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お昼になったら王太子に生徒会室に連れて行かれました
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キンコンカンコーン
キンコンカンコーン
私達が話していた時だ。予鈴のベルが鳴り出した。
私達を見ていた生徒達も慌てて教室に向かおうとした。
私も教室に行こうとした時だ。
「じゃあ、クラリス、また、お昼に」
「えっ?」
エミールが私にだけ聞こえるようにぼそりと話しかけてくれたんだけど、どういう意味なんだろう?
私はエミールの言うことがよく判らなかった。
でも、そのまま、エミールは去って行ったのだ。
ぽかんとしている私は慌てて教室に向かおうとした。
その時、チラリと見たアニエスが私のことを鬼のような般若の表情で私を見ていたんだけど……
ぎょっとした私を見て、慌てて愛想笑いをするとアニエスは教室に向かったのだ。
やっぱり謝ってきたのは嘘だったんだ。
私は前途に暗澹たる気分を感じた。
でも、その日は全ての授業が順調だった。
私に謝ったところだからか、アニエスが絡んでくることもなかった。
アニエスが私に頭を下げたのを皆見ていたからだろうか、その取り巻き達も静かだった。
特に数学の授業中は……彼女らも懲りたみたいだった。
また、エミールも顔を出さなかったから、エミールにアニエスが絡むことも無かったのだ。
お昼休みになった。
アニエス達はまた、さっさと教室から出て行った。
男の子達もそれについて行く者も多いようだった。
私も早めに行かないと。
私が教室を出ようとした時だ。
急ぎ足でやってきたエミールと出会ったのだ。
「良かった。クラリスに会えて」
エミールが言ってくれるんだけど。そう言いながらエミールは教室をちらっと見遣って中にいる人を確認していた。
他の者に会いに来たのではないのか?
「アニエスさんがいなくて残念でしたね」
私が思わずに言うと、
「何故、俺がボラック男爵令嬢に会いに来ないといけない?」
むっとしてエミールが私を睨んできた。
それはそうだ。呼べばアニエスはエミールのところに喜んでいくだろう。
ということは私に用なんだろうか?
「で、何のご用ですか? 私もお昼を食べないといけないので」
私の声は氷のように冷たかった。
ぎょっとした顔をエミールがしてくれたけれど、アニエスと抱き合っていて、朝のあれで許されたと思っているんだろうか?
教室に残っていた者達がチラチラこちらを見てくる。
「場所を変えよう」
そう言うと、エミールは私の手を引いて、歩き出したんだけど。
「殿下、手を引くのは止めてください」
私が後ろから小さい声で文句を言ったのだが、エミールは聞いてくれなかった。
そのままずんずん歩いて行って生徒会と書かれている小屋に歩いて行くんだけど。
「あの、殿下。私は生徒会の役員では無いんですけど」
そのまま私を連れて入ろうとした、エミールに私が文句を言うと、
「良いんだ。セドリックの了承も取ってある」
そう言うと強引に扉を開けて中に入れてくれたのだ。
「クラリス、遅かったね」
私を見かけてお兄様が声をかけてきた。
机が島上に固めてあって真ん中の席にお兄様が座っていた。
「お兄様! 役員でも無い私なんかが入っても良かったのですか?」
私がお兄様に聞くと、
「別に良いよ。その代わり仕事を手伝ってもらうから。さあ、クラリスは私の横に」
お兄様がお兄様の右端の席を私に示してくれた。
「セドリック! アニエスは俺の隣だろう」
眉を上げたエミールがお兄様を睨み付けたけれど、
「ここでは私が生徒会長です。会長権限でこの席にしました」
「ぐぐぐぐ、来年は俺が生徒か一様になるからな。そうしたら隣の席にしてやる」
エミールが何かブツブツ呟いていた。
「へええええ、あの氷の殿下がクラリスさんには執着しているんですね」
私とエミールを見てお兄様の反対側の横に座っていたエマ・マクレガー侯爵令嬢が驚いた顔をしていた。
「彼女はエマ、で書記をしてもらっているんだけど、知っているのか」
「はい。王太后様のお茶会で侯爵夫人と一緒に何回かお会いしたことがありますから」
「王太后様が殿下がクラリスさんに執着しているとは伺っていたのですが、ここまでとは思っていませんでした」
エマは笑ってくれるんだけど、
「もっと凄いよ」
お兄様まで訳のわかんないことを言ってくれるんだけど。
「持ってきましたよ」
そこで扉が開いてエミールの側近のバジル・オクレール侯爵令息とシャルル・アザール伯爵令息が食堂のトレイを積んで持ってきてくれたのだ。
「えっ?」
私がそれを見て驚いていると、
「食堂じゃ、人が多くて大変だろう。忙しい時はこうやって生徒会室まで持ってきて食べるのさ」
お兄様の説明する間も、机の上に二人が並べてくれた。
「さあ、クラリスも座って」
今まで繋いでいたエミールの手を強引に引き離すとお兄様が私を隣の席に座らせてくれた。
「でも、私、役員でも無いのに」
「まあ、手伝いだな。生徒会長権限で忙しい時は手伝いを指名できるとこになっているから。今は丁度予算の時で忙しいんだよ」
お兄様はそう言ってくれるんだけど、本当に良いんだろうか?
「まあ、そういう事だから気にしないで」
エマまで言ってくれるんだけど。
「本当に良いんですか?」
私氏は周りの方を見回すと、
「良いから良いから」
「クラリスちゃんもさっさっと食べて」
運んできたバジルとシャルルまで言ってくれた。
「じゃあ、バジルさんとシャルルさん頂きます」
私は運んできた二人にお礼を言って、食べ出したのだ。
私の前にはお肉のステーキがあって今日もとても美味しかった。
私が幸せそうに食べていると、
「本当にクラリスさんは美味しそうに食べるよね」
笑ってバジルさんが指摘してくれた。
「おい、こら、クラリスを見るな」
エミールが怒って隠そうとするんだけど、
「殿下、見ても減るものじゃ無いでしょ」
バジルが怒って言うが、
「減る、減るから見るな」
エミールが怒って言うんだけど……
「本当に殿下ってクラリスさんに過保護なんですね」
呆れてエマが指摘してくれた。
「本当にそうなんですよ。学園の始まる前は『俺のクラリスを獣共のいる学園には連れて行きたくない』とか、本当に大変だったんですから」
呆れてシャルルが言ってくれるんだけど、本当なんだろうか?
「そうですよ。ここでも俺達がいなかったら、平気でクラリスさんに食べさせしていますよ」
「家では実際に食べさせていたぞ」
バジルの声にお兄様が余計な事を教えているんだけど……止めて!
「えっ、宰相の前でですか?」
「俺と父は目のやりどころに困った」
「お兄様!」
私はとても恥ずかしくて真っ赤になっていた。
**********************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます
クラリスにとっては幸せな一コマでした。
お気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
静かな聖女が不審ですが……
続きは今夜です。
キンコンカンコーン
私達が話していた時だ。予鈴のベルが鳴り出した。
私達を見ていた生徒達も慌てて教室に向かおうとした。
私も教室に行こうとした時だ。
「じゃあ、クラリス、また、お昼に」
「えっ?」
エミールが私にだけ聞こえるようにぼそりと話しかけてくれたんだけど、どういう意味なんだろう?
私はエミールの言うことがよく判らなかった。
でも、そのまま、エミールは去って行ったのだ。
ぽかんとしている私は慌てて教室に向かおうとした。
その時、チラリと見たアニエスが私のことを鬼のような般若の表情で私を見ていたんだけど……
ぎょっとした私を見て、慌てて愛想笑いをするとアニエスは教室に向かったのだ。
やっぱり謝ってきたのは嘘だったんだ。
私は前途に暗澹たる気分を感じた。
でも、その日は全ての授業が順調だった。
私に謝ったところだからか、アニエスが絡んでくることもなかった。
アニエスが私に頭を下げたのを皆見ていたからだろうか、その取り巻き達も静かだった。
特に数学の授業中は……彼女らも懲りたみたいだった。
また、エミールも顔を出さなかったから、エミールにアニエスが絡むことも無かったのだ。
お昼休みになった。
アニエス達はまた、さっさと教室から出て行った。
男の子達もそれについて行く者も多いようだった。
私も早めに行かないと。
私が教室を出ようとした時だ。
急ぎ足でやってきたエミールと出会ったのだ。
「良かった。クラリスに会えて」
エミールが言ってくれるんだけど。そう言いながらエミールは教室をちらっと見遣って中にいる人を確認していた。
他の者に会いに来たのではないのか?
「アニエスさんがいなくて残念でしたね」
私が思わずに言うと、
「何故、俺がボラック男爵令嬢に会いに来ないといけない?」
むっとしてエミールが私を睨んできた。
それはそうだ。呼べばアニエスはエミールのところに喜んでいくだろう。
ということは私に用なんだろうか?
「で、何のご用ですか? 私もお昼を食べないといけないので」
私の声は氷のように冷たかった。
ぎょっとした顔をエミールがしてくれたけれど、アニエスと抱き合っていて、朝のあれで許されたと思っているんだろうか?
教室に残っていた者達がチラチラこちらを見てくる。
「場所を変えよう」
そう言うと、エミールは私の手を引いて、歩き出したんだけど。
「殿下、手を引くのは止めてください」
私が後ろから小さい声で文句を言ったのだが、エミールは聞いてくれなかった。
そのままずんずん歩いて行って生徒会と書かれている小屋に歩いて行くんだけど。
「あの、殿下。私は生徒会の役員では無いんですけど」
そのまま私を連れて入ろうとした、エミールに私が文句を言うと、
「良いんだ。セドリックの了承も取ってある」
そう言うと強引に扉を開けて中に入れてくれたのだ。
「クラリス、遅かったね」
私を見かけてお兄様が声をかけてきた。
机が島上に固めてあって真ん中の席にお兄様が座っていた。
「お兄様! 役員でも無い私なんかが入っても良かったのですか?」
私がお兄様に聞くと、
「別に良いよ。その代わり仕事を手伝ってもらうから。さあ、クラリスは私の横に」
お兄様がお兄様の右端の席を私に示してくれた。
「セドリック! アニエスは俺の隣だろう」
眉を上げたエミールがお兄様を睨み付けたけれど、
「ここでは私が生徒会長です。会長権限でこの席にしました」
「ぐぐぐぐ、来年は俺が生徒か一様になるからな。そうしたら隣の席にしてやる」
エミールが何かブツブツ呟いていた。
「へええええ、あの氷の殿下がクラリスさんには執着しているんですね」
私とエミールを見てお兄様の反対側の横に座っていたエマ・マクレガー侯爵令嬢が驚いた顔をしていた。
「彼女はエマ、で書記をしてもらっているんだけど、知っているのか」
「はい。王太后様のお茶会で侯爵夫人と一緒に何回かお会いしたことがありますから」
「王太后様が殿下がクラリスさんに執着しているとは伺っていたのですが、ここまでとは思っていませんでした」
エマは笑ってくれるんだけど、
「もっと凄いよ」
お兄様まで訳のわかんないことを言ってくれるんだけど。
「持ってきましたよ」
そこで扉が開いてエミールの側近のバジル・オクレール侯爵令息とシャルル・アザール伯爵令息が食堂のトレイを積んで持ってきてくれたのだ。
「えっ?」
私がそれを見て驚いていると、
「食堂じゃ、人が多くて大変だろう。忙しい時はこうやって生徒会室まで持ってきて食べるのさ」
お兄様の説明する間も、机の上に二人が並べてくれた。
「さあ、クラリスも座って」
今まで繋いでいたエミールの手を強引に引き離すとお兄様が私を隣の席に座らせてくれた。
「でも、私、役員でも無いのに」
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お兄様はそう言ってくれるんだけど、本当に良いんだろうか?
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エマまで言ってくれるんだけど。
「本当に良いんですか?」
私氏は周りの方を見回すと、
「良いから良いから」
「クラリスちゃんもさっさっと食べて」
運んできたバジルとシャルルまで言ってくれた。
「じゃあ、バジルさんとシャルルさん頂きます」
私は運んできた二人にお礼を言って、食べ出したのだ。
私の前にはお肉のステーキがあって今日もとても美味しかった。
私が幸せそうに食べていると、
「本当にクラリスさんは美味しそうに食べるよね」
笑ってバジルさんが指摘してくれた。
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エミールが怒って隠そうとするんだけど、
「殿下、見ても減るものじゃ無いでしょ」
バジルが怒って言うが、
「減る、減るから見るな」
エミールが怒って言うんだけど……
「本当に殿下ってクラリスさんに過保護なんですね」
呆れてエマが指摘してくれた。
「本当にそうなんですよ。学園の始まる前は『俺のクラリスを獣共のいる学園には連れて行きたくない』とか、本当に大変だったんですから」
呆れてシャルルが言ってくれるんだけど、本当なんだろうか?
「そうですよ。ここでも俺達がいなかったら、平気でクラリスさんに食べさせしていますよ」
「家では実際に食べさせていたぞ」
バジルの声にお兄様が余計な事を教えているんだけど……止めて!
「えっ、宰相の前でですか?」
「俺と父は目のやりどころに困った」
「お兄様!」
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静かな聖女が不審ですが……
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