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第二章 愛娘との幸せな生活を邪魔することは許しません
シャラは愛娘に、「酷い、最低!」と言われてショックのあまり固まってしまいました。
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シャラはクローディアを危険に晒したことで切れていた。
本来は生き残った魔導師から情報を仕入れねばならないのに、その怒りのあまり瞬殺してしまった。
「やっと魔術が使えたわ」
一方、シャラの怒りに気づかず、クローディアは喜んでいた。
今までいくらやっても魔術を使えなかったのだ。それが雷撃と言えども初めて使えてクローディアは嬉しかった。
「ご無事で何よりです」
その横にホッとしたエルンストが跪いた。
「それよりもエルンストさん。見てもらえましたか。初めて魔術が使えたんです」
喜んでクローディアが言った。
「今まで陰険ジャルカに馬鹿にされて、シャラザールさんにも可愛そうな子供を見るように見られていたのに、やつと使えたんです」
危うくそれで殺されそうになったエルンストとしては、素直に喜べなかったが。クローディアの喜びに少しでも応えようとした。
「それは良かったですね」
「はい、本当に」
エルンストの手を取って踊りだしそうなクローディアの前に怒り心頭のシャラが現れた。
「見ていただきました。シャラザールさん。初めて魔術が使えたんです」
そのシャラの怒りに気づかずにクローディアが報告した。
「お前は誰だ」
そのクローディアの喜びよりも、クローディアが危険にさらされたということに過敏に反応しているシャラはクローディアの騎士に誰何していた。
「はっ。私はクローディア様に拾っていただきました騎士のエルンスト・ミハイルと申します」
慌ててエルンストは跪いた。
「そのようなことは聞いていないぞ」
「すいません。シャラザールさん。私が勝手に騎士になってもらったんです」
横からクローディアが言う。
「貴様。クローディアに取り入ろうとするどこかの国の間諜か」
きっとシャラは睨んだ。
「いえ、我が家は元々マーマ王国付の騎士でしたが、王弟の反逆によって追放された身です。クローディア様に苦境にたっていた所を拾って頂きまして、この生命、クローデイア様に捧げております」
「はんっ、そのようななまくら刀で、クローディアを守れるとでも」
「まだまだ若造ですが、この命に変えてもクローディア様を守る所存です」
二人は睨み合った。
「ふんっ、ならばその腕私が見てやろう」
シャラが剣を抜いた。
「その剣で斬りかかって来い」
シャラはエルンストを挑発した。
「えっ、シャラザールさん。何も真剣でやらなくても」
クローディアは慌てた。
「ふんっ。なまくら刀では私の相手もできないのか」
「判りました」
挑発に乗ってエルンストも剣を抜いた。
「エルンストさん」
「クローディア様。ここからは剣士の世界でございます」
言うや、エルンストは止めようとしたクローディアを手で制する。
「えっ、そんな」
クローディアは止めてくれるように周りを見渡すが、周りのみんなは首を振る。
「参る」
エルンストは剣を振りかぶってシャラに斬りかかった。
シャラは軽くその剣を受ける。
エルンストは剣を離して横から斬撃を送る。
それをシャラに片手で弾かれた。
な、何だこいつ。その凄まじい力にエルンストは戦慄した。女だてらにこの群れを率いていないのがよく判った。
これでは瞬殺される。
エルンストは次の一撃に全力を尽くすことにした。
剣を押し返して、離れる。
そして、上段に構えると、全力で斬りつけた。
シャラは思わず両手で受けた。
「ふんっ、こんなものか」
バカにしたように言う。
「では、こちらから行くぞ」
シャラはエルンストの剣を押し返すと、一気に距離を詰めた。
続けざまに斬撃を繰り出す。
一発目でエルンストの剣が弾き折れた。
そのまま峰で思いっきりエルンストを斬りつける。
「グウェェェェ」
エルンストは口から血を吐いて弾き飛ば連れていた。
「エルンストさん」
慌ててクローディアが駆け寄った。
「大丈夫です」
折れた剣を杖にしてエルンストは立とうとした。
「ほう、まだやるのか」
感心したようにシャラは言った。シャラにここまでやられて立上ったものはいなかった。
しかし、血を吐いてエルンストは倒れた。
「エルンストさん、大丈夫、エルンスト」
クローディアが呼びかけるがエルンストはもう返事をしなかった。
「ふんっ、騎士と言いながら大したことはないな」
シャラがそれを見下して言った。
「シャラザールさん。酷い。いくら自分が強いからってここまでするなんて」
切れてクローディアが言った。
「えっ、いや、クローディア。私はお前のことを思ってだな」
シャラは必死に言い訳しようとした。
「ここまですること無いじゃないですか。酷い。最低!」
きっと睨んでクローディアは言った。
その瞬間にシャラが固まってしまった。
さ、最低って言われてしまった・・・・・。愛するクローディアに・・・・
シャラはそのあまりのショックに唖然と立ち尽くしていた・・・・・
*****************************************************************
次は明日の朝に更新します。
この話の千年後の話はこちら
「皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952
この騎士ミハイルの子孫がヒロインのクリスティーナ・ミハイルです。
当然シャラも出てきます。大賢者様も
こちらの話も宜しくお願いします。
本来は生き残った魔導師から情報を仕入れねばならないのに、その怒りのあまり瞬殺してしまった。
「やっと魔術が使えたわ」
一方、シャラの怒りに気づかず、クローディアは喜んでいた。
今までいくらやっても魔術を使えなかったのだ。それが雷撃と言えども初めて使えてクローディアは嬉しかった。
「ご無事で何よりです」
その横にホッとしたエルンストが跪いた。
「それよりもエルンストさん。見てもらえましたか。初めて魔術が使えたんです」
喜んでクローディアが言った。
「今まで陰険ジャルカに馬鹿にされて、シャラザールさんにも可愛そうな子供を見るように見られていたのに、やつと使えたんです」
危うくそれで殺されそうになったエルンストとしては、素直に喜べなかったが。クローディアの喜びに少しでも応えようとした。
「それは良かったですね」
「はい、本当に」
エルンストの手を取って踊りだしそうなクローディアの前に怒り心頭のシャラが現れた。
「見ていただきました。シャラザールさん。初めて魔術が使えたんです」
そのシャラの怒りに気づかずにクローディアが報告した。
「お前は誰だ」
そのクローディアの喜びよりも、クローディアが危険にさらされたということに過敏に反応しているシャラはクローディアの騎士に誰何していた。
「はっ。私はクローディア様に拾っていただきました騎士のエルンスト・ミハイルと申します」
慌ててエルンストは跪いた。
「そのようなことは聞いていないぞ」
「すいません。シャラザールさん。私が勝手に騎士になってもらったんです」
横からクローディアが言う。
「貴様。クローディアに取り入ろうとするどこかの国の間諜か」
きっとシャラは睨んだ。
「いえ、我が家は元々マーマ王国付の騎士でしたが、王弟の反逆によって追放された身です。クローディア様に苦境にたっていた所を拾って頂きまして、この生命、クローデイア様に捧げております」
「はんっ、そのようななまくら刀で、クローディアを守れるとでも」
「まだまだ若造ですが、この命に変えてもクローディア様を守る所存です」
二人は睨み合った。
「ふんっ、ならばその腕私が見てやろう」
シャラが剣を抜いた。
「その剣で斬りかかって来い」
シャラはエルンストを挑発した。
「えっ、シャラザールさん。何も真剣でやらなくても」
クローディアは慌てた。
「ふんっ。なまくら刀では私の相手もできないのか」
「判りました」
挑発に乗ってエルンストも剣を抜いた。
「エルンストさん」
「クローディア様。ここからは剣士の世界でございます」
言うや、エルンストは止めようとしたクローディアを手で制する。
「えっ、そんな」
クローディアは止めてくれるように周りを見渡すが、周りのみんなは首を振る。
「参る」
エルンストは剣を振りかぶってシャラに斬りかかった。
シャラは軽くその剣を受ける。
エルンストは剣を離して横から斬撃を送る。
それをシャラに片手で弾かれた。
な、何だこいつ。その凄まじい力にエルンストは戦慄した。女だてらにこの群れを率いていないのがよく判った。
これでは瞬殺される。
エルンストは次の一撃に全力を尽くすことにした。
剣を押し返して、離れる。
そして、上段に構えると、全力で斬りつけた。
シャラは思わず両手で受けた。
「ふんっ、こんなものか」
バカにしたように言う。
「では、こちらから行くぞ」
シャラはエルンストの剣を押し返すと、一気に距離を詰めた。
続けざまに斬撃を繰り出す。
一発目でエルンストの剣が弾き折れた。
そのまま峰で思いっきりエルンストを斬りつける。
「グウェェェェ」
エルンストは口から血を吐いて弾き飛ば連れていた。
「エルンストさん」
慌ててクローディアが駆け寄った。
「大丈夫です」
折れた剣を杖にしてエルンストは立とうとした。
「ほう、まだやるのか」
感心したようにシャラは言った。シャラにここまでやられて立上ったものはいなかった。
しかし、血を吐いてエルンストは倒れた。
「エルンストさん、大丈夫、エルンスト」
クローディアが呼びかけるがエルンストはもう返事をしなかった。
「ふんっ、騎士と言いながら大したことはないな」
シャラがそれを見下して言った。
「シャラザールさん。酷い。いくら自分が強いからってここまでするなんて」
切れてクローディアが言った。
「えっ、いや、クローディア。私はお前のことを思ってだな」
シャラは必死に言い訳しようとした。
「ここまですること無いじゃないですか。酷い。最低!」
きっと睨んでクローディアは言った。
その瞬間にシャラが固まってしまった。
さ、最低って言われてしまった・・・・・。愛するクローディアに・・・・
シャラはそのあまりのショックに唖然と立ち尽くしていた・・・・・
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次は明日の朝に更新します。
この話の千年後の話はこちら
「皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952
この騎士ミハイルの子孫がヒロインのクリスティーナ・ミハイルです。
当然シャラも出てきます。大賢者様も
こちらの話も宜しくお願いします。
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