聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラ物語

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
96 / 115

凛視点 むかつく葵から聖女の座を奪って、叩き出しました

しおりを挟む
私は向田凛、葵とは家が隣だった。

その葵は昔から病弱で、多少我儘なところがあった。

でも、うちの両親は
「葵ちゃんは体が弱いんだから多少のことには目をつぶって上げなさい」
と昔から甘かったのだ。

葵は病弱だったから何でも葵が中心で、私は外で遊びたかったのに、葵のせいで室内でやりたくもないおままごと遊びに付き合わされたり大変だった。
そのおままごとも何故かその時に流行っていたアニメの聖女様が出てくる人形遊びで、葵はいつも聖女様で私はいつも悪役令嬢だった。最後は葵に美味しいところを持っていかれるのだ。

私が聖女様になりたいと言っても、葵は泣き出したりして、下手したら私の両親が飛んでくる。そうなったら、
「あんたは健康なんだから、葵ちゃんの好きなようにしてあげなさい」
そう怒られて終わりだった。

本当にムカついた。

それに葵は皆の同情を引くのがうまかった。

うちの両親もだが、近所のおじちゃんおばちゃんも皆、いつの間にか葵のファンになっていて葵には甘かった。
お菓子をもらうのもおもちゃをもらうのも、みんな葵だったのだ。本当にむかついた。

中学の時の蓮君もそうだ。

何故か
「千早は今日は大丈夫か?」
「千早、元気か?」
「千早、辛いのなら保健室に行こうか?」
と千早ばっかり構うのだ。

高校生になった時に、そんな蓮君に私は声をかけてみたのだ。
葵の事を話題に出すと、即座に蓮くんはのって来た。
そんな蓮くんに私は大きくなってきた自慢のバストを武器に迫ってみたのだ。
初な蓮くんはイチコロだった。

恋人になったら、今度は葵の病室から見える所で蓮くんとキスしたのだ。
横目で見ていると窓からそんな私達を驚いた顔をした葵の顔が見えた。
なんかその顔はとても寂しそうだった。

でも、私は心を鬼にして思ったのだ。葵を甘やかせてはいけないと。

翌日葵の部屋に行ってみるとムッとした顔で葵が攻めてきたのだ。

「あなた、私を裏切って蓮君と付き合っていたの?」
「はああああ! 裏切ったですって。あなたいつから蓮君の彼氏になったの?」
「……」
「どうしたのよ。葵、何か言いなさいよ」
私は今日こそ、葵に言ってやったのだ。
「あなた、そもそもうざいのよ。子供の頃から病弱だからって、皆に大切にされて。
何様のつもりなの? 
私は両親から、
『葵ちゃんは病気がちだから、できるだげ、面倒を見るのよ!』
って言われていたから、無理してあんたの面倒を見てきたけれど、もう限界よ。
何で、毎日毎日こんな陰気な病院にお見舞いに来てあげなきゃいけないのよ! 彼氏まであんたのために世話しなければならないというの? 
私が好きになったんだから、私が蓮君の彼女になっても何も問題ないでしょ! もう、あんたの面倒を見るのもうんざりなのよ!」
そう、私は今までの恨みつらみを全て吐き出したのだ。

私は葵にこれで勝てたと思ったのだ。今まで散々良い目に合ってきた葵から想い人を取り上げてやったのだ。
ざまあみろだ!

そう思った時だ。

「その願い、確かに叶えよう」
そう頭の中に声が響いたのだ。

これは何だ? なんで声が響く。
それにこの声は私に話しかけていないのがなんとなく判った。
葵に対してだ。

私がそう思った時だ。

私達は地面に吸い込まれたのだ。

はっと気付くと私は石造りの部屋にいた。
あたりを見渡すと多くの人がこちらを見ていた。
でも、皆、髪の毛の色が違う。

ここはどこなんだろう?
私がそう思った時だ。

「あなたが聖女様ですか?」
神官らしき男が私に話しかけてきたのだ。
聖女? 聖女って昔やったおままごとに出てきた物語のヒロインの事? 
いつも聖女になった葵が、最後に私から王子様を取ってくれたあのむかつく聖女の事?

「私は向田凛と言います。あなた方ですか? 私をこの世界に呼んだのは」
私はとりあえず聞いてみたのだ。

「はっ、私はシリル・キンロスと申します。この地の神官をしております。聖女様」
男が私に言ってきたのだ。
嘘っ! 私、私が聖女様になれたの!
ヒロインにやっとなれたんだ。

「ううっ」
その時だ。私の横から葵が頭を振って起き上がってくれたのだ。寝ていてくれれは良いものを。

「この者は何者ですか?」
神官の男が聞いてきた。
まずい、このままではまた聖女を取られる。私の本能が危険だと言ってきた。そうだ。絶対に聖女の座を葵に渡してはいけない。

「さあ、知らないわ。聖女の私に引き寄せられれてついてきたんじゃなくて。こんな貧相な女は知り合いでも何でもないわよ」
私は思わずそう言っていたのだ。
そう、ここでこいつを追い出さないと絶対にまたいつものごとく奪われる。

「凛、何を言うのよ!」
驚いて葵が言ってきたが、私はかまっていられなかった。

「聖女召喚の儀で、この世界に二人がいらっしゃることはめったに無いことです。でも、過去、そのような事例がございました。その時はどちらが聖女様かで結構揉めたそうです」
シリルが淡々と説明してくれた。
まずい、このままだと絶対にまた聖女の座を取られる。それにあの病院で頭に響いた言葉は絶対に葵に対して言われたものだ。私は焦燥に駆られた。

「でも、この女は身なりも貧相だし、顔は青白く痩せている。聖女様のお仕事には到底耐えられなさそうだぜ」
でも、その隣の男も言ってくれた。
「そうよ。この女はどう見ても病人じゃない」
私はその男の言葉尻に乗って、葵から聖女の座を奪うことにしたのだ。

「ちょっと、凛、それは、ひどいわ、ゴホンッゴホンッ」
ここで葵がまたいつものごとく病弱アピールをしてきたのだ。
こいつはいつもいつも本当にムカつく。
でも、私はそれを利用することにしたのだ。

「大変よ。この女、伝染る病かもしれないわ」
私が悲鳴を上げた。

「それはまずいのでは」
「すぐに、放り出すべきだぜ」
「衛兵! すぐにこの女を放り出すのだ」
都合の良い事に周りの者たちの命令で兵士達が駆けつけてくれたのだ。

「ちょっと、凛!」
葵がこちらに助けを求めてきた。

「さっさと連れて行って!」
私は兵士達に命じたのだ。
そう、これであなたの聖女の地位は私がもらうのよ。
今まで散々私からいろんな物を取り上げてくれた葵から取り上げてやったのだ。

「いや、ちょっと」
葵は必死に叫んだが、そんな葵を兵士達が連れ出してくれた。
ふんっ、まあ、この地がどんなところかも判らないし、病弱な葵が生きていけるかどうかも判らないけれど知ったことではなかった。

ふふふふ、これで聖女の座は私のものよ。
そう思うと私はとても嬉しくなった。


「あなたが聖女様ですか?」
そんな私に見目麗しい男が近付いてきた。

「私はキンロス王国の王子、アラムと申します」
なんとその男は王子様だったのだ。

「聖女のリンと言います」
私はその王子様に微笑みかけたのだ。
王子様は私をトロンとした目で見つめてくれた。
そう、これでこの王子様も私のものになる。

葵からは聖女の座と王子様を奪ってやれたのだ。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~

咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】 あらすじ 「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」 ​聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。 彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。 ​しかし、エリーナはめげなかった。 実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ! ​北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。 すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。 ​「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」 ​とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。 以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。 ​最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?

処理中です...