銀河帝国から脅されたので、逆襲することにしました! 跳ねっ返り王女は帝国の大臣だろうが女帝だろうが関係ありません

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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帝国の男爵が攻めてくるとの報をうけ急遽防衛する為に出陣しました

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 私はやったのだ。
 やっと子供の時に出来なかったスージーの仇を討った。
 この国に仇なすフッセン男爵の悪の片棒を担ぐ男をこの手で葬った。

「姫様。出来たら生かして捕まえて頂きたかったんですけど……いろいろ情報を吐かせられましたのに!」
 アンネには文句を言われたが、私には殺さないと言う選択肢はなかった。
 確かにアンネの言う通りこの男はこの国の暗闇の情報を色々と握っていたはずだ。
 スージーなら国のために男を生かしていろいろと情報を取れと言いたかったかもしれないけれど……

「まあ、敵も帝国の暗部だ。無様に捕まったりはしないだろう」
 口をつぐんだ私をアードルフは庇ってくれた。

 結局その場には25名の暗部が潜んでいたが、全員、その場で退治した。

 フッセン男爵家の奴らはこの星に麻薬を蔓延させて、中毒になった女を売春させたり奴隷として帝国に連れて行って貴族達に売り買いさせていたらしい。

 私は関係者の徹底的な捕縛を命じたけれど、
「姫様、圧倒的に俺達の数が足りないんですけど」
 アーロンが文句を言って来た。
 アーロンが文句を言うのはいつものことだと無視していたら、

「確かに数が足りないかも」
 アードルフまで言いだしてくれた。
「まあ、今までは領主自体が悪に手を染めていたからな。現地の警官や文官達も大なり小なり犯罪に加担していたことになって、数が圧倒的に足りないのも事実です」
 ヨーナスにまで言われてしまった。
「でも、犯罪は犯罪でしょ! そんなことに警官が関わっていたのなら、安心して使えないじゃない」
 アンネが私の代わりに反論してくれた。

「しかし、細かい罪まで問いだしたら下手したらこの星の半分の人間を捕まえなくてはいけなくなってしまいますよ」
 通信参加の艦長まで言いだしてくれたのだ。

「まあ、犯罪者と手を握れとは言わんが多少は目を瞑れということじゃな」
 これまた通信参加のボニファーツまで言われてしまって私は頭を抱えた。

「でも、犯罪は犯罪ですよ」
 アンネは犯罪を許せなかったみたいだ。
 私も基本はそうだ。悪いことをしたら罪は償わなければいけないのだ。
 そうは思ったけれど、施政者には清濁併せ持たないといけない面もあると皆に言われてしまった。

「まあ、純粋培養な姫様には難しいかもしれませんけど」
「奴隷に関与していた者以外はある程度はお目をこぼすという事で良いですか」
 私の意向は無視されてドンドン決められていくんだけど……
 まあ、ヨーナスがこう言うんだから認めた方が良いんだと思う。
 不承不承私は頷こうとしていた。
 でも、それ以前に、そんなことに構っていられないことが起こったのだ。

「姫様。大変です! フッセン本国からフッセン男爵が艦隊を率いて出航したとの報告が入ってきました」
 飛び込んできた伝令の報告にによって司令部は大騒動になったのだ。
 それまで話していたことはなし崩し的に認められることになった。

 こちらに向かった艦船は戦艦フッセンを旗艦として巡洋艦2隻駆逐艦14隻。揚陸艦2隻、簡易空母一隻。補給艦5隻の合計25隻という、このユバス王国に対しては大きすぎる戦力だった。

「おそらく敵は3日後にこのサーリア太陽系に来ると思われます」
 アンネが報告してくれた。
「よし、絶対に敵フッセン艦隊を殲滅するわよ」
 私達は一番罪を犯していなさそうで現地で一番偉いクフモ男爵を呼び出した。そして、急遽臨時領主に任命してサーリア星の事を任せるとイスモの2個中隊を治安維持において私の専用巡洋艦ジュピターに戻った。



 巡洋艦ジュピター、カーキ色の船体は少しずんぐりしていた。
 せっかく王女専用館なのに、なんか少し格好悪い!
 私としてはもう少し格好良い船体にしたかったのだが、私が帝国の貴族と戦えるくらい強い艦が良いとボニフアーツに希望したらこうなってしまった。
 もっと格好良い船体が良いと設計図を見て私は文句を言ったら
「姫様見た目が格好良くて弱っちい艦と見た目は不細工でも銀河一強い艦ではどちらが良いですか」
ボニフアーツに言われてしまった。私は泣く泣く格好良い艦を諦めたのだ。なんとしてもスージーの仇は討ちたかった。国を強くして二度とあんな理不尽な目に遭う国民を無くしたかったのだ。

 いろんな要望を寄せ集めるとどうしてもこうなるのは仕方が無いそうだ。まあ、ボニフアーツの言う事だから効率重視でデザインは絶対に二の次にしたと思うんだけど……
 まあ、能力だけはピカイチだからあんまり文句は言えないけれど、でも、どのみち王女の専用艦なんだからもう少し見栄えのする船にしたかった。

 色だけでも真っ白にしたかったというと
「目立つから標的になります」
 の一言で皆から拒否されてしまったんだけど……
 だから愛機ビーナスの色だけは絶対に白で譲らなかったのだ。

 私の専用巡洋艦ジュピターはボニファーツの持てる力を全て中に入れ込んで、ユバスの機械産業の雄、ポルヴィ工業の技術力の全てを挙げて作ってくれた。
「姫様の為にかかった費用だけでロハで作りましたからな」
 社長のポルヴィはそう豪語してくれた。無理を言ったのは私も自覚があった。

 何しろ主砲の百センチブラスターは普通は戦艦の主砲だし、エンジンは戦艦の二倍もの大きさがあるのだ。そんな大きいエンジンを何に使うのだと言われそうだが、ジュピターの防御バリアは強力だからそれを使うにはそれなりのエンジンの出力がいったし、それ以上にこのジュピターには赤色巨星を超新星爆発させてくれたボニフアーツの言う最終兵器の出力源だった。

 もうはっきり言ってジュピターは規格外だった。

 その作るための予算は一国の小国の予算では出来なかった。かつて地球にあった小国日本が国の規模に合わない超弩級戦艦を作ったときに帳簿を誤魔化すために二重帳簿で作ったそうだが、この船の財源はもっと複雑だ。

 父が予算をほとんどくれなかったから基本的には私のポケットマネーで、ボニフアーツが作ってくれた量産用の機動歩兵をポルヴィ工業に作らせて売った資金を充てたのだが、それでも到底足らなかった。
 そこでヨーナスが考えてくれた手が、サーリアや、本星の貴族達がこの聖域の黒幕フッセン男爵に送金していたみかじめ料というか、上納金を、金融機関の送金システムをハッキングして奪うという手だった。
 だからフッセン男爵にはここ八年以上、我が国の領主や貴族達からは一銭も上納金が送られなくなっていた。
 それを送っている貴族達は気付いていなかった。
 と言うか帳簿を複雑な手で誤魔化しているから男爵自体も知らない可能性があった。
「こんなことしていいの?」
 一応私は良心の呵責に耐え切れずに聞いたのだが、
「何言っているんですか、姫様。陛下に隠れて他国の貴族に上納金を送るなんて絶対におかしいです。我が国の防衛のために使うんですから、国民は喜んでくれますよ」
 ニヤニヤ笑ってヨーナスが言ってくれたけれど……
 うーん、国の防衛のためというか、私の我が儘のためなんだけど……
 私の巡洋艦ジュピターは悪徳貴族で私の侍女の仇のフッセン男爵に送られるはずの金をネコババして作られたのだった。
 正義感の強い私はいやだったけれど、背に腹は代えられなかった。
「フッセン男爵から賠償金をせしめた金で作ったのです。天国のスージーも喜んでいますよ」
 アードルフがそう言ってくれたけれど、本当にスージーが喜ぶかどうかは疑問だった。
「姫様、いくら姫様と言えどもそのような悪の組織からせしめた金で、姫様の船を作るなんていけません!」
 と絶対に怒ったはずだ。

 でも、そもそもヨーナスの示した案が

 1.フッセン男爵から金をせしめるか
 2.悪徳金融業者から借金してその金を踏み倒すか
 3.国庫から金をちょろまかすか

 のどれかだったのだ。

 まともな案がなくて結局賠償金をフッセン男爵からふんだくったと思うことにして1の案にしたのだ。
 まあ、どのみち私は厄災女だ。今となっては超新星爆発を起こさせてサーリアの星に流星雨を降らせた身としては一つくらい悪行が増えても問題はない……
 天国のサーリアの所に行って謝れば良いわと思っていたら、

「姫様は天国に行けるなんて思っているんですか?」
 ぼそりとアーロンが驚いた顔で私を見てくれたんだけど……
 なんて言う事を言うのよ!

「絶対に地獄だよな」
「当然だよな」
 ヘイモとヨキアムまで頷いてくれるんだけど、こいつら許さない!

「いや、でも、姫様の事だから、閻魔様を殴り倒して無理矢理天国に行くかもしれないぞ」
「それは言えるかも」
「それはあり得る」
 アーロン、ヘイモ、ヨキアムが好きに言ってくれたんだけど、失礼な。
 いくら私でも閻魔様に逆らったりしないわよ!
*********************************************
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
これから戦う船に自分の金を使われていたフッセン男爵。
知らぬが仏。
次はいよいよ決戦です
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