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凛視点2 葵を取り返そうとしました
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私は王子様と懇ろな関係になった。
そして、ついに王子様婚約者になったのだ。
毎日、王子様といちゃいちゃして、美味しいものを食べて、この異世界の勉強をして、優雅に過ごしていたのだ。
私は幸せの絶頂だった。
でも、その幸せも長くは続かなかった。
シリルにそろそろ癒し魔術の練習をしましょうと言われたのだ。
ヒールの練習だ。まあ、楽勝で出来るはずだった。
何しろ私は聖女様なのだから。
と思っていたのだ。
「ヒール」
まず、簡単に詠唱しても出来なかった。
「ヒール!」
次は力強く言ってみた。全く出来ない。
「ヒール! ヒール! ヒール!」
何回叫んでも、全然出来なかったのだ。
「あんた、教え方が下手なんじゃないの?」
プッツン切れた私は癒やし魔術師に八つ当たりした。
「えっ、いえ、そのような事は」
「そのものを首にせよ」
優しい王子様は即座に命じてくれた。
というか、この国の王は聖女の私だ。私に楯突くなんて本来は許されないことなのよ!
でも、次の癒やし魔術師が教えてくれても同じだった。
「おかしいわね」
私は首をひねった。
でも、シリルの奴は頭を抱えてくれているんだけど。
こいつも生意気だ。私に何か文句があるのだろうか?
「シリル、何か言いたいことがあるのかしら」
私はいきなり首にはせずに聞いてあげたのだ。
「あのう、リン様。聖女様の基本は癒やし魔術の出来ることなのです」
「でも私は聖女なのよ。それはあなた達が認めたじゃない」
「左様でございます。既に聖女認定式も済み、王配殿下もアラム様に決まりました」
シリルは当然のことを言ってくれた。
「そうよ。で、それがどうしたの?」
「聖女として召喚された方はお二人いらつしゃいました」
シリルが言い出したのだ。
「そうよ。その中で、私を取ったのはあなた達じゃない」
私が言うとシリルは黙りこくったのだ。
今更誰が何を言おうと私が聖女だ。私が聖女でないと認めた途端に、教会の権威は地に落ちるだろう。何しろ葵よりも私が聖女にふさわしいと認めたのは教会なのだから。
「まあ、リン、そうシリルをせめてやるな」
「そうね。私が聖女ではないなど、今更口が裂けても言えないわよね」
私はそう言うと笑ったのだ。
「癒やし魔術なら、あの放りだした女にさせてはどうかしら。私の横に首輪をつけて繋ぐのよ。奴隷としてね」
「な、なんということを」
シリルは驚いて私を非難してきたが、
「じゃあ、こう言うの? 『教会は本当の聖女様を聖女で無いと認定して、宮殿の外に放りだしました』って」
私が笑って言うと
「そんな事は言えるわけはありません」
シリルは呻いたのだ。
「そう、それは今更無理だ」
アラムも認めてくれた。
「じゃあそうするしかないのではなくて」
私が笑って言ってやったのだ。
シリルは俯くことしか出来なかった。
「で、あの追い出した女は今、どこにいるの? いる所は掴んでいるのでしょう?」
「いえ、それが……」
シリルは慌てた。
なんてことだ。こいつら私が言う様に本当に何も考えずに聖女を外に放りだしたみたいだった。その居所も掴んでいないなんて。
本当に無能だ。
追い出してもその後の見張りをつけておくくらいは当然のことなのに。それも出来ていないなんて。コイツラもそろそろ首にしよう。私は心に決めたのだ。
それに、そもそもあの病弱の葵が今も生きていられるんだろうか?
私は少し心配になってきた。でも、あの図太い葵が簡単にくたばる訳はなかったのだ。
教会の組織網と暗部を使った捜索で、葵の居所が判ったのだ。
なんと葵は帝国に匿われていたのだ。
どういう事なのだ? どうして、このアリストンで追い出した葵が帝国の宮殿で匿われているのだ。
なんでも、その皇子様に気に入られていると言うではないか。
葵の心配なんてした私が馬鹿だった。あいつはどこでもゴキブリのように図太く生きていけるのだ。
それも、私のようなキンロスとかいう三流国の皇子と違って、大帝国の皇子を捕まえているなんて許せなかった。
私は直ちに葵を連れ戻すようにシリルらに命じたのだ。
なあに、単純な葵ならば私が泣いて悔いていると嘘を告げればひょこひょこと付いてくるわよ。
私はシリルらにそう告げるように命じたのだ。
そう言って、こちらに連れてくればこちらのものだ。
後は奴隷の首輪をつけて一生涯飼ってやれば良いのだ。
十数年間、私が葵の面倒は見てあげたのだ。今度は逆に葵が私の面倒を見てくれる番だ。それも奴隷としてね。
でも、襲撃部隊が失敗したとの報告が入ってきた。
シリル等はペラペラと余計なことまで話しているらしい。
私は直ちに暗部に命じたのだ。余計なやつは殺せと。
本当に役立たずだ。失敗した上に我が国の機密まで話すとは。
まあ丁度処分しようとしていたところだったから良かったのだ。
私はそう思うことにした。
なあに、帝国も女神教に、いや、この聖女様の私に正面から文句を言ってくることなど出来るわけはないのだ。
そう私は楽観していた。
そして、ついに王子様婚約者になったのだ。
毎日、王子様といちゃいちゃして、美味しいものを食べて、この異世界の勉強をして、優雅に過ごしていたのだ。
私は幸せの絶頂だった。
でも、その幸せも長くは続かなかった。
シリルにそろそろ癒し魔術の練習をしましょうと言われたのだ。
ヒールの練習だ。まあ、楽勝で出来るはずだった。
何しろ私は聖女様なのだから。
と思っていたのだ。
「ヒール」
まず、簡単に詠唱しても出来なかった。
「ヒール!」
次は力強く言ってみた。全く出来ない。
「ヒール! ヒール! ヒール!」
何回叫んでも、全然出来なかったのだ。
「あんた、教え方が下手なんじゃないの?」
プッツン切れた私は癒やし魔術師に八つ当たりした。
「えっ、いえ、そのような事は」
「そのものを首にせよ」
優しい王子様は即座に命じてくれた。
というか、この国の王は聖女の私だ。私に楯突くなんて本来は許されないことなのよ!
でも、次の癒やし魔術師が教えてくれても同じだった。
「おかしいわね」
私は首をひねった。
でも、シリルの奴は頭を抱えてくれているんだけど。
こいつも生意気だ。私に何か文句があるのだろうか?
「シリル、何か言いたいことがあるのかしら」
私はいきなり首にはせずに聞いてあげたのだ。
「あのう、リン様。聖女様の基本は癒やし魔術の出来ることなのです」
「でも私は聖女なのよ。それはあなた達が認めたじゃない」
「左様でございます。既に聖女認定式も済み、王配殿下もアラム様に決まりました」
シリルは当然のことを言ってくれた。
「そうよ。で、それがどうしたの?」
「聖女として召喚された方はお二人いらつしゃいました」
シリルが言い出したのだ。
「そうよ。その中で、私を取ったのはあなた達じゃない」
私が言うとシリルは黙りこくったのだ。
今更誰が何を言おうと私が聖女だ。私が聖女でないと認めた途端に、教会の権威は地に落ちるだろう。何しろ葵よりも私が聖女にふさわしいと認めたのは教会なのだから。
「まあ、リン、そうシリルをせめてやるな」
「そうね。私が聖女ではないなど、今更口が裂けても言えないわよね」
私はそう言うと笑ったのだ。
「癒やし魔術なら、あの放りだした女にさせてはどうかしら。私の横に首輪をつけて繋ぐのよ。奴隷としてね」
「な、なんということを」
シリルは驚いて私を非難してきたが、
「じゃあ、こう言うの? 『教会は本当の聖女様を聖女で無いと認定して、宮殿の外に放りだしました』って」
私が笑って言うと
「そんな事は言えるわけはありません」
シリルは呻いたのだ。
「そう、それは今更無理だ」
アラムも認めてくれた。
「じゃあそうするしかないのではなくて」
私が笑って言ってやったのだ。
シリルは俯くことしか出来なかった。
「で、あの追い出した女は今、どこにいるの? いる所は掴んでいるのでしょう?」
「いえ、それが……」
シリルは慌てた。
なんてことだ。こいつら私が言う様に本当に何も考えずに聖女を外に放りだしたみたいだった。その居所も掴んでいないなんて。
本当に無能だ。
追い出してもその後の見張りをつけておくくらいは当然のことなのに。それも出来ていないなんて。コイツラもそろそろ首にしよう。私は心に決めたのだ。
それに、そもそもあの病弱の葵が今も生きていられるんだろうか?
私は少し心配になってきた。でも、あの図太い葵が簡単にくたばる訳はなかったのだ。
教会の組織網と暗部を使った捜索で、葵の居所が判ったのだ。
なんと葵は帝国に匿われていたのだ。
どういう事なのだ? どうして、このアリストンで追い出した葵が帝国の宮殿で匿われているのだ。
なんでも、その皇子様に気に入られていると言うではないか。
葵の心配なんてした私が馬鹿だった。あいつはどこでもゴキブリのように図太く生きていけるのだ。
それも、私のようなキンロスとかいう三流国の皇子と違って、大帝国の皇子を捕まえているなんて許せなかった。
私は直ちに葵を連れ戻すようにシリルらに命じたのだ。
なあに、単純な葵ならば私が泣いて悔いていると嘘を告げればひょこひょこと付いてくるわよ。
私はシリルらにそう告げるように命じたのだ。
そう言って、こちらに連れてくればこちらのものだ。
後は奴隷の首輪をつけて一生涯飼ってやれば良いのだ。
十数年間、私が葵の面倒は見てあげたのだ。今度は逆に葵が私の面倒を見てくれる番だ。それも奴隷としてね。
でも、襲撃部隊が失敗したとの報告が入ってきた。
シリル等はペラペラと余計なことまで話しているらしい。
私は直ちに暗部に命じたのだ。余計なやつは殺せと。
本当に役立たずだ。失敗した上に我が国の機密まで話すとは。
まあ丁度処分しようとしていたところだったから良かったのだ。
私はそう思うことにした。
なあに、帝国も女神教に、いや、この聖女様の私に正面から文句を言ってくることなど出来るわけはないのだ。
そう私は楽観していた。
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