母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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5.初めての友達ができました

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 キンコンカーコーン、キンコンカーンコーン
 朝礼の開始のベルが鳴った。

 ついに待ちに待った学園生活の始まりだ。前世でも学校にはほとんど行けなかったから生まれて初めての学校だ!
 昨日はワクワクドキドキしてほとんど寝れなかった。

 私のクラスは一年C組だった。A組が高位貴族クラスで、おそらく子爵以上の子弟が、Bクラスはその親戚とか一族の累者、C組は騎士や魔術師、官僚、あるいは金持ちの子供達が多かった。冒険者の子供って私くらいかもしれない。私の街からこの学園に来ているはずの二年上のヴォルフは一応騎士の息子だったし……そう言えばまだ会っていない。また探さなくては……

 私は平民クラスでほっとした。これでお近付きにはなりたくない貴族達と接する可能性は少なくなったはずだ。

 私はそのCクラスの担任のゴットロープ・グーゲル先生の後ろについて教室に入った。

「皆、おはよう」
「「「おはようございます」」」
 担任の挨拶に皆答える。

「お、転入生か?」
 青い髪の偉そうな男が私を値踏みするように見てくれた。
 私は商品じゃ無い! いきなりむっとした。

「結構かわいこちゃんじゃんかよ」
「そうかな、気が強そうだけど」
 男達が騒いでいる。
 むかつく男達はお母様の知り合いで十分だし、私は取りあえず同性の友達が欲しかった。
 女の子はクラスの3分の一くらいだった。怖そうな女の子は……いた。後ろの赤髪の女の子だ。この子には近づきたくはなかった。

「今日から君たちと一緒に勉強することになったアマーリアさんだ。アマーリアさん、自己紹介を」
「はい。今日から皆さんと一緒に勉強することになったアマーリア・フルフォードです。出身は国境近くのアンハームから来ました。よろしくお願いします」
 私が頭を下げると皆は一応拍手してくれた。

「じゃあ、席はエーレントラウトさんの隣の席が空いているからそこに座って」
 げっ、その怖そうな子の隣だ。
 でも、そこしか空いている席は無さそうだったので、私は言われた席についた。


 一限目は理科の授業だった。

「おはよう諸君」
「「「おはようございます」」」
 私達は先生に挨拶した。理科の先生は確かリップマン先生で貴族クラスのA組の担任のはずだ。

「諸君にまた馬鹿者が現れたのを報告せねばならん。なんと、この度転入してきたアマーリア君が太陽の周りを地球が回っているというエーレントラウト君以来の解答をしてくれたのだ」
 私は先生が何を言い出したかよく判らなかった。
 地球が太陽の周りを公転しているのは自明の理ではないの? そんな問題がでていたから躊躇なくそう書いたけれど……

「えっ、地球が太陽の周りを回っているだって」
「こいつ馬鹿じゃないの?」
「太陽や星が地球の周りを回っているのなんて夜空を見ていたら判るだろう!」
 男達が馬鹿にしたように囃してくれたんだけど、こいつら何言っているの?
 太陽が地球の周りを回っている天動説なんて流行ってたのは中世のヨーロツパじゃない……というかここは中世ヨーロッパだった……

「本当にガリレイみたいなことを言うとは嘆かわしい」
 このA組の担任は私を散々馬鹿にしてくれた。
 本当にもうむかつく。
 この件でクラスメイトから虐められたらどうしてくれるのよ!
 高々地動説くらいであまりグチグチ言わないでと思ったけれど、このリップマン先生は延々一時間、天動説という間違った説が如何に正しいかを説明してくれたのだった。


「おい、そこの馬鹿」
 私を馬鹿にした偉そうな青い髪の男はライナー・ギレッセン男爵令息だった。何でCクラスに男爵家の子供がいるんだとも思わないでもなかったが、学科の成績が壊滅的だったらしい。
 私と一緒か、いや、それ以下だろう。そんな奴に馬鹿と言われるのは嫌だったが、貴族と平民を比べたら、圧倒的に貴族の方が地位は上だ。男爵家の子供に逆らうのはまずいだろう。
 同じく地動説馬鹿と言われたエーレントラウトは右から左に適当に流していたので、私も適当に流すことにした。馬鹿はほっておけば良いと思ったのよ。


 お昼になった。

「エーレントラウトさん、お昼に行きましょう」
 私は同じ間違いをしたエーレントラウトに声をかけた。最初は見た目は怖そうだったけれど、同じ間違いをした者同士だし、私は親しみを覚えていた。

「えっ、でも……」
 エーレントラウトは私を少し警戒していた。
「お昼を誰か他の子と約束しているの?」
「そういう訳じゃないけれど」
「じゃあ、一緒の地動説仲間だし、良いじゃない」
「一緒の地動説仲間って……」
 エーレントラウトはまじまじと私を見た。

「あなたも転生者なの?」
「えっ、あなたもっていうことはあなたも転生者?」
 思わず私は素っ頓狂な声を出してしまった。まさかお仲間の転生者がいるなんて想像だにしていなかった。

 大声を出した私を周りの生徒達が注目した。
「転生者って何?」
 他の子達が聞いていた。

「しっ」
 私はエーレントラウトに手を引かれて慌てて教室の外に連れ出された。

「もう、アマーリアさんはいきなり声が大きいわ。皆に知られたらどうなると思っているの?」
「ゴメン、エーレントラウトさん」
「エーレンで良いわ」
「じゃあ私もアミで、よろしくね」
 私はエーレンに手を差し出した。
「はあー」
 エーレンは大きくため息をつくと私の手を握ってくれた。

 何でも地動説というのは前世くらいで、こちらではガリレイ説と言われて馬鹿の代名詞らしい。
 それでエーレンには私が転生者だとすぐに判ったらしい。でも、ガリレイは大半の人間よりも賢かったし、本当のことを言っているのに馬鹿扱いされてとても可哀相だと思う。まあ、地球が太陽の周りを回っていようがその逆だろうが大勢には何一つ影響しないんだけど……

 エーレンはランガー商会という王都でも指折りの商会の娘だそうだ。子供の時から前世の記憶があったらしい。エーレンの前世は私のような病弱ではなくて、大学出て会社勤めまでしていたそうだ。

「じゃあ、エーレンは私よりも遙かに年上なのね」
 私は学食が人で一杯だったので、木陰のベンチで購買で買った白パンを食べながら感心して言うと、
「人をおばさんみたいに言わないでよね。今は同い年なんだから」
 黒パンをむしゃむしゃ食べながら、むっとしてエーレンは私を睨み付けてくれた。

「それでエーレンはこの世界が何のゲームか判ったの?」
 私が聞くと
「えっ、この世界ってゲームの世界なの? 私はラノベの世界だと思ったんだけど」
「ラノベでもゲームでもどちらでも良いけれど、この世界について何か知っているの?」
 私が慌てて聞くと、
「何も判らないわよ。私もラノベはある程度は読んでいたんだけど、この世界にぴったりくる物語なんて無くて」
「そうなんだ。私もゲームに似ている世界はあったんだけど、ぴったり当てはまるのが無くて」
 私達はお互いに首を振った。

「まあ、どちらにしても私達はこの世界では平民でモブですらないから、関係無いと言えば無いわね」
「本当にね」
 私は盛大にため息をついた。

「折角転生出来たんだから、ヒロインかせめて悪役令嬢にでも転生できていたら良かったのに」
 私が言うと、
「悪役令嬢なんてなったら下手したら処刑、良くても国外追放よ。普通の生徒で十分よ」
 エーレンは首を振ってくれた。

 私は前世は病弱だったから、そんな場面に出会ったことも無かったから、異世界転生できたんだから何か目立つ役がしたかった、とエーレンに言ったら、白い目で見られてしまった。


「おい、ハンナ、お前全然宿題やっていないじゃないか」
私達が予鈴の前に教室に帰ってきた時、私の前の席の気の弱そうな女の子がライナーに怒鳴られていた。
「すみません」
「すみませんじゃないだろう! 次に俺が当たるのにどうしてくるんだよ」
どうやらライナーは外国語の科目である帝国語の予習をハンナにさせているらしい。
「自分でやったら良いのに」
私は思わずそう呟いてしまった。
結構大きい声で……

「おい、馬鹿、何か言ったか?」
こちらをライナーが睨んでくれた。

あっ、やってしまった!
絶対に気をつけろって母に注意されていたのに、貴族に逆らってしまった!
私は青くなった。
************************
ここまで読んで頂いて有り難うございました
ヒロインは少し天然です……
思わず呟いてお貴族様に喧嘩を売った形になったアマーリアの運命やいかに?
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