悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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友人が侵入者にナイフを突きつけられていました

 魔物討伐訓練の翌日になった。

 結局、サラマンダーが出てきた原因もわからなかったし、私を狙って毒矢を放った犯人もわからずじまいだった。騎士団が調べたが、犯人は当然立ち去った後であり、証拠になりそうな物は残っていなかったのだ。ただ、毒の成分としては帝国によく生えている毒草が使われたということが判っただけだった。

「ユリアが学園行事で襲われるなんて、どういう事だ? そんな危険なところに可愛いユリアを行かせられるか」
 過保護なのはお兄様だけだと思っていたら、それを聞いたお父様も激怒してしまったのだ。

「父上、ユリアの事よりも心配するなら力の弱いリーゼではないのですか」
 フランツお兄様が至極まっとうな意見を話してくれた。
 私ならば普通の騎士なら襲いかかってきても、やり返す自信はあったが、お姉様にはそれは無理だ。
 王太子の婚約者のお姉様を守る方が大切だと思ったんだけど……

「フランツ、いくらユリアでも、負ける可能性はある。現実に今回は狙われたのがユリアだ。学園内の安全が確保できなのならば、しばらくユリアを休ませた方がいいのではないか?」
 お父様はとんでもないことを言いだしてくれた。
 でも、私は学園を休むのは嫌だった。
 頼み込んでなんとか行けることになったんだけど、お兄様の護衛の監視付きで行くことになってしまった。お兄様の過保護ぶりに拍車がかかってしまったんだけど、学園を休まされるよりはましだと私は諦めた。
 宝飾店に出していた水竜の魔石のブローチが返ってきたので、今度はそのブローチをネックレスにして服の下につけさせられた。髪飾りに指輪、それにブローチ。これだけお守りがあればおそらく古代竜に襲われても大丈夫だと思うンだけど……

 その日の朝も馬車溜まりから、皆の生暖かい視線と、女達の嫉妬に狂った視線、それとツェツィーリア様の私を射殺しそうな視線に耐えながら、私の教室までお兄様が抱き上げて運んでくれた。

「おはよう、ユリア」
「おはよう」
 皆もさすがに慣れたもので私に挨拶してくれた。
「おはよう」
 お兄様に降ろしてもらって私は皆に挨拶した。
「ユリア、放課後にまた迎えに来るから」
 お兄様はそう言うと私に手を振って去って行った。
「ありがとう、お兄様」
 私も手を振り返した。

「禁断のユリア様よ」
 フィリーネが目を輝かせて私の所にくるんだけど……
「禁断って何よ。禁断って! お兄様は単に私に過保護なだけよ」
 私が反論するが、
「ディープキスしていた人がそれを言う?」
 ビアンカまでもが言ってくれるんだけど、
「私が毒を吸い出したからその毒を吸ってくれたんだって」
 私が必死に言い訳するが、
「「「ふーーーーん」」」
 皆は全く聞いてくれなかった。

「絶対に違うんだから」
 私は言い訳しつつ、近くのボンズの様子を見て驚いた。

「どうしたの、ボンズ? あなたが教科書を開いているなんて、明日は大雪なのかしら」
「ふんっ、どこかのお気楽お嬢様と違って、俺はテストで点数を取らないといけないんだよ。クラス落ちたら小遣い半減を言い渡されているからな」
「えっ、もうテストだっけ?」
私はボンズの言葉に驚いた。
「本当にお気軽よね。今日から二週間前よ。そんなのも知らないの?」
 よく見たらマリアもノートを広げて勉強していた。
「うわー、マリアまで勉強している」
 私が驚くと、
「さすが主席のユリアーナ様。余裕ですな」
 ダミアンが私を褒めてくれた。
「えっ、余裕じゃないわよ。私も頑張って勉強しないと」
 私も慌てて教科書を開いて勉強を始めたのだ。

 成績でクラス順まで変わる学園で定期テストはとても重大な行事だった。大半の成績はこのテスト一発で決まるのだ。皆が必死になるのもよく判った。

 昼食の時もいつもより静かだと思ったら、よく見たら他のクラスも皆、必死に勉強していたのだ。
 なんとあのピンク頭ですら、教科書片手に食べていたのは驚いてしまった。

 これが定期テストという物なんだ。前世病弱でテストもほとんど受けられなかった私は半分喜んで勉強しだしたのだ。

お兄様に無理言って図書館で居残りして勉強を始めたのだ。

「仕方がないな。なら俺は生徒会室でやることやってくるから、2時間後に迎えに来る」
お兄様の言葉に私はマリア達と一緒に図書館で勉強を始めたのだ。
今まではガラガラだったのに、さすがテスト前だ。図書館の中は人でいっぱいだったが、学園の図書館は大きくて、2階はまだ端の方が空いていた。

なんとかマリアら4人で座ると私は復習を始めたのだ。
歴史は帝国の歴史も王国の歴史も完璧だったし、地理も結構頭に入っていたが、数学が私の前世の知識を超えてしまったので、私は数学を中心に勉強することにしたのだ。

中々数学は少し難解だった。でも、まだXとYしか出ていないから簡単と言えば簡単だった。
「あれ、トイレに行ったフィリーネが返ってくるの遅くない?」
ビアンカがふと気付いて言い出した。
「それもそうね」
かれこれ20分くらい経っている。
「丁度きりのいいところだから私が見てくるわ」
私は立ち上った。

トイレはその階の奥の少しわかりにくいところだった。
女子トイレの扉を開けて中を覗くと、女子の個室トイレで扉が閉まっているのは一番奥の1つだけだった。
「フィリーネ、大丈夫?」
私が声をかけた時だ。

「うーうー」
閉まっている奥の個室からフィリーネらしい声がした。
どうしたんだろう?
私が奥に進んで行くと、誰かが入ってくる音がした。

「えっ?」
後ろを振り返るとトイレの清掃員の格好をした男が一人入ってきたのだ。
学園の女子トイレを男性が掃除するのはあり得なかった。
驚いた私の目の前で個室のトイレの扉が開いたのだ。

そこには猿ぐつわを噛まされて黒ずくめの男に捕まっているフィリーネがいたのだった。
「フィリーネ!」
私が駆け寄ろうとすると、
「動くな。この女がどうなっても良いのか?」
黒ずくめの男がナイフをフィリーネの首筋にピタリとつけてくれたのだ。
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