできた。

1体足りないから、カバーが手薄になる。パスを受けたドグラスがシュートした。

残り4点だ。

次にアルフがカットした時に、私はまた飛んでいた。

それを土人形が掴む。でも、そんなので止められるわけはなく、土人形とともに飛ぶ。

「えっ」
皆唖然とする中、アルフからのボールを受けて、そのままシュートした。
そして、土人形がその高さから上手く着陸できるわけもなく、着陸に失敗してばらばらになる。私はそれをクッションにした形で、着陸して無傷だ。まあ、私の土人形はこれっくらいのショックでは壊れないけれど・・・・

「ええええ、あの人形が踏み潰したんじゃないの」
聖女が叫ぶが、

「何言っているのよ。どう見てもアンの人形のほうが小さいじゃない」
「そうだ。デカブツが悪いぞ」
「ブーブー」
「引っ込めピンク頭!」

聖女はブーイングを浴びていた。

「な、何を」
ピンク頭が私を睨みつけた。

私はギクリとしたんだけど、その視線をフィル様が私の前に立って、防いでくれる。

「大丈夫?」
「えっ、私は全く疲れていません」
私は全く疲れていないんだけど、皆は結構疲れているみたいだ。
でも、それを見て何故かフィル様は頭を振る。

「いや、聖女の視線が怖いかなと思って」
「まあ、聖女様の希望を私が邪魔しているからじゃないですか」
そう、フィル様の隣の位置を譲らない私を憎んでいるはずだ。このゲームでも、邪魔しているし・・・・。その私の言葉にフィル様が何故か残念そうに見る。何故に?


フリースローをメリーが決めてくれて、残り1点差だ。

「皆頑張るわよ」
「おーー」
イングリッドの声に皆頷く。

「ちびっ子、もう一発決めてやれ」
応援の声が聞こえる。

私はミニアンちゃんに手を振らせる。

しかし、さすがに2試合目も後半になると皆の疲れもピークだ。

聖女のいるB組は聖女がヒールをかけたみたいで、全員元気ハツラツだ。

ちょっとこれは厳しい。

そこからは一進一退で30対27になった。

なんか、ドーソンさんとかバートがもうふらふらみたいだ。

こちらのバートのスローインだけど、ボールがあっさりカットされて、シュートまで決められた。

なんかバートとドーソンさんが倒れ込んでいる。

限界みたい。ドグラスも苦しそうだ。

イングリッドがタイムを取る。

「どうする?。誰か出られる?」
「私は出られるけど」
メリーが言う。でも、メリーはフリースローしか練習していないし・・・・

私は諦めた。

「これはおまじないだから」
そう言うとバートの手に触れる。

何故かフィル様が怒った顔したんだけど・・・・。

私は心の中でヒールを唱える。

「えっ、うそ」
驚いた顔をバートがする。

私はドーソンさんとドグラスにもヒールをかける。

「えっ、なにこれ」
「急に元気になったぞ」
3人は喜んだ。

「ガーブリエル様に教えてもらったおまじないよ。10分くらいは効くはずだから」
私は嘘を言った。ヒールが出来るなんて知られたら、まずい。

「ようし、みんな、最後1分ちょっと、6点取るわよ」
フリースローはアルフ。

私は真ん中に立った。

アルフが投げようとする時にカバーの土人形を避けてゴールめがけてジャンプする。

そして、そこにアルフのパスが届く。そのままゴール前に飛んでシュートした。

「良いぞ、後3点差だ」
「がんばれ、ちびっ子」
歓声がわく。

次は敵のフリースローだ。

私は投げた瞬間飛んだ。そして、受けようとした土人形の真ん前でボールを受け取るとそのまま飛び続ける。思わず土人形が私に触れるが、全くブレない。そのままゴールの真上からゴールに叩き込んでいた。


ピー

笛がなる。

「ちびっ子、凄いぞーーー」
「やったなアン」
大歓声が上がる。

そして、ミニアンちゃんに触った相手にファールが取られる。
「うそよ。審判何見てんのよ。あの小さいのがうちの土人形を押しのけたの見えなかったの」
ピンク頭が審判につかみかからんばかりに迫るが、判定は覆らない。

「引っ込めピンク頭」
「ちびっ子を邪魔したお前らが悪い」
「ひーーっこめ」
「引っ込め!引っ込め!ピンク頭」
大合唱が起こる。

「何ですって、あんたら二度とヒールかけてやんないわよ」
もうピンク頭もメチャクチャだ。たかだかゲームなのに。
ピンク頭の人気が地に落ちた瞬間だった。

大歓声の中、危うく外しそうになったが、メリーのフリースローはぎりぎり入っていた。
ゴールリングの周りをぐるぐる回ってボールがなんとかゴールリングの中に落ちる。

ワアーーーー
という大歓声が起こった。

「やった。同点だ」
私たちは抱き合って皆で喜ぶ。

しかし、その瞬間、その隙きをついて速攻をB組がかける。

アルフが追いつくが1体ではどうしようもなかった。

2点入れられる。

「ふうううう」
観客もため息をつく。

残り2点だ。でももう時間がない!

イングリツドとエルダペアとメリーが交代する。

えっ、あれ使うの?

「絶対にそのちび人形を止めて」
聖女が叫んでいる。敵は私しか見ていない。
ゴール下の私の周りにはもう土人形が3体もいて、私もがんじがらめだ。でも、その分他の人があくんだげど。

バートからボールを受けたアルフがつっこんでいく。

それを2人がかりで止めようとする。

メリーが完全にフリーになった。

そのメリーにアルフからのバックパスが届く。

ギリギリ3ポイントラインだ。

ゆっくりと綺麗なフォームでメリーの土人形がシュートした。

B組のカバーは全然間に合わなかった。

そして、逆転の3点シュートが決まった時にゲーム終了の笛が鳴り響いたのだった。
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