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銀河皇帝視点 帝国の科学者が他国でとんでもないことをしでかしてくれたので召還することにしました
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「陛下、大変でございます」
アンドレイ・コンドボガ補佐官が大騒ぎしてきたとき、私はまたかと思ってしまった。
アンドレイはいつも大げさなのだ。
「どうしたのだ? 連邦の大統領が流行病にでもかかったのか? それとも、内務大臣の不倫が判明したのか?」
私がうんざりして聞くと、
「陛下、此度は本当に大変なのです」
「さよう。私も聞いて驚きました」
アンドレイただけでなくて一緒に連れてきた内務大臣のゲラーシム・ゼルスキーまで肯定しているので、いつものアンドレイの大げさな報告ではないのは理解できた。
「実は先般陛下の断りもなく隣国ユバス王国に攻め込みながら返り討ちに遭ったフッセン男爵ですが……」
「犯罪に手を染めていたのであろう?」
私はがっかりした。それは判りきったことだ。
私に嘘の報告をした時点でフッセン男爵家は断絶が決まった。
「ならば直ちに関係者を全員捕まえて一族郎党処刑すれば良かろう」
私がそう命じたが、
「それがそう簡単な事ではなくてですな」
アンドレイはいつにもとは正反対に奥歯に物が挟まったようにはっきりしなかった。
「誰か大物が絡んでいたのか? 侯爵だろうが内務大臣だろうが構わん。直ちに捕まえれば良かろう」
「陛下、ご冗談を」
私の言葉に一緒に来た内務大臣が否定した。
「では何があったのだ?」
いい加減にいらいらして私は尋ねていた。
「実はフッセン男爵の借金の金額が目を覆うばかりな金額でして」
「いくらあったのだ。100兆ドルくらいあったのか?」
「いいえ、そんな額ではなく」
「では200兆か?」
私が聞くとアンドレイとゲラーシムが顔を見合わせてくれた。
「実は陛下、一京ドルございました」
私はそれを聞いて飲みかけていた紅茶を目の前の2人に向けて吹きだしたのだ。
私の名前はエカチェリーナ・ロマノフ。この銀河帝国の皇帝だ。
女だからか冷血非道な女帝とも言われていた。
まあ、幾多の戦いで私に抵抗する敵を殲滅することもあったし、戦いで惑星一つを消滅させたこともあった。そういう事があったからそう呼ばれてもいるのだろう。国を統治するということはそういう事もあるし、施政者は悪く言われることもあるのだ。
その点は諦めていた。
また、我が皇室は大昔の地球のロシアのロマノフ王家の血を継いでいると先祖が宣っていたが、本当か嘘かは判らない。
西暦2200年代にワープが開発されて人類は太陽系外に急激に進出した。
その後の大進出時代の西暦2280年に、銀河帝国の元であるロマノフ王国が今は連邦に編入されたヤロスラブリで建国されたのが始まりだ。
以来約250年続いている。銀河系の中では一番古い王朝だ。
私がこの銀河帝国の皇帝についたのは西暦2500年だった。
そもそも私などがこの帝国を継ぐ予定はなく、私は3大帝国工科大学の一つガンダルヴァン工科大学で院に在学しているときに、伯父である皇帝がいきなり亡くなったのだ。毒殺の可能性があったが、詳しいことは判らなかった。
伯父には母の違う2人の息子がいたが、この2人の仲がまた悪かった。
たちまち2陣営に分かれてお家騒動が起こった。
2人を中心に内乱が起こり、兄が勝って弟が処刑された。これで騒動は終わると思われたが、後に残った兄まで弟の支持者に暗殺されたのだ。
帝国の廷臣達は慌てた。
次のめぼしい帝位継承権が当時25歳の女の私しかいなかったのだ。
私は急遽両陣営から推挙されて女帝エカチェリーナとして即位した。
本当に青天の霹靂だった。
そんな時だ。
連邦が我が帝国に攻め込んできたのだ。
扱いやすい女帝が出て来たので勝てると踏んだのだろう。
私は工科大学の後輩ボニファーツの作った搭載用ブラスターを帝国の機動歩兵の主力兵器として採用させて艦隊を率いて連邦を自ら迎え撃った。
ボニファーツの兵器の金額は通常の主力兵器の10倍したが、その性能は連邦の主力兵器のビームライフルを凌駕していた。我が帝国軍は機動歩兵で圧倒して、攻め込んできた200隻を潰走させたのだ。
それから1年間、連邦相手に連戦連勝した帝国は連邦から大きく領地を割譲させて銀河最大の国になっていた。
その後も順調に周辺諸国を併合して、今や連邦を除けば我が帝国に並び立つ国は無くなっていた。銀河連邦にしても現状は圧倒的に我が国が優勢になっていた。
その銀河帝国の国家予算が9980兆帝国ドルだった。
一京ドルはその少し上なのだが、まだ帝国の国家予算が一京ドルに到達したことは無いのに、何故高々1男爵領であるフッセン男爵の借金が1京ドルを超えたのだ?
「どういう事だ、ゲラーシム?」
私は昔からの部下の内務大臣ゲラーシムに尋ねていた。
「実はこの件はボニファーツが噛んでいるようでございます」
「私がケチだからと確かユバスなる小国に出て行った研究馬鹿か!」
私はむっとした。
彼奴には本当にいろいろな面で優遇してきたはずだった。
まあ、銀河大戦で連邦に勝てたのはボニファーツの優秀な武器のお陰だった。
それ以降研究費はうなぎ登りに高くなって来たが、それをある程度は飲んできた。
しかし、ボニファーツが最終兵器なる物を開発したいと国家予算の半額の5000兆ドルの予算を望んできたときにはさすがに認める訳には行かなかったのだ。
さすがの私も国家予算の半額をボニファーツのおもちゃに仕向ける訳には行かなかった。
その事を後悔もしていない。誰でも施政者なら拒否するはずだ。
「実はそのボニファーツがユバス王国で作り出した王女専用宇宙巡洋艦にその最終兵器をつけたようなのです」
「はっ? あの金食い兵器をか?」
私は目が点になった。
「我が帝国でも国が傾きかねないのだぞ。ユバスなんて小国では破綻しても金は集められないだろうが!」
私は思わず怒鳴っていた。
「さようでございます。そこでボニファーツ等が目をつけたのがフッセン男爵でして、陰で色々あくどいことをしていた男爵にはいろんな裏会計がありまして、それには多くの銀行も噛んでおりました。その銀行に知られないようにフッセン男爵の借金を雪だるま式に増やしていったのでございます」
「いや、待て、一京ドルだぞ。いくら裏金とは言えそれだけ借金しようとすれば発覚するだろうが」
私は目を剥いた。
「そこを巧妙にボニファーツはしたみたいで、本人の個人名義や子供名義は元より、伯父叔母親戚一同、後は隠し子を1万人分くらい作りまして、それぞれ各銀行から1千万ルの借金をしたみたいです」
「少額にして誤魔化したのか?」
「悪巧みだけはうまく出来るようで」
「しかし、それに気付かなかった銀行も銀行であろう」
「そうなのですが、このまま行くと帝国内の大半の銀行が倒産してしまいます」
私は頭を押えた。
さすがにそんなことをすれば大恐慌が怒り、銀河帝国の経済は破綻してしまう。
アンドレイとゲラーシムは200年ローンでフッセンの子孫達に支払わせさせるという案を作っていた。
何でも生かさず殺さずだそうだ。
中世の領主が農民達に対してそのような施策をとっていたとは聞いたことがあるが、それだけで済ます訳には行くまい。
「アンドレイ。その方、直ちに一艦隊を率いてボニファーツとその上司の王女を捕まえて参れ」
私はボニファーツの元同僚の補佐官に命じていた。
「はっ了解しました」
アンドレイは直ちに出て行こうとした。
「しかし、陛下、連れてきていかがするつもりですか? 高々一地方国家の王女とマッドサイエンティストのボニファーツがその額を支払える訳はないと思えますが」
内務大臣が聞いてきた。
「ふんっ、支払えなければそれまでじゃ。ボニファーツには一生涯私の下でただ働きさせてやるわ」
おのれ、ボニファーツめ、今まで私は甘すぎたのだ。
今度という今度は絶対に許さん!
それとその主だ。私は未だに最後にボニファーツに言われた言葉を忘れていなかった。
「何が『陛下もお歳でもうろくされたようですからな。これからは若いピチピチの姫様の下で頑張らせて頂きます』だ! 結局人の金を使いおってからに! その姫様とやらもこれから一生涯使い倒してやるわ」
そう言った私を見る二人の顔がとても気になったが、私は心に決めたのだ。
************************************************************
怒り狂う皇帝の前に引き出されるセラフィーナとボニファーツの運命や如何に?
続きをお楽しみに
アンドレイ・コンドボガ補佐官が大騒ぎしてきたとき、私はまたかと思ってしまった。
アンドレイはいつも大げさなのだ。
「どうしたのだ? 連邦の大統領が流行病にでもかかったのか? それとも、内務大臣の不倫が判明したのか?」
私がうんざりして聞くと、
「陛下、此度は本当に大変なのです」
「さよう。私も聞いて驚きました」
アンドレイただけでなくて一緒に連れてきた内務大臣のゲラーシム・ゼルスキーまで肯定しているので、いつものアンドレイの大げさな報告ではないのは理解できた。
「実は先般陛下の断りもなく隣国ユバス王国に攻め込みながら返り討ちに遭ったフッセン男爵ですが……」
「犯罪に手を染めていたのであろう?」
私はがっかりした。それは判りきったことだ。
私に嘘の報告をした時点でフッセン男爵家は断絶が決まった。
「ならば直ちに関係者を全員捕まえて一族郎党処刑すれば良かろう」
私がそう命じたが、
「それがそう簡単な事ではなくてですな」
アンドレイはいつにもとは正反対に奥歯に物が挟まったようにはっきりしなかった。
「誰か大物が絡んでいたのか? 侯爵だろうが内務大臣だろうが構わん。直ちに捕まえれば良かろう」
「陛下、ご冗談を」
私の言葉に一緒に来た内務大臣が否定した。
「では何があったのだ?」
いい加減にいらいらして私は尋ねていた。
「実はフッセン男爵の借金の金額が目を覆うばかりな金額でして」
「いくらあったのだ。100兆ドルくらいあったのか?」
「いいえ、そんな額ではなく」
「では200兆か?」
私が聞くとアンドレイとゲラーシムが顔を見合わせてくれた。
「実は陛下、一京ドルございました」
私はそれを聞いて飲みかけていた紅茶を目の前の2人に向けて吹きだしたのだ。
私の名前はエカチェリーナ・ロマノフ。この銀河帝国の皇帝だ。
女だからか冷血非道な女帝とも言われていた。
まあ、幾多の戦いで私に抵抗する敵を殲滅することもあったし、戦いで惑星一つを消滅させたこともあった。そういう事があったからそう呼ばれてもいるのだろう。国を統治するということはそういう事もあるし、施政者は悪く言われることもあるのだ。
その点は諦めていた。
また、我が皇室は大昔の地球のロシアのロマノフ王家の血を継いでいると先祖が宣っていたが、本当か嘘かは判らない。
西暦2200年代にワープが開発されて人類は太陽系外に急激に進出した。
その後の大進出時代の西暦2280年に、銀河帝国の元であるロマノフ王国が今は連邦に編入されたヤロスラブリで建国されたのが始まりだ。
以来約250年続いている。銀河系の中では一番古い王朝だ。
私がこの銀河帝国の皇帝についたのは西暦2500年だった。
そもそも私などがこの帝国を継ぐ予定はなく、私は3大帝国工科大学の一つガンダルヴァン工科大学で院に在学しているときに、伯父である皇帝がいきなり亡くなったのだ。毒殺の可能性があったが、詳しいことは判らなかった。
伯父には母の違う2人の息子がいたが、この2人の仲がまた悪かった。
たちまち2陣営に分かれてお家騒動が起こった。
2人を中心に内乱が起こり、兄が勝って弟が処刑された。これで騒動は終わると思われたが、後に残った兄まで弟の支持者に暗殺されたのだ。
帝国の廷臣達は慌てた。
次のめぼしい帝位継承権が当時25歳の女の私しかいなかったのだ。
私は急遽両陣営から推挙されて女帝エカチェリーナとして即位した。
本当に青天の霹靂だった。
そんな時だ。
連邦が我が帝国に攻め込んできたのだ。
扱いやすい女帝が出て来たので勝てると踏んだのだろう。
私は工科大学の後輩ボニファーツの作った搭載用ブラスターを帝国の機動歩兵の主力兵器として採用させて艦隊を率いて連邦を自ら迎え撃った。
ボニファーツの兵器の金額は通常の主力兵器の10倍したが、その性能は連邦の主力兵器のビームライフルを凌駕していた。我が帝国軍は機動歩兵で圧倒して、攻め込んできた200隻を潰走させたのだ。
それから1年間、連邦相手に連戦連勝した帝国は連邦から大きく領地を割譲させて銀河最大の国になっていた。
その後も順調に周辺諸国を併合して、今や連邦を除けば我が帝国に並び立つ国は無くなっていた。銀河連邦にしても現状は圧倒的に我が国が優勢になっていた。
その銀河帝国の国家予算が9980兆帝国ドルだった。
一京ドルはその少し上なのだが、まだ帝国の国家予算が一京ドルに到達したことは無いのに、何故高々1男爵領であるフッセン男爵の借金が1京ドルを超えたのだ?
「どういう事だ、ゲラーシム?」
私は昔からの部下の内務大臣ゲラーシムに尋ねていた。
「実はこの件はボニファーツが噛んでいるようでございます」
「私がケチだからと確かユバスなる小国に出て行った研究馬鹿か!」
私はむっとした。
彼奴には本当にいろいろな面で優遇してきたはずだった。
まあ、銀河大戦で連邦に勝てたのはボニファーツの優秀な武器のお陰だった。
それ以降研究費はうなぎ登りに高くなって来たが、それをある程度は飲んできた。
しかし、ボニファーツが最終兵器なる物を開発したいと国家予算の半額の5000兆ドルの予算を望んできたときにはさすがに認める訳には行かなかったのだ。
さすがの私も国家予算の半額をボニファーツのおもちゃに仕向ける訳には行かなかった。
その事を後悔もしていない。誰でも施政者なら拒否するはずだ。
「実はそのボニファーツがユバス王国で作り出した王女専用宇宙巡洋艦にその最終兵器をつけたようなのです」
「はっ? あの金食い兵器をか?」
私は目が点になった。
「我が帝国でも国が傾きかねないのだぞ。ユバスなんて小国では破綻しても金は集められないだろうが!」
私は思わず怒鳴っていた。
「さようでございます。そこでボニファーツ等が目をつけたのがフッセン男爵でして、陰で色々あくどいことをしていた男爵にはいろんな裏会計がありまして、それには多くの銀行も噛んでおりました。その銀行に知られないようにフッセン男爵の借金を雪だるま式に増やしていったのでございます」
「いや、待て、一京ドルだぞ。いくら裏金とは言えそれだけ借金しようとすれば発覚するだろうが」
私は目を剥いた。
「そこを巧妙にボニファーツはしたみたいで、本人の個人名義や子供名義は元より、伯父叔母親戚一同、後は隠し子を1万人分くらい作りまして、それぞれ各銀行から1千万ルの借金をしたみたいです」
「少額にして誤魔化したのか?」
「悪巧みだけはうまく出来るようで」
「しかし、それに気付かなかった銀行も銀行であろう」
「そうなのですが、このまま行くと帝国内の大半の銀行が倒産してしまいます」
私は頭を押えた。
さすがにそんなことをすれば大恐慌が怒り、銀河帝国の経済は破綻してしまう。
アンドレイとゲラーシムは200年ローンでフッセンの子孫達に支払わせさせるという案を作っていた。
何でも生かさず殺さずだそうだ。
中世の領主が農民達に対してそのような施策をとっていたとは聞いたことがあるが、それだけで済ます訳には行くまい。
「アンドレイ。その方、直ちに一艦隊を率いてボニファーツとその上司の王女を捕まえて参れ」
私はボニファーツの元同僚の補佐官に命じていた。
「はっ了解しました」
アンドレイは直ちに出て行こうとした。
「しかし、陛下、連れてきていかがするつもりですか? 高々一地方国家の王女とマッドサイエンティストのボニファーツがその額を支払える訳はないと思えますが」
内務大臣が聞いてきた。
「ふんっ、支払えなければそれまでじゃ。ボニファーツには一生涯私の下でただ働きさせてやるわ」
おのれ、ボニファーツめ、今まで私は甘すぎたのだ。
今度という今度は絶対に許さん!
それとその主だ。私は未だに最後にボニファーツに言われた言葉を忘れていなかった。
「何が『陛下もお歳でもうろくされたようですからな。これからは若いピチピチの姫様の下で頑張らせて頂きます』だ! 結局人の金を使いおってからに! その姫様とやらもこれから一生涯使い倒してやるわ」
そう言った私を見る二人の顔がとても気になったが、私は心に決めたのだ。
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