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おにいは酔っててもかっこいい。
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僕の初恋は、高校二年の夏だった。
学校からの帰り道、道に迷っていた人に声をかけられた。その人はスラリと背が高くて、顔立ちも整っていて…所謂イケメンだった。
僕は身長こそ平均より少し上くらいだけど、ふわふわした茶髪とお母さんそっくりのまあるい目、ぱっちりとした二重はかっこいいとは程遠い。
だから、お兄さんの体型や顔立ちは憧れそのものだった。それが恋心だと気付いたのは、もう少し後だったけど。
お兄さんが行きたい場所の住所が書かれたメモ、一言断りを入れてそれを覗き込むと、あまりにも見覚えのある場所だった。
そう、僕の家だ。僕の家ですと答えれば、お兄さんは至極嬉しそうにふんわりと笑った。
「あぁ、じゃあ君が俺の弟になる碧くんか」
その一言に、雷が落ちたような衝撃が走った。お母さんが再婚するのは知っていたけど、お父さんになる人に連れ子が居るなんて聞いてない。
いや、あえて言わなかったのかもしれない。見たところお兄さんは、既に成人済みのようだった。もしかしたら、一人暮らししているのかも。
僕の予想はドンピシャで、現在社会人2年目だそうだ。実家も出ていて、今回は家族になるからと顔合わせに来たらしい。一緒には、住まないみたい。
「俺にこんな可愛い弟が出来るなんて、嬉しいな。親父に虐められたら直ぐに言うんだよ」
「おいおい、真澄…俺が碧くんをいじめる訳ないだろ」
そう言って笑う新しいお父さんは、熊さんみたいにずんぐりむっくりだった。お兄さんとは全然違くて、遺伝子って分からないなぁって思った。
僕はとてもお母さんに似ているから、一発で親子だと分かる。だけどお兄さん達は、本当に?と疑ってしまうほどだ。
和気藹々とした空気の中、お母さんが僕を手招きして呼び出す。何の話だろうかと首を捻りながらお母さんの近くに行くと、こしょこしょ耳打ちされた。
「真澄くんね、アルファ性なの…とてもいい子だし、しっかりしてるわ。だけど、碧がオメガ性なのは念の為隠しておきましょう?」
「ぼ、僕はいいけど…お父さんは、なんて?」
「あの人も賛成してくれてるわ。真澄くんがそんな事するわけないとは分かってるけど、何かが起きてからじゃ不味いからって」
二人がそういうならと、こくりと頷く。ちらりとお父さんを盗み見ると目が合って、神妙な顔で頷かれた。
こうして、僕の初恋の第一歩は嘘をつくところから始まってしまったのである。
◇
あの日から数年後、お兄さんを今はおにいと呼んでいる。少しでも僕を可愛いと思って欲しくて、ぶりっ子をした。
幸いにもおにいは僕を本当に可愛がってくれていて、義理とはいえ兄弟仲はとても良い。その事には両親もとても喜んでくれていた。
問題は、僕がおにいをそういう目で見てしまっている事だ。オメガとしての本能なのかなんなのか、時々無性に抱いて欲しくなる。今はどうにか誤魔化せているけれど、いつか発情期を利用して襲ってしまいそうで怖い。
そんな事をしたら、絶対に嫌われてしまうって分かってる。だけど、どうしようもなくおにいが好き。
「…あ、やば…」
ずくりと、お腹の奥が疼く。体がほんのりと熱を持って、おにいが欲しくて堪らなくなる。
ふらふらと脱衣所へ歩みを進めると、まだ洗濯する前のおにいのシャツが置いてあって。思わずそれを手にとって、顔を埋め深呼吸をする。
肺を満たすおにいの匂い。少しだけ混ざっているアルファのフェロモンに、どくどくと鼓動が早くなっている。
ふと気づいた時には、僕の手が自分の下肢へ伸びかけていた。咄嗟にシャツを投げ捨て、リビングへと走る。
「やばいやばいやばい、本当におにいを襲っちゃう…!」
今僕は、おにいと一緒に住んでいる。実家よりおにいの家の方が大学に近いからと、両親にごり押しした。
お母さんはずっと心配してくれているけど、どっちかというとおにいの方がやばい。オメガは被害者になりがちだけれど、オメガがアルファを無理矢理襲って既成事実を作るという性事件も存在する。
アルファもオメガも、本能には逆らえない。それを意図的に起こすか自然に起きるかの違いであって、優位種のアルファでも気をつけなければいけない。
だから僕も、充分以上に注意しなくちゃ。間違いを起こさないよう、気をつけなきゃ。
そんな決意は、その日の晩のうちにもろくも崩れ去るのだった。
◇
「…っ、ふぁ…おに、い」
くちゅくちゅと、淫らな水音がリビングに響く。その音が恥ずかしいのに気持ちよくて、僕はぎゅっとおにいのシャツを握り締めた。
そんな僕を宥めるように、優しく頭を撫でられる。それもまた気持ちよくて、咥内で混ざり合った互いの唾液をこくりと飲み込んだ。
どうしてこんな事になったんだっけ?そうだ、確か飲み会から帰ってきたおにいが珍しく酔っ払ってて、ソファで休んでるときに隣に座って…それから。
「あお、余計な事考えないで。俺のことだけ見てて」
「…う、ん」
ぎらぎらと光る瞳に捉えられる。僕を食い尽くそうとする、捕食者の目だ。ぞくぞくと背筋が震えて、僕のお腹がきゅうってうねる。
今すぐこの人にうなじを噛まれたい、番いたい。僕の、僕だけのアルファ。
両腕をするりとおにいの首に回して、再び顔を近づける。無言で口付けを強請れば、すぐさまその願いは叶えられた。僕の咥内を味わうように蠢くおにいの舌、それに自分の舌を絡めて、どちらともなく吸い上げる。
それだけでびりびりとした快感が身体中に駆け巡って、僕の後孔から愛液がこぷりと溢れる。
「あお、あおい…俺の、俺だけのあお」
「っあ、おに…ン、あっ!」
ゆっくりとソファに押し倒され、おにいの顔が首元に埋まる。そのまま首筋をねっとりと舐め上げられ、思わず甘い声が漏れた。
もう少し後ろ、うなじを噛んで欲しくてもぞりと身をよじるけど、鎖骨まで降りたおにいの唇は、素肌を強く吸い上げ鬱血痕を残すばかり。
でもそれも嬉しくて、ちくりとした痛みが襲う度僕の体は歓喜で震える。
駄目だ駄目だと分かってはいるけれど、どうしたって欲に溺れてしまう。
「あお、可愛い…すき、あいしてる」
「ンぅっ…ぼくも、ぼくもすきっ…おにい、」
甘ったれた声を出せば、おにいが嬉しそうに笑ってくれる。その表情が、より興奮を掻き立てる。
服の隙間から差し込まれたおにいの指先が、僕の素肌を滑っていく。くすぐったいようなその感触に翻弄されていれば、不意に乳首に触れられた。
構えていなかったせいか、僕の口から嬌声が溢れる。既に興奮からつんと尖る乳首を捏ねられ、引っ張られて…ぺろんと衣服を捲られれば、紅く熟れる乳首が晒された。
恥ずかしくてぎゅっと目を瞑っていると、不意にぬるりと温かい何かが乳首を包み込む。
「ひぁ、っう…あ、やだぁ」
「ン、ふふ…あおのおっぱい、おいし」
何も出てきやしないのに、ちゅうちゅうと吸い上げられ腰が跳ねる。見せつけるように赤い舌で舐め上げる姿がすごくえっちで、興奮する。
お腹が疼いて仕方ない。早くおにいの太いのでお腹の中ぐちゃぐちゃにしてほしいのに、でもこの光景もずっと見ていたい。
相反する思考に訳が分からなくて、でも気持ちよくて…僕はただただ、甘い声を上げ続けていた。
◇
「あお、あおいっ…」
「あ、んぁっ…おにい、きもちいよぉっ…」
ぐちゃぐちゃと粘着質な音が聞こえる。熱に浮かされたように頭がぼーっとして、何も考えられなくて。
それでもお腹の中はずっと熱くて、気持ちよくてたまらない。いつの間にか僕とおにいは繋がってて、好き勝手に揺さぶられていた。
気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。大好きな人とのセックスは、何でこんなにも気持ちいいんだろうか。
ごちゅんっ、突如最奥を貫かれる。突然すぎたそれに思わず背中を弓形に逸らして快楽を逃していれば、どくどくと熱い飛沫が子宮へ注がれた。
また、中に出されちゃった。2回目?5回目だっけ?もうわかんない。なんでもいいや。
そんな諦めも混じりつつ、ただただ快楽に溺れていく。
僕の自身からは既に何も出ていない。というか、イきすぎて透明な精液か潮しか吹いてない。どっちかというと、潮を吹いている回数の方が多い気がする。
潮吹き癖がついちゃったらどうしようとか、明日足腰立たないなぁとか。色々考える事はある筈なのに、おにいとのセックスが再開されれば全て霧散してしまう。
再び奥を犯し始めたおにいは、相変わらずぎらぎらした目で僕を見ていた。
「ぁあっ、ぁんっ…おに、おにいっ…!」
「~っは、あおっ…かわいい、すきだ、誰にも渡さない…っ」
酒のせいか、普段からそう思っていたのか。独占欲に塗れたおにいの言葉はぬるま湯のように心地いい。
嬉しい、おにいのものになれたことが。愛おしい、おにいの全てが。
両親には怒られるかもしれない。けど、僕が妊娠しちゃえば反対できないよね?それに、法律上では僕たちが結婚しても問題ない筈だし。
あぁ、嬉しいなぁ。やっとおにいが、僕のものになってくれる。
「おにい、おにいっ…」
「あおっ…!」
ぎゅうう、態とおにいの自身を締め付ければ快感でおにいの顔が歪んだ。
その表情が可愛くて、おにいの腰に両足を巻きつけぐいと腰を引き寄せる。
こつんと子宮口に先端部が当たる快感に、思わず背を逸らした。そのままとんとんと優しく子宮口をノックされ、絶頂から降りて来れなくなる。
「あぁうっ…だめ、そこきもちいっ…ンん、」
「あお、可愛い…ここ突くと、すごくぎゅって締め付けてくる」
「ひゃうっ…ンぁあっ、だめ、またいく、いくっ…!」
しつこいくらいに子宮口を擦られ、我慢できずにぷしゃあと潮を吹く。
その際の締め付けでおにいも限界が来たのか、どくどくと精液を注がれた。もう本当に何回目か分からない。
発情期でもないのに、妊娠しちゃう…でも、それはそれで幸せかもしれない。おにいと僕の赤ちゃんならきっと、可愛い路線もかっこいい路線も期待できる。
がくがくと震える僕の身体を宥めるように、おにいの大きな掌が腰を撫でる。
「っ…こら、あお。もう終わりにしよう、このままじゃあおの身体が持たない」
「やだ、まだぬいちゃだめ…もうすこしだけ」
おにいが僕の中から自身を引き抜こうとするのをとめるため、太腿で腰をぎゅっと挟み込む。
すっかり酔いが抜けたらしいおにいに嗜められるけど、こてりと首を傾げてお強請りすれば、諦めたように抜こうとするのをやめてくれた。
それが嬉しくてきゅうと胎内を締め付けると、おにいが困ったように眉を顰める。
そんな小さな表情の変化さえ嬉しくて、笑みが溢れるのを抑えられない。
「……おにいをそんなに煽るなんて、あおは悪い子だな」
耳元で低く囁かれた後、お仕置きと称したセックスは明け方まで続いたのだった。
◇
翌日僕が寝ている間に、全ては終わっていた。
昼過ぎに目を覚ませば嬉しそうなおにいが視界に入って、どうしたのと聞けば両親に結婚の許可を得てきたという。
びっくりして開いた口が塞がらない僕を、おにいはぎゅっと抱きしめた。
どうやらお母さんが二つ返事で頷いたらしい。僕がおにいを好いてる事を知っていた、と言ってたそうだ。
……あれ、僕これでも隠してた方なんだけどな?
お母さんにはモロバレだったらしい。なんなら、おにいにもバレていたそうだ。僕、そんなに分かりやすいかな?
それと、僕のバース性も薄々勘付いてたって。どうやら時折フェロモン漏れてたみたい。
「次の発情期が来たら、番おう。その後婚姻届を出して、挙式は追々考えていこう」
「…うん」
あまりにも幸せすぎて、夢なんじゃないかと思った。これは僕が見ている明晰夢で、都合のいい展開を見させられてるんじゃないかって。
ほっぺをつねったら痛かったし、お昼寝から目を覚ましてもそのままだった。どうやら夢じゃないみたい。
昨日の僕、ぐっじょぶ。
そう過去の自分に褒め言葉を送っていれば、おにいが申し訳なさそうに謝ってきた。
「今まで、弟だからってずっと抑えてきたんだ。でもやっぱり、あおの事諦められなくて…酔った勢いで抱いてごめん。今度、やり直しさせてほしい」
「…いいよ、僕が誘ったんだし…それにね、おにいと一緒に居れることが一番のご褒美だから」
そう言ってへにゃりと笑うと、力強く抱き締められる。
大好きなおにいの腕の中で、幸せを噛み締めた。嬉しいなぁ、初恋が実ってしまった。
これからずっと、おにいと一緒に居られるんだ。嬉しい、嬉しくてたまらない!子供も欲しいし、おにいにはいーっぱい頑張ってもらわないとね。
おにいの背中に腕を回して抱きしめ返す。僕のアルファは、今も昔もおにいただひとりだけだ。
学校からの帰り道、道に迷っていた人に声をかけられた。その人はスラリと背が高くて、顔立ちも整っていて…所謂イケメンだった。
僕は身長こそ平均より少し上くらいだけど、ふわふわした茶髪とお母さんそっくりのまあるい目、ぱっちりとした二重はかっこいいとは程遠い。
だから、お兄さんの体型や顔立ちは憧れそのものだった。それが恋心だと気付いたのは、もう少し後だったけど。
お兄さんが行きたい場所の住所が書かれたメモ、一言断りを入れてそれを覗き込むと、あまりにも見覚えのある場所だった。
そう、僕の家だ。僕の家ですと答えれば、お兄さんは至極嬉しそうにふんわりと笑った。
「あぁ、じゃあ君が俺の弟になる碧くんか」
その一言に、雷が落ちたような衝撃が走った。お母さんが再婚するのは知っていたけど、お父さんになる人に連れ子が居るなんて聞いてない。
いや、あえて言わなかったのかもしれない。見たところお兄さんは、既に成人済みのようだった。もしかしたら、一人暮らししているのかも。
僕の予想はドンピシャで、現在社会人2年目だそうだ。実家も出ていて、今回は家族になるからと顔合わせに来たらしい。一緒には、住まないみたい。
「俺にこんな可愛い弟が出来るなんて、嬉しいな。親父に虐められたら直ぐに言うんだよ」
「おいおい、真澄…俺が碧くんをいじめる訳ないだろ」
そう言って笑う新しいお父さんは、熊さんみたいにずんぐりむっくりだった。お兄さんとは全然違くて、遺伝子って分からないなぁって思った。
僕はとてもお母さんに似ているから、一発で親子だと分かる。だけどお兄さん達は、本当に?と疑ってしまうほどだ。
和気藹々とした空気の中、お母さんが僕を手招きして呼び出す。何の話だろうかと首を捻りながらお母さんの近くに行くと、こしょこしょ耳打ちされた。
「真澄くんね、アルファ性なの…とてもいい子だし、しっかりしてるわ。だけど、碧がオメガ性なのは念の為隠しておきましょう?」
「ぼ、僕はいいけど…お父さんは、なんて?」
「あの人も賛成してくれてるわ。真澄くんがそんな事するわけないとは分かってるけど、何かが起きてからじゃ不味いからって」
二人がそういうならと、こくりと頷く。ちらりとお父さんを盗み見ると目が合って、神妙な顔で頷かれた。
こうして、僕の初恋の第一歩は嘘をつくところから始まってしまったのである。
◇
あの日から数年後、お兄さんを今はおにいと呼んでいる。少しでも僕を可愛いと思って欲しくて、ぶりっ子をした。
幸いにもおにいは僕を本当に可愛がってくれていて、義理とはいえ兄弟仲はとても良い。その事には両親もとても喜んでくれていた。
問題は、僕がおにいをそういう目で見てしまっている事だ。オメガとしての本能なのかなんなのか、時々無性に抱いて欲しくなる。今はどうにか誤魔化せているけれど、いつか発情期を利用して襲ってしまいそうで怖い。
そんな事をしたら、絶対に嫌われてしまうって分かってる。だけど、どうしようもなくおにいが好き。
「…あ、やば…」
ずくりと、お腹の奥が疼く。体がほんのりと熱を持って、おにいが欲しくて堪らなくなる。
ふらふらと脱衣所へ歩みを進めると、まだ洗濯する前のおにいのシャツが置いてあって。思わずそれを手にとって、顔を埋め深呼吸をする。
肺を満たすおにいの匂い。少しだけ混ざっているアルファのフェロモンに、どくどくと鼓動が早くなっている。
ふと気づいた時には、僕の手が自分の下肢へ伸びかけていた。咄嗟にシャツを投げ捨て、リビングへと走る。
「やばいやばいやばい、本当におにいを襲っちゃう…!」
今僕は、おにいと一緒に住んでいる。実家よりおにいの家の方が大学に近いからと、両親にごり押しした。
お母さんはずっと心配してくれているけど、どっちかというとおにいの方がやばい。オメガは被害者になりがちだけれど、オメガがアルファを無理矢理襲って既成事実を作るという性事件も存在する。
アルファもオメガも、本能には逆らえない。それを意図的に起こすか自然に起きるかの違いであって、優位種のアルファでも気をつけなければいけない。
だから僕も、充分以上に注意しなくちゃ。間違いを起こさないよう、気をつけなきゃ。
そんな決意は、その日の晩のうちにもろくも崩れ去るのだった。
◇
「…っ、ふぁ…おに、い」
くちゅくちゅと、淫らな水音がリビングに響く。その音が恥ずかしいのに気持ちよくて、僕はぎゅっとおにいのシャツを握り締めた。
そんな僕を宥めるように、優しく頭を撫でられる。それもまた気持ちよくて、咥内で混ざり合った互いの唾液をこくりと飲み込んだ。
どうしてこんな事になったんだっけ?そうだ、確か飲み会から帰ってきたおにいが珍しく酔っ払ってて、ソファで休んでるときに隣に座って…それから。
「あお、余計な事考えないで。俺のことだけ見てて」
「…う、ん」
ぎらぎらと光る瞳に捉えられる。僕を食い尽くそうとする、捕食者の目だ。ぞくぞくと背筋が震えて、僕のお腹がきゅうってうねる。
今すぐこの人にうなじを噛まれたい、番いたい。僕の、僕だけのアルファ。
両腕をするりとおにいの首に回して、再び顔を近づける。無言で口付けを強請れば、すぐさまその願いは叶えられた。僕の咥内を味わうように蠢くおにいの舌、それに自分の舌を絡めて、どちらともなく吸い上げる。
それだけでびりびりとした快感が身体中に駆け巡って、僕の後孔から愛液がこぷりと溢れる。
「あお、あおい…俺の、俺だけのあお」
「っあ、おに…ン、あっ!」
ゆっくりとソファに押し倒され、おにいの顔が首元に埋まる。そのまま首筋をねっとりと舐め上げられ、思わず甘い声が漏れた。
もう少し後ろ、うなじを噛んで欲しくてもぞりと身をよじるけど、鎖骨まで降りたおにいの唇は、素肌を強く吸い上げ鬱血痕を残すばかり。
でもそれも嬉しくて、ちくりとした痛みが襲う度僕の体は歓喜で震える。
駄目だ駄目だと分かってはいるけれど、どうしたって欲に溺れてしまう。
「あお、可愛い…すき、あいしてる」
「ンぅっ…ぼくも、ぼくもすきっ…おにい、」
甘ったれた声を出せば、おにいが嬉しそうに笑ってくれる。その表情が、より興奮を掻き立てる。
服の隙間から差し込まれたおにいの指先が、僕の素肌を滑っていく。くすぐったいようなその感触に翻弄されていれば、不意に乳首に触れられた。
構えていなかったせいか、僕の口から嬌声が溢れる。既に興奮からつんと尖る乳首を捏ねられ、引っ張られて…ぺろんと衣服を捲られれば、紅く熟れる乳首が晒された。
恥ずかしくてぎゅっと目を瞑っていると、不意にぬるりと温かい何かが乳首を包み込む。
「ひぁ、っう…あ、やだぁ」
「ン、ふふ…あおのおっぱい、おいし」
何も出てきやしないのに、ちゅうちゅうと吸い上げられ腰が跳ねる。見せつけるように赤い舌で舐め上げる姿がすごくえっちで、興奮する。
お腹が疼いて仕方ない。早くおにいの太いのでお腹の中ぐちゃぐちゃにしてほしいのに、でもこの光景もずっと見ていたい。
相反する思考に訳が分からなくて、でも気持ちよくて…僕はただただ、甘い声を上げ続けていた。
◇
「あお、あおいっ…」
「あ、んぁっ…おにい、きもちいよぉっ…」
ぐちゃぐちゃと粘着質な音が聞こえる。熱に浮かされたように頭がぼーっとして、何も考えられなくて。
それでもお腹の中はずっと熱くて、気持ちよくてたまらない。いつの間にか僕とおにいは繋がってて、好き勝手に揺さぶられていた。
気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。大好きな人とのセックスは、何でこんなにも気持ちいいんだろうか。
ごちゅんっ、突如最奥を貫かれる。突然すぎたそれに思わず背中を弓形に逸らして快楽を逃していれば、どくどくと熱い飛沫が子宮へ注がれた。
また、中に出されちゃった。2回目?5回目だっけ?もうわかんない。なんでもいいや。
そんな諦めも混じりつつ、ただただ快楽に溺れていく。
僕の自身からは既に何も出ていない。というか、イきすぎて透明な精液か潮しか吹いてない。どっちかというと、潮を吹いている回数の方が多い気がする。
潮吹き癖がついちゃったらどうしようとか、明日足腰立たないなぁとか。色々考える事はある筈なのに、おにいとのセックスが再開されれば全て霧散してしまう。
再び奥を犯し始めたおにいは、相変わらずぎらぎらした目で僕を見ていた。
「ぁあっ、ぁんっ…おに、おにいっ…!」
「~っは、あおっ…かわいい、すきだ、誰にも渡さない…っ」
酒のせいか、普段からそう思っていたのか。独占欲に塗れたおにいの言葉はぬるま湯のように心地いい。
嬉しい、おにいのものになれたことが。愛おしい、おにいの全てが。
両親には怒られるかもしれない。けど、僕が妊娠しちゃえば反対できないよね?それに、法律上では僕たちが結婚しても問題ない筈だし。
あぁ、嬉しいなぁ。やっとおにいが、僕のものになってくれる。
「おにい、おにいっ…」
「あおっ…!」
ぎゅうう、態とおにいの自身を締め付ければ快感でおにいの顔が歪んだ。
その表情が可愛くて、おにいの腰に両足を巻きつけぐいと腰を引き寄せる。
こつんと子宮口に先端部が当たる快感に、思わず背を逸らした。そのままとんとんと優しく子宮口をノックされ、絶頂から降りて来れなくなる。
「あぁうっ…だめ、そこきもちいっ…ンん、」
「あお、可愛い…ここ突くと、すごくぎゅって締め付けてくる」
「ひゃうっ…ンぁあっ、だめ、またいく、いくっ…!」
しつこいくらいに子宮口を擦られ、我慢できずにぷしゃあと潮を吹く。
その際の締め付けでおにいも限界が来たのか、どくどくと精液を注がれた。もう本当に何回目か分からない。
発情期でもないのに、妊娠しちゃう…でも、それはそれで幸せかもしれない。おにいと僕の赤ちゃんならきっと、可愛い路線もかっこいい路線も期待できる。
がくがくと震える僕の身体を宥めるように、おにいの大きな掌が腰を撫でる。
「っ…こら、あお。もう終わりにしよう、このままじゃあおの身体が持たない」
「やだ、まだぬいちゃだめ…もうすこしだけ」
おにいが僕の中から自身を引き抜こうとするのをとめるため、太腿で腰をぎゅっと挟み込む。
すっかり酔いが抜けたらしいおにいに嗜められるけど、こてりと首を傾げてお強請りすれば、諦めたように抜こうとするのをやめてくれた。
それが嬉しくてきゅうと胎内を締め付けると、おにいが困ったように眉を顰める。
そんな小さな表情の変化さえ嬉しくて、笑みが溢れるのを抑えられない。
「……おにいをそんなに煽るなんて、あおは悪い子だな」
耳元で低く囁かれた後、お仕置きと称したセックスは明け方まで続いたのだった。
◇
翌日僕が寝ている間に、全ては終わっていた。
昼過ぎに目を覚ませば嬉しそうなおにいが視界に入って、どうしたのと聞けば両親に結婚の許可を得てきたという。
びっくりして開いた口が塞がらない僕を、おにいはぎゅっと抱きしめた。
どうやらお母さんが二つ返事で頷いたらしい。僕がおにいを好いてる事を知っていた、と言ってたそうだ。
……あれ、僕これでも隠してた方なんだけどな?
お母さんにはモロバレだったらしい。なんなら、おにいにもバレていたそうだ。僕、そんなに分かりやすいかな?
それと、僕のバース性も薄々勘付いてたって。どうやら時折フェロモン漏れてたみたい。
「次の発情期が来たら、番おう。その後婚姻届を出して、挙式は追々考えていこう」
「…うん」
あまりにも幸せすぎて、夢なんじゃないかと思った。これは僕が見ている明晰夢で、都合のいい展開を見させられてるんじゃないかって。
ほっぺをつねったら痛かったし、お昼寝から目を覚ましてもそのままだった。どうやら夢じゃないみたい。
昨日の僕、ぐっじょぶ。
そう過去の自分に褒め言葉を送っていれば、おにいが申し訳なさそうに謝ってきた。
「今まで、弟だからってずっと抑えてきたんだ。でもやっぱり、あおの事諦められなくて…酔った勢いで抱いてごめん。今度、やり直しさせてほしい」
「…いいよ、僕が誘ったんだし…それにね、おにいと一緒に居れることが一番のご褒美だから」
そう言ってへにゃりと笑うと、力強く抱き締められる。
大好きなおにいの腕の中で、幸せを噛み締めた。嬉しいなぁ、初恋が実ってしまった。
これからずっと、おにいと一緒に居られるんだ。嬉しい、嬉しくてたまらない!子供も欲しいし、おにいにはいーっぱい頑張ってもらわないとね。
おにいの背中に腕を回して抱きしめ返す。僕のアルファは、今も昔もおにいただひとりだけだ。
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