モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
34 / 64

生まれて初めて上級ポーションを作りました

「えっ、良いんですか?」
 翌日の朝食の席で私は目を見開いて王妃様を見た。


 結局、その日はその後、エドガルド様に捕まって徹底的に今までの授業の復習と予習をさせられたのだ。
 エドガルド様はクラスメイトの似顔絵とその領地の特徴とか教えてくれたので、まだ覚えやすかった。
 考えたら大聖堂にいる聖女の大半が貴族で、出身地は国中に散らばっているのだ。それに紐付けしていけばまだ覚えられた。

 でも、エドガルド様が全員の顔と名前を覚えているのには驚いた。私でも一部は忘れていたのに……
 そう言ったら白い目で見られたけれど……

「王太子殿下は大変なんですね」
 他人事宜しく言ったら
「リーナもさっさと覚えろ」
 と黒いオーラ漂う顔で言われたんだけど……
 その後の授業が鬼だった……

 これなら大聖堂に帰りたかった……
 そんなこと言ったら殺されそうだから言わないけれど……
 夕食後も延々とエドガルド様に絞られたのだ……
 結局帰ると言い出せないままにそのまま寝落ちしてしまったのだ……

 その翌朝に朝食の時に王妃様に言われたのだ。
「パウリーナちゃんも上級ポーションを作ってみる?」

「でも、私はまだ全然レベルも経験も足りないと思うんですけど」
「何言っているのよ! 昨日あんなでかい鍋で作っていたじゃない! あなたのは、元々少し大きめの鍋でやっていたのよ。それを楽々やっていたし、王宮の素材の在庫を全部使うほど中級ポーションを作ったじゃない! あれって一人の聖女が作る中級ポーションの1年分以上あるわよ」
 王妃様が呆れていってくれたんだけど……そうなの?
 まあ、いつもの初級ポーション作る気分で作ってしまった。
 初級ポーションなら一日で最大10回くらい作っているから……

 でも、上級ポーションは素材も高価で失敗なんて許されないはず。
「私なんか下っ端聖女が作ってもいいんでしょうか?」
 恐る恐る私が聞くと、
「何言っているのよ。あなたが下っ端聖女なら私も下っ端聖女よ」
 王妃様が訳の判らないことを言ってくれた。
「えっ! 王妃様は筆頭聖女様ですよ」
 私はわかりきったことを言っていた。
「そうよ。その私以上にあなたは既にポーション作っているのよ。杖出してごらんなさいよ」
 王妃様が杖を取り出された。
 私も杖を出す。
「比べてどう?」
「比べるんですか……」
 王妃様の杖も黒いけれど私よりも洗礼されてきれいだ。
「私のは黒く汚れていて少し汚いですね」
「何言っているのよ。それが真の聖女の黒よ!」
 王妃様が宣言してくれたんだけど……
「初代聖女様は民のためにポーションを日々作られたのよ。それで真っ黒になって見た目はとても汚かったと書物には書かれているわ。あなたのその杖は初代聖女様の杖と同じよ。
 だからそれを誇りなさい。
 あなたは今生きている聖女の中でおそらく一番ポーションを作っているわ」
「でも、初級ポーションですよ」
「何言っているのよ。あなたのポーションでどれだけの人が恩恵を受けたと思っているのよ。もっと自信を持って!」
 私は王妃様に励まされてしまったんだけど。そうなんだろうか?
大聖堂では散々下っ端って言って雑用させられているんだけど……


「うわ、ユニコーンの角だ」
 私は用意された素材に飛びついた。
 粉にされているけれど、これはとても貴重なのだ。その横にあるデコバ草は、高山、それも魔物の多い高山にしか生息しないとても貴重なものだった。素材の大半はとても高価だ。
 水も純水を作らないといけないし。

 上級ポーションを作らない私なんだけど、何故かアレハンドラ様に最近純水を作らされているんだけど、何で? と思ってしまうんだけど。

「じゃあ、パウリーナちゃん。純水を作ってみましょうか」
「判りました」
 私は無造作に杖を鍋の水の中に入れた。
「えいっ、や!」
 かけ声をかけると水の中の不純物を一気に杖に吸い付ける。
 そして、紙の上でその不純物を解放した。
 なんか粉のようなものが落ちて杖はきれいになった。

「えっ!」
 見ていた王妃様が硬直しているんだけど……

「どうかされました?」
「いや、あなた、純水作れるの? それもこんなに簡単に」
 目を見開いて王妃様が私と鍋を見比べた。
「アレハンドラ様によくやらされていますから。最近他の聖女様からもよく頼まれるので面倒になって……こうすると早くできるって判りましたから」
「あの子ら何サボっているのよ!」
 王妃様の顔が怖い顔になっている。
 まずいことばらしたかな。
 まあ、一つも二つも一緒よね。昨日も色々ばらしたし……
 私は気にしないことにした。
 火が軽く沸騰してきた。

「じゃあ、その中にユニコーンの角から入れていって」
「ユニコーンの角さん、お願いします」
 私はそう祈りながら杖で混ぜる。
 私の様子を見て、面白そうにエドガルド様がしているけど無視だ。でも昨日の素材入れエドガルド様はとてもなれていたんだけど、何でだろう? エドと一緒にはさんざんやったけど、エドガルド様は初めてのはずだった。でも息はぴったりだった。王妃様と一緒にやってるからだろうか?
 でも昨日王妃様には「エドガルドも私の手伝いは全くしないくせに、何でパウリーナちゃんには手を貸して余計なことをやらせているかな!」と大鍋で作った時に怒られていたけど?
「パウリーナちゃん、集中して!」
「すみません」
 私は首を降った。考えたら上級ポージョンの素材は高いのだ。失敗したらダメだ。
 私は気合いを入れ直した。
 集中して、次々に素材を入れる。

 全て入れて溶かした。
「そう、そこからあなたの魔力をもう少し強く流して」
 王妃様の言葉に従う。
 どんどん流していったら、
 ピカッ
 と鍋の中のポーションが光った。
 そこには緑色に輝くポーションが出来ていたのだ。
「やったー!」
 私は思わず大きな声を上げていた。
 苦節10年、やっと上級ポーションが作れたのだ。
 私はそのはしたなく飛び上がった様子をロッテン先生に見られていたとは思ってもいなかったのだ。





感想 15

あなたにおすすめの小説

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

【完結】聖女召喚の聖女じゃない方~無魔力な私が溺愛されるってどういう事?!

未知香
恋愛
※エールや応援ありがとうございます! 会社帰りに聖女召喚に巻き込まれてしまった、アラサーの会社員ツムギ。 一緒に召喚された女子高生のミズキは聖女として歓迎されるが、 ツムギは魔力がゼロだった為、偽物だと認定された。 このまま何も説明されずに捨てられてしまうのでは…? 人が去った召喚場でひとり絶望していたツムギだったが、 魔法師団長は無魔力に興味があるといい、彼に雇われることとなった。 聖女として王太子にも愛されるようになったミズキからは蔑視されるが、 魔法師団長は無魔力のツムギをモルモットだと離そうとしない。 魔法師団長は少し猟奇的な言動もあるものの、 冷たく整った顔とわかりにくい態度の中にある優しさに、徐々にツムギは惹かれていく… 聖女召喚から始まるハッピーエンドの話です! 完結まで書き終わってます。 ※他のサイトにも連載してます

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています

放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。 希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。 元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。 ──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。 「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」 かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着? 優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

想定外の異世界トリップ。希望先とは違いますが…

宵森みなと
恋愛
異世界へと導かれた美咲は、運命に翻弄されながらも、力強く自分の道を歩き始める。 いつか、異世界にと想像していた世界とはジャンル違いで、美咲にとっては苦手なファンタジー系。 しかも、女性が少なく、結婚相手は5人以上と恋愛初心者にはハードな世界。 だが、偶然のようでいて、どこか必然のような出会いから、ともに過ごす日々のなかで芽生える絆と、ゆっくりと積み重ねられていく感情。 不器用に愛し、愛する人に理解されず、傷ついた時、女神の神殿で見つけた、もう一つの居場所。 差し出された優しさと、新たな想いに触れながら、 彼女は“自分のための人生”を選び初める。 これは、一人の女性が異世界で出逢い、傷つき、そして強くなって“本当の愛”を重ねていく物語です。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!