推しは未来の魔王様!?

柴傘

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原作突入中

18:失せ物探し

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「ない、ない…何処にいってしまったの…!?」


学園の庭園、茂みの中に上半身を突っ込むご令嬢。
台詞から察するに何か失くしてしまったんだろう…でも、その声に聞き覚えがありすぎて立ち止まってしまう。


この声は、どう聞いてもルーズレス嬢の声だ。


あの子、何してるんだ?
男爵家とはいえ、貴族としての教養はそこらの侯爵令嬢に引けを取らないほど素晴らしい。
リオに喧嘩さえ売らなければ、満点なご令嬢だと学園中で噂になっている。


そんな彼女が、茂みの中に上半身を突っ込んでいる姿は、とても異様だ。
…ちょっと面白いとか思ってないよ。
周りの生徒に、近寄らない方が…って諌められたけど、この姿は流石に放って置けない…いや、面白そうだからとかじゃない。断じて。


「…ルーズレス嬢、どうかしたの?」
「えっ…え!?レオ…レオンハルト様、どうしてこちらに!?」


うん、驚きすぎてお口あんぐりだね。
そんな事しても可愛らしいのは、彼女の美貌のおかげだろう…美少女は正義だなぁ。
髪の至る所に着いた葉を取ってやると、照れた様にはにかんだ。


「俺の事に関して以外、立派な御令嬢の貴女がこんな所で何してるんですか?」
「いや、そのっ…あの、大切な物ネックレスを失くしてしまいまして」


やはり、独り言で言ってた様に落とし物をしたらしい。
経緯を聞くと、何となくだけどきな臭い様な気がしてくる…どうやら、授業中に失くしたみたいだ。


「乗馬の授業中、失くすといけないので外してますの…このポーチに入れて保管してるんですけど、蓋を閉め忘れてしまった様で…」


困りましたわ、そう言って悲しげに顔を歪めるルーズレス嬢。
余程大切な物なのだろう…少し瞳に涙が溜まっている。俺も探すのを手伝うといえば、申し訳なさそうに頭を下げられた。


「ありがとうございます!私の乳母が入学祝いにくれた物でして…本当に、大事な物なのです」
「困ってる時はお互い様だよ…俺も心当たりを探すから、見つかったら知らせるね」


そう言って微笑むと、満点の笑みを浮かべるルーズレス嬢。
こうしてれば可愛らしいのに、いろいろ残念だ…ちゃんとお嫁にいければ良いけど。
そんな事を考えていたら、いつのまにか俺の隣に来ていたリオにギャンギャン吠え始める彼女。


「…喧嘩するなら、探さないよ」


俺の冷たい声に、びくりと方を震わせた彼女に少し気分がスッとしたのは内緒だ。




「…で、隠してやりましたの。リオ様に罵声を浴びせるからこうなるのですわ…いい気味だ事!」


高位貴族しか入れない学園内のサロン、俺がクロ様と2人でそこに入ると、先にお茶をしていた数名のご令嬢方が立ち上がり礼をする。
普段ならそこで軽く会釈をするだけだが、先程僅かに聞こえた会話に疑問を覚え俺は珍しくテーブルへ近寄った。


クロ様から黒いオーラを感じてなんかいない、絶対に。


「レオンハルト様っ…本日はどの様な御用件でしょう!」


俺が笑みを浮かべながら近寄ったのが好意だと思ったのか、色めき立つ侯爵令嬢。
彼女は確か…第二王子派の家だったかな。


「シャスイン嬢、先程の会話が気になるのだけど…誰の話をしていたの?」
「まぁ、恥ずかしい!聞かれてしまっていたのですね…小賢しいルーズレス嬢の事を話していたのですわ!」


どうやら、彼女のネックレスを隠したのは彼女達らしい。
彼女らは昔から俺を守るリオのファンで、婚約者も居ない彼を密かに狙っていたとの事。
同じ学園、同学年になれた事でリオにアプローチを掛けようとしたが、常にルーズレス嬢が居て近寄れなかった…。


しかもあろう事に、我らがリオ様に罵声を浴びせている!


あの女、許せない…あんなにも素敵なリオ様を侮辱するなんて…。
大事そうにしているネックレス、捨ててしまいましょう!という事らしい。うん、立派な犯罪だね。
彼女達は、ルーズレス嬢がどれだけあのネックレスを大切にしていたのか知らない、知ろうとしない…そんな宝物を、あろう事か学園の湖に投げ入れたらしい。


学園での窃盗は謹慎処分にあたる。
そう告げれば顔を絶望に染め俺に縋る令嬢達…自業自得なのにね。


その腕を振り払い、俺はクロ様と共に湖に向かった。
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