愛しい娘になんとか「お父様」と言われたい

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
1 / 3

一夜の過ちで娘が出来たのを後日知りました

しおりを挟む
「な、何て可愛いんだ」
 俺は初めて自分の娘の姿を隠し撮りした映像魔術を見て感激した。

 5歳のその子はとても可憐だった。
 小さくちょこちょこと歩く様はとても可愛かった。
 ストレートの黒髪は母親の血を引いているのは見た目で判った。
 顔の作りも母親に似ていて将来美人になるのは確実だった。
 まあ娘は父親に似た方が美人になると言う噂もあったが、俺は帝国の皇子だから、見目はもう一つ良くない。母親に似た方が余程嬉しかった。
 でも、金のくりくりとしたつぶらな瞳は俺の血を引いている。
 俺は今までまさか俺の娘がいるなんて想像だにしていなかった。
 でも、あの金色の瞳は我が皇家独特のものだ。
 俺の娘で間違いは無かった。
 目元も俺とよく似ていたし……

 でも、その子が何故か危険なダンジョンに潜っているのだが……何でだ?

「ママ、変なおじちゃんがこちらを見ているよ」
「なんですって!」
 怒り顔の懐かしい顔のアップで画像は途切れていた。

「おい、この続きの映像はどうした?」
 俺は慌てて次を促したが、
「申し訳ありません。陛下。これが現地から届いた唯一の映像でして」
 暗部の長が首を振ってくれた。

「残りの暗部はどうした?」
「申し訳ありません。10名送りましたが、皆、連絡が取れなくなりまして……」
「そうか」
 俺は原因に思い至った。
 まあ、あの女とまともにやり合えるのものはこの帝国でもほとんどいまい。
 俺は外務卿を呼び出したのだ。


 俺が我が娘の存在に気付いたのは我が属国からの矢のような援軍依頼が発端だった。

 なんでも、隣国から魔物達が大挙して我が属国に流れ込んできたというのだ。
「陛下、その昔、ノルトハイム王国に留学していらっしゃいましたよね。陛下からノルトハイム王国に対して、我が属国への魔物の流出を止めるように依頼して頂けませんか?」
 外務卿が俺の所に頭を抱えてやってきた。
「ノルトハイムの誰に言えば良いんだ?」
 俺は外務卿に尋ねていた。かの国にはもはや知り合いも少なくなったが、いないこともなかった。

「やはり国王陛下でしょうか?」
「あいつか!」
 俺は苦虫をかみ潰したような顔をしていたと思う。
「あいつは好かん!」
「陛下、まあ、そうおっしゃられずに」
「しかし、あいつは俺が親しくしていた奴の婚約者のクリスティーネを婚約破棄して国外追放した悪逆非道な王だぞ」
 俺は昔を思い出した。クリスティーネは俺と同じAクラスで魔術の得意な女だった。
俺たちは同じ魔術部で当時若手の新進気鋭の魔術師と近隣諸国に鳴り響いたヨーゼフの下で魔術の研鑽をしたのだ。俺はよく、そのクリスティーネと一年後輩の平民のゲオルクと一緒に行動していた。

「その婚約破棄された原因は陛下がクリスティーネ様に手を出されたからではないでしょうな?」
 俺の言葉に外務卿がとんでもないことを言いだしてくれた。
「愚か者! お前な、クリスティーネなんかに手を出せるわけは無いだろう。そんなことをしたら燃やされたぞ」
「燃やされるのですか? 国王陛下に?」
「愚か者、クリスティーネにだ! きゃつは下手したら我が国の魔術師団全員が相手しても勝てるかどうかの腕前だったのだぞ」
「それほどの腕前の女性に陛下は手を出されたので?」
 うさんくさそうに外務卿が俺を見てくれた。
「いや、だからあれは事故だったんだ」
 俺は遠くを見た。

「やはり陛下が手を出されたのですね。国際問題ではないですか! 私は何も引き継ぎを受けておりませんが……」
「だから俺が原因でクリスティーネが婚約破棄されたのではない。アーデルハイトがディアナとか言う平民の女に手を出したのが原因だ!」
俺ははっきりと否定した。
「ディアナ様と言えば今のノルトハイム王国の王妃様ではございませんか?」
「そうだ。だからノルトハイム王国は気に食わん!」
「陛下がクリスティーネ様に手を出さねばそのクリスティーネ様がノルトハイム王国の王妃様だったのですね」
「だから、違うと言っているだろう! あれは本当に事故だったんだって」
 俺が言い訳したが外務卿は信じていない風だったが……

 当時あの学園にはヨーゼフの元で学ぶために帝国の俺が留学していたし、その俺を慕って帝国の学生も結構いた。更には俺やアーデルハイト狙いで他国の王女や高位貴族の令嬢や令息達が大挙して留学しており、今では考えられないことだが、大陸一人気の学園になっていた。
 俺がたまたまいない時にクリスティーネが国王に婚約破棄されて国外追放を命じられたのだ。
 俺はそんなクリスティーネとゲオルクと一緒に諸国を漫遊したのだ。
 そんな俺がとある王国の王宮主催のパーティーでその国の王女から媚薬を一服盛られたのだ。
 俺はその女の部屋から気付いて慌てて逃げ出したが、廊下で倒れている俺を見つけてクリスティーネが自分の部屋に連れ込んで解放してくれたのだ。
当時、俺はクリスティーネに対して、純粋に魔術のライバルというか仲間という感じで恋愛という感覚は無かった。俺よりは余程ゲオルクの方がクリスティーネにアプローチしていた。
 でも、その隣国の王女の持ち込んだ媚薬は強力で俺はのたうち回ったのだ。
「クリスティーネ、直ちに俺から離れて医者を連れてこい!」
俺はクリスティーネに襲いかかりそうになるのを必死に耐えて叫んだのだ。
「はああああ、あなた、帝国の皇子が愚かにもパウナの王女なんかに媚薬を盛られたと公表するつもりなの」
クリスティーネは俺の言葉を無視してくれたのだ。
「頼むからクリスティーネ、このままでは俺はお前を襲ってしまうから、出て行け!」
俺は必死にクリスティーネを遠ざけようとした。
「別に良いわよ。襲うなら襲いなさいよ」
俺はクリスティーナの言葉に唖然とした。
クリスティーネの婚約者は平民と懇ろになっていたのは知っていたが、さすがに俺はまずいと思ったのだ。それにクリスティーネに恋心を持っているゲオルクにもまずい!
俺は必死に遠ざけようとした。
なのに、クリスティーナは俺から遠ざからなかった。
「レオ、このままだとあなた死んでしまうわ。良いわよ。事故に遭ったと思えば良いんだから。私に襲いかかってきなさい」
その瞬間だ! クリスティーナのその言葉に俺が必死に抑えていた理性が吹っ飛んだのだ。
後にも先にもあのように獣のように交わった事は無かった。
俺は欲望の限りをクリスティーナにぶつけたのだ。
本当に俺はやってしまった。

俺が気付いたときは俺はベッドに一人でいた。

俺はその後すぐに父危篤の報で帝国に帰った。
クリスティーネ達と別れたのだ。

 
クリスティーナと一夜の過ちでまさか娘が出来ていたなんて思いもしなかったのだ。
************************************************
ここまで読んで頂いて有難うございます。
どこかで聞かれた名前だと思いますがよろしくお願いします。
不定期更新です。
お気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係

紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。 顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。 ※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)

ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に

ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。 幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。 だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。 特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。 余計に私が頑張らなければならない。 王妃となり国を支える。 そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。 学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。 なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。 何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。 なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。 はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか? まぁいいわ。 国外追放喜んでお受けいたします。 けれどどうかお忘れにならないでくださいな? 全ての責はあなたにあると言うことを。 後悔しても知りませんわよ。 そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。 ふふっ、これからが楽しみだわ。

【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」 婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。 ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。 表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723) 【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19 【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+ 2021/12  異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過 2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

婚約者の私には何も買ってはくれないのに妹に好きな物を買い与えるのは酷すぎます。婚約破棄になって清々しているので付き纏わないで

珠宮さくら
恋愛
ゼフィリーヌは、婚約者とその妹に辟易していた。どこに出掛けるにも妹が着いて来ては兄に物を強請るのだ。なのにわがままを言って、婚約者に好きな物を買わせていると思われてしまっていて……。 ※全5話。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

婚約者である王子の近くには何やら不自然なほどに親しい元侍女の女性がいるのですが……? ~幸せになれるなんて思わないことです~

四季
恋愛
婚約者である王子の近くには何やら不自然なほどに親しい元侍女の女性がいるのですが……?

処理中です...