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ハンナの大切なペンダントを盗んだことにされました

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その日の授業は4コマ目までみっちりあって大変だった。特に最後の数学が。最後で疲れていたにもかかわらず、更に頭を使わされてもう大変で、ヘトヘトになった。

「ようし、風呂に行ってリフレッシュしよう」
私は元気づけにそう言うと立上った。

「ハンナらはどうするの?」
ベッキーが聞くと

「ごめんなさい。お風呂は一人で入るわ」
そう貴族の部屋には1人用のバスタブが完備されているのだ。ハンナとヒルダは自分の風呂に入ってから来ると言う。基本大浴場は17時から21時までだ。私ら3人は一番に入ることにした。
部屋に帰って着替えを取って2階の奥の大浴場に向かう。
100人くらいが一度に着替えられる脱衣所はまだ空いていた。

「さすが一番風呂。空いている」
私はご機嫌だった。

さっさと衣服を脱いで浴場に向かう。

躰をさっさと洗って浴場にドボンと浸かった。

「うーん、いい湯だ」
私はタオルを頭において肩まで浸かった。

「えっ、もう、リア、躰洗ったの?」
そこにやっと入ってきたベッキーが呆れて聞いてきた。

「本当に早いのね」
エイミーも頷く。

「えっ!」
ちらっと見た二人の胸が大きい。

「どうしたのよ?」
ベッキーが聞いてきた。

「いや、お二人の胸って大きいのね」
私が言うと

「そうかな。私は小さい方よ。エイミーは大きいわよね」
ベッキーの言葉に更に私は落ち込んだ。

確かにエイミーは巨乳だ。でも、ベッキーでも十分に大きいのだ。そのベッキーが小さいとなるとその胸よりも遥かに小さい私の胸はどうなるのだ!

「まあまあ、リア、お子様もいずれ大きくなるから」
私の落ち込みの原因の胸を見比べて察したベッキーがフォローしてくれた…つもりだろう。

「年齢一緒なのに子供扱いするな!」
でも私はそんな事では騙されなかった。

「まあ、リア、結婚したら大きくなるから」
エイミーが慰めにならないことを言ってきた。

「それ子供が出来たらでしょ。でも、胸が小さくて結婚できなかったらどうなるのよ」
私がブスっと言うと

「大丈夫、貧乳好きな男もいるから」
「小さい胸を貧乳って言うな!」
ベッキーに私は切れていた。

お湯をベッキーにふっかける。

「あっ、洗っているのに何するのよ」
ベッキーがシャワー全開で水をぶつけてきた。

「ちょっと冷たいって!」
私達が下らないことで喧嘩している間に謀が着々と進行していたなんてこの時は知らなかった。


お風呂から何とか上がって、風魔術を仕えるエイミーに髪を乾かしてもらって私はジャージを着る。

「リア、ジャージなんて着ているから胸が大きくならないのよ。エイミーとか私みたいにせめてワンピースにしなよ」
ベッキーが注意してくれた。

「えっ、そんな面倒くさいし肩凝るし、いや」
私が断ると

「でも、人の目を気にしないと胸大きくならないわよ」
「えー?、そんなの関係ある」
「そらあそうよ。それに食堂であなたのカートに会えるかもしれないじゃない」
ベッキーが言ってくれた。

「えー! でも、カートと家にいる時はジャージだし、カフェ行くときもそんなに変わらないよ」
私の言葉に二人は絶句していた。

「あなた、少しは気にしなさいよ。でないと逃げられるわよ」
「そうかな」
私は二人の言葉に少し不安になった。

食堂は19時になっていたので少し空いていた。

食事を注文して席につくと浮かぬ顔をしたハンナとヒルダ、それにいつもは付いてこないブリトニーとドロシア子爵令嬢がこちらに歩いてきた。

「遅かったじゃない。なんかあったの?」
私はハンナに聞いた。

「うーん、実は祖母の形見のペンダントが無くなったの」
ハンナが青い顔をして言った。

「お風呂に入る前には確かにあったと思ったんだけど、出てきたら無くなっていて」

「で、出来たら皆で探そうって色々探したんだけど」
「中々見つからないの」
ヒルダとハンナが言う。

「脱いだ衣服についているとかでなくて?」
ベッキーが聞いた。
「それは何回も見たんだけれど無くて」

「そう、私達も手伝って探してあげたんだけど無くて」
「あなた方も手伝って頂けません事?」
ブリトニーとドロシアが言ってくる。私にはその笑顔がどこかわざとらしく感じた。
でも、断る理由がない。

「私達の部屋も探したんだけど見つからなくて。あなた方の部屋も探して頂けません?間違って落ちている可能性もありますし」
なんで来てもいないのに私達の部屋にあるのかよく判らなかったが。

「ええ、良いわよ。食事すぐ終わらせるから待ってくれる?」
私は何気なく言ってしまった。

「まあ、友達が心配で食事が喉も通らないのに、食事を優先されますの!」
「酷くありません?」
ブリトニーとドロシアがさも私が極悪人のように言ってくれた。何これ。なんかもっと言い方ってものがあるんじゃないの。ちょっと私もムッとしたが、ハンナを見ると確かに憔悴していた。

「ハンナごめんね。じゃあ、取り敢えず食事はおいておいて見に行きましょう」
私は美味しそうなご飯をその場において泣く泣く寮に戻った。

だって私もカートからもらったこのペンが無くなったら嫌だもの。

「じゃあ最初はオーレリアさんのお部屋からでいい?」
「良いわよ」
ブリトニーの言葉に私はあっさりと頷いていた。何かおかしいと気づくべきだったのだ。

部屋はまだ生活始めてからほんどんど経っていないので、きれいなものだ。

こんなところにあるわけ無いだろう。と思わないわけでは無かったが、でも、私の机の上に見たこともない赤いペンダントが載っていたのだ。

「えっ?」
私は驚いた。

その私の横をすごい勢いでハンナが走ってペンダントを掴んだ。

「良かった。見つかって」
そう言うとキツとして私を見た。

「酷いじゃない。リア。どうして私のペンダントがここにあるの?」
「えっ、いやわからないわよ。勝手に来たのかな」
私はトンチンカンな事を言ってしまった。

「ペンダントが勝手に歩いてくるわけ無いでしょ。もっとちゃんとした言い訳しなさいょ。教科書もそうだし、もう信じられない」
そう言うとハンナは私の横を駆け抜けていった。

「ちょっとハンナ」
私の言葉は無視してハンナは部屋を出ていった。

「ハンナ」
慌ててヒルダが追っていく。

「酷い、オーレリアさんって人の大切なものを勝手に持ってきてしまう癖があるのね」
「教科書に続いて大切なペンダントも取るなんて」
ブリトニーとドロシアの言葉はあんまり聞いていなかった。
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