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第一章
運命の蜂起-02
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「夜襲だー!!」
号令がかかった。俺は飛び起きて、リバーヴァ家の側に駐機してあるレクルート・ファハンに飛び乗った。即座に端末を全身にまとう。そしてキャノピーを閉じ、静かに瞳を閉じた。夜間ということもあり、自動的にアイカメラが暗視用に切り替わる。
そして、俺は大きく深呼吸をした。
「…いいか、レクルート。俺、出陣!」
「うわぁぁぁあ!」
既に敵帝国兵の騎士団と俺達反乱軍の民兵とが激しく戦っていた。戦況は… 未だ拮抗している。うん、今ならまだ間に合う!
「どけどけどけーッ! このドラグナーに轢かれたら痛いだけじゃすまんぞォ!!」
俺はダッシュローラーをMAXで回転させブースターのバーニアを大きくふかすと、戦場を混乱させるためにジグザグに駆け巡る。そして視線だけはキョロキョロと敵ドラグナーを探していた。
…いた! 敵ファハンタイプが三騎! 夜間モードのままズームアップすると、今までのものとは若干カラーが異なっていた。だがしかし、その腰に下げられている徽章を見ると、敵帝国軍のもの。俺はいつものように徽章の何処かに描きこまれているナンバリングを確認する。どれどれ… 左から、021,001,035…。中でも001は同じファハンでも今までにみられなかった豪華な装飾が施されており、その左肩のポールドロンには隊長騎を意味するであろう簡単な”角”が生えていた。うん、最初の獲物は決まったな!
「レクルート・ファハン、ライヴ=オフウェイ見参!」
俺は颯爽と飛び出した。
『-あれが噂の白いやつか!?-』
『-ああ、おそらく、先日フィッシャー卿を倒したってやつだ-』
『-何を臆する必要がある! せっかく賞金もかけられたんだ、行くぞ!-』
…ほほう…、賞金首、ですか。俺もいろいろと有名になってきましたねぇ…。
装飾を施されてない二騎が前面に出てきた。その腕には何やら飛び道具のようなものが装着されている。そう言えば、このレクルート・ファハンを鹵獲したときにも腕に何かの装置がついていたが、おそらくアレと同じなのかもしれない。俺は違和感を感じ、正面からのダッシュから右へフェイントをかけてそのまま進路をスライドさせた。
『-撃て!-』
さっきまで俺がいた位置から炎が吹き上がる。…なんだ? ドラグナーにもお約束の爆発物があるってか?
『-第二撃、用意…!-』
俺はブースターの出力を上げた。
『-撃て!-』
俺のレクルートが描く軌跡を追いかけるように炎の塊が飛んで来る。そして次々と爆風が吹き荒れた。その爆発の明かりで周辺が煌々と照らし出されていく。
『-何をやっている、当てないか!-』
叱責の声が聞こえてきた。だが甘いね。俺は信地旋回を繰り返しながら間合いを詰めていく。
『-ええい、俺に貸せ!-』
ナンバリング001が021の飛び道具をもぎ取り、俺を指向した。そして、発砲!
しかし、俺は着弾の寸前にジャンプをしていた。その勢いで更に間合いを詰め、021の肩口から深々と大剣を突き刺す!
『-ヤザン!!-』
俺は021の肩口を蹴り突き刺した大剣を引き抜くと、そのままバク転をかました。敵との距離は相当詰まっている。飛び道具を使うには不利な地点だ。俺は逆手に持っていた大剣を順手に持ち替え、035の胴を薙いだ。…ヒット! でも致命傷には至っていない。俺は大剣を翻してコクピットを突き刺した。…クリティカル! 哀れ胴体を貫かれた035は火花とともに沈黙した。そして、レクルート・ファハンの瞳が001を指向する。
『-…おのれ。ヤザンとウェーバーの仇、いざ果たしてやる!-』
001は021から奪った飛び道具を捨て、スラリと剣を引き抜いた。そして俺に向かって袈裟懸けに斬りかかってくる。俺は左に重心を移し、”柳”でその剣を受け流した。そして頭の上で大剣を大きく回転させ、その勢いで逆袈裟を御見舞する。001の右腕が虚しく地に落ち、一瞬体を崩した。その隙を俺が見逃すはずはない。俺は大剣を翻すと、そのまま中段からコクピットへ剣を滑り込ませていく。で、力いっぱいに引き抜いた。…残心。決まったぜ!
哀れ001は名乗りもあげられないまま、コクピットから火花をあげて沈黙した。
「ドラグナーはすべて全騎、俺が駆逐した!俺達の勝利だ!」
「おおおおおおおおおッ!」
村人たちの勝鬨が上がる。俺は001が放棄した飛び道具を拾い上げ、右腕に装着しようとした。実のところ、なんに使うか分からない”爪”がこのファハンタイプには共通で装備されているようで、その爪に引っ掛けるとちょうどよく固定できた。
「全員、深追いはするな! 怪我人の収容だけを考えて、速やかに撤収だ!」
俺は大声で叫ぶと、撤退の合図を兼ねて空に向けて装着したばかりのその飛び道具を空へ向けて発砲してみた。
パァ… ン!
…ああ、ナルホド。このレクルートを鹵獲した時に聞こえた音って、つまりはコレだったんだ。何らかの回線がつながっているのか、残弾数が概念的にわかった。そういや、もう一つ落ちていたな…。俺は側にあったもう一つの飛び道具を持ち上げると、弾倉の確認をした。ふむ、まだ数発残っている。腕に取り付けた飛び道具の弾倉も確認してみる。…ふむ、それなりに減っている。これは戦利品だよなぁ…。そう考えて、俺は負うひとつの飛び道具も頂戴することにした。これで戦いに関するバリエーションが増えるはず。それはきっと、いい事なんだ。うん、そうに違いない。
報告を受けた怪我人は14名。そのいずれも軽症だということだった。皆それぞれフィリピン武術のエスクリマを日頃から鍛錬している。その成果とも言える内容だった。俺はその報告を聞いて、ホッと胸をなでおろした。俺が指揮している以上、村の人達に無理を強いることはできない。一人でも多く、生き残るように作戦を立てるべきなのだ…。
◇ ◇ ◇ ◇
「皆さん、ご機嫌いかがですか? 司会進行役のブレンドフィア=メンションです。さて、今回はいよいよ件の少年であるライヴ=オフウェイと反乱軍でもあるブラウ=レジスタルスとの接点についてお話していきましょう。
遠い昔、私がまだ若かった頃に演じた”シュターク=ヘラクレッシュ”。彼はブラウ=レジスタルスの一員であり、気のいい大男でした。酒好きで楽しいことが大好きで、でも高所恐怖症だったというところもまた魅力的な役柄だったことを覚えています。そのシュタークも所属していたブラウ=レジスタルス。そこは実に個性的な面々が揃った団体でした。ですが実際にはどのような団体だったのでしょう…?」
「そうですね、やはり軍隊ですから、規律のあるちゃんとした部隊であったと思います。例え演義において魅力的に描かれていたブラウ=レジスタルスの面々も、その実は今で言う軍隊と同程度の自由しかなかったのではないでしょうか?」
そう話すのは、アンスタフト=ヒストリカ教授である。
「ブラウ=レジスタルスがどのような運営をされていたかについての文献やレリーフなどの記述は、正直なところまだ発掘されていないのが実情です。であるならば、現在ある軍隊の規律に照らし合わせてみるのが妥当であると私は考えています」
この意見に真っ向から対立しているのが、ミンダーハイト=ギリアートン教授の説だ。
「はい、ブラウ=レジスタルス内の空気は実に風通しが良く、とても過ごしやすかったと私は考えています。その根拠として挙げるには若干弱いのですが、15歳という若い女性… シェスター=ネッテから、後に加わる58歳のベテランまで、そのメンバーは実に多種多様でした。彼らは規律で縛られていたのではなく、自由な雰囲気に当てられて仲間になったと私は考えています。後の世に描かれた演義:ディクローム・クーリッヒ・ウー・ヴァンにおいてもその様子は実にいきいきと描かれており、単なる作り話とするのはもったいない気がしますね、個人的に」
◇ ◇ ◇ ◇
「ライヴ、起きて。ねぇ、ライヴったら… お客様よ」
夜襲のあった翌朝のことである。不意に俺を尋ねて来た者がいた。
「…ん? お客様?…誰だよ、こんな朝早くから… 珍しいな」
「随分と可愛らしいお客様よ。何か書簡のようなものを持ってきているようだけど、どうする? 待っててもらう?」
「いや、すぐに会うよ。着替える間だけ、ちょっと待っててもらって」
俺は慌てて身支度を整えると、リバーヴァ家の今に向かった。どうやらそこにお客人がいるらしい。もしかしてヌッツが上手くやってくれたのだろうか? 俺の期待は最高潮に高まっていた。
「遅れて実に申し訳ない。俺がライヴ…」
「ああ、聞いているよ! あなたがライヴ=オフウェイさんだね! ボクよりも一つ上なのに、噂ではこの村の住民を率いて随分と派手に暴れているそうじゃない! それがこんな普通の男の子だったとは、ホント、ボクもびっくりだよ!」
小柄な体躯にやや小さめのバスト。オレンジ色のややクセのある髪を右のサイドテールでまとめてある。その瞳は好奇心に満ち溢れ、大きく見開かれていた。その顔立ちも十分に及第点以上。リーヴァとは異なるタイプの可愛さを持ち合わせていた。俺はできるだけ平常心を保ちつつ、目の前のお客陣に失礼の無いよう向き合った。
「俺のことを聞いている、と言ったね。それはどういう意味?」
「うん、このダーフで暴れているドラグナー乗りがいる。それが虐げられてきた村人を奮起させ、ひとつにまとめ上げてるっていうじゃない! それを聞いて心躍らない人なんて、いやしないわ!」
「…暴れていると言うのはいささか心外だな。俺はあくまで、俺達に降り掛かってくる火の粉を払っているに過ぎない。…それで、君は?」
「蒼き旅団のシェスター=ネッテ。本当ならウチのシュタークってのと一緒に来るはずだったんだけどちょっぴり飲みすぎちゃっててさ、ここに来られなくなっちゃった。で、このボクひとりが代理なんだ」
その少女は身なりを正すと、改めて挨拶をした。
「ライヴ=オフウェイ様。我が主、ブラウ=レジスタルスのリーダーであるローン=リアリズレン様からの書簡をお持ちしました」
「ブラウ=レジスタルス…」
俺は側にいたリーヴァの方を見た。リーヴァは小さく頷くと俺の耳元で囁いてくる。
「3年ほど前から各地を転々としながら活躍している、反帝国を掲げる団体よ。噂だけは聞いたことがあるわ。でも、こんな小さな娘までいるとは知らなかった。それだけ構成員に幅がひろいということかしら?」
「…そうか、わかった。少し時間をもらえないいか、この書簡を読む時間がほしい。…どうだろう?」
「うん。あなたがいいなら、ボクはいつでも待つよ。これがローン様からの書状です。どうぞ!」
俺はシェスターから書簡を受け取った。その書簡にはシーリング・ワックスの上から紋章らしき印璽が押されている。これはいよいよ本格的ファンタジーの世界だな…。などと思いつつ、その封印を解いた。
そういや俺、この世界の文字って意識せず読んでたよな。文字とか全く日本語のそれとは異なっているのに、スラスラと。これって、身体の持ち主である本物のライヴくんの記憶から来るものなのだろうか? とにかく、書簡に目を通してみよう。
『勇敢にも立ち上がった勇者を歓迎する』
意識してなかったけれど、普通に読めるじゃん? ナルホド、では先に進もうか。
『帝国軍に反旗を翻したダーフ村の噂は、辺境の地を転戦していた私の耳にも届いている。連戦連勝、とても簡単に真似できることではない。まずはその点において賞賛を贈りたい』
…ふむ。随分と上から目線なんだな。一体どのような人物が書いて送ってきているのだろう。俺は更に読み進めた。
『ヌッツという男が接触してきた。貴君が我々に対し、派遣された者だという。聞けば、随分と苦しい戦いをしているようだ。そこで、我々としては貴君の作戦を援護する用意がある』
ふむ、ナルホド。
『我が名はローン=リアリズレン。ヅィンデズランズの元当主にして、辺境遊撃隊ブラウ=レジスタルスの団長である。きっと、貴君の力になれるだろう。この書状への返信や質問などあれば、今貴君のもとへ派遣してあるシェスターに聞くといい。いつでも貴君の返事を待っている。この地方も厳しい冬が間近、無駄にできる時間はないはずだ』
ほほぅ… よく分かってんじゃん。もしかして、足元見られてる?
『可能な限り早く良き返事を待っている。我らが神の御名において、この書状の真意が貴君に届くよう祈っている。ローン=リアリズレン』
「で、シェスター… と言ったね。君はこの書状の内容について何か聞かされているの?」
「一応は。あなたからの返事を持ち帰らないといけないからね。で、どうするのかな?」
「ちなみに、君はどうやってあの砦を超えてきたんだ?」
「ボクのドラグナーは空中専用騎だからさ、それを飛んできたんだよ。火力を含めて戦闘力は地上専用騎ほどではないけれど、機動力では天下一品だからね。砦なんて、軽い軽い」
「じゃ、ひとつ聞いてもいいかな? 現在砦にはどれくらいの戦力が集まってきているかわかるかい?」
「その事についてはヌッツって人が事細かに調べ上げてきてたよ。いやぁ、大したもんだね。事細かく調べ上げてて、実はボクもその情報を頼りにここまで無難にやって来たのさ」
「それじゃ、把握はできているんだね?」
「…集まってきてるよ、少しづつではあるけどね。正直言って、ドラグナー一騎では厳しいと思う」
「バリエーラの状況は?」
「街こそ賑わってるけど、重い税金に苦しんでる。それに次々やって来る兵士たちの暴力も横行してるしね。不満はいっぱいだって聞いてる」
「…そうか。ならば伝えて欲しい。明晩午前零時を告げる頃、俺達は砦を破る。そして、ダーフとバリエーラを抑えようと考えている。協力してもらえるとありがたい。てか、協力がないと、俺達は全滅だ。…どうだろう?」
「了解! いい返事をありがとう。きっとローン様はお喜びになるわ!」
「そう言えば、なんだけど。」
「なに?」
「君たちは”辺境遊撃隊”と言ってたね? どうやって移動してるの?」
「僕達には陸上空母、アジ=ダハーカがあるからね。反旗を翻したドラグナー乗りや騎士たちは皆、それに搭乗しているわ。乗り切れない人は馬に乗っての移動ね。かわいそうだけど」
「じゃ、君一人だけじゃなくて…」
「ええ、ドラグナー乗りだって何人もいるわよ。期待してて!」
「…わかった。では作戦を開始しよう。タイムテーブルはこうだ。午前零時前、俺達は砦に対し奇襲をかける。敵さんが慌てて出た後に、君たちがバリエーラ側からあの砦を押さえて欲しい。俺達は奇襲をかけると同時に、敵を引きつけながら後退する。そこで敵さんの後ろからコツンと突き出して砦を占拠してくれれば、俺が各個撃破してみせるさ。勿論、キミ達の参戦が大前提ではあるんだけれど… どうだろう?」
「いい作戦だね。 もしかしてキミ、軍師も兼ねてる?」
「軍師なんて大層なものじゃないさ。昔遊んだゲームの戦略のひとつだよ」
「…げー… む? 一体、なにそれ?」
「そこはまだ突っ込むところじゃな~い! …じゃ、リアリズレン卿に伝えてもらえるかな? 俺達はこう動こうと思っているってさ」
「わかった! でもさ、キミは本当に不思議な人だね。気がついたら、ボクの懐の中にスッポリと入ってきちゃってるんだもの。本当に面白い人だね!」
◇ ◇ ◇ ◇
「で、これが私のドラグナー”ラーヴァナ”。機動力だけはどの機体にも負けないんだよ!」
そこには、まるでトンボを思わせる様な形状のドラグナーが駐機してあった。
「キミの意向は、ちゃんとローン様に伝えておくからね。期待してて!」
「ああ、勿論期待してる。帰投中にくれぐれも撃ち落とされないようにな」
シェスターは可愛らしいウインクで答えると、ラーヴァナに乗り込んで遙か上空へと飛び去った。これなら砦も軽く飛び越せるだろう。
「…ナルホドな。スカイアウフとランダーって、これだけの違いがあるんだな~。なんだか、一度借りて乗ってみたいな~」
思わずつぶやくと、隣りにいたリーヴァがじろりと睨んできた。
「またそういうことを言う。いい加減にしないと、今に痛い目にあうわよ」
号令がかかった。俺は飛び起きて、リバーヴァ家の側に駐機してあるレクルート・ファハンに飛び乗った。即座に端末を全身にまとう。そしてキャノピーを閉じ、静かに瞳を閉じた。夜間ということもあり、自動的にアイカメラが暗視用に切り替わる。
そして、俺は大きく深呼吸をした。
「…いいか、レクルート。俺、出陣!」
「うわぁぁぁあ!」
既に敵帝国兵の騎士団と俺達反乱軍の民兵とが激しく戦っていた。戦況は… 未だ拮抗している。うん、今ならまだ間に合う!
「どけどけどけーッ! このドラグナーに轢かれたら痛いだけじゃすまんぞォ!!」
俺はダッシュローラーをMAXで回転させブースターのバーニアを大きくふかすと、戦場を混乱させるためにジグザグに駆け巡る。そして視線だけはキョロキョロと敵ドラグナーを探していた。
…いた! 敵ファハンタイプが三騎! 夜間モードのままズームアップすると、今までのものとは若干カラーが異なっていた。だがしかし、その腰に下げられている徽章を見ると、敵帝国軍のもの。俺はいつものように徽章の何処かに描きこまれているナンバリングを確認する。どれどれ… 左から、021,001,035…。中でも001は同じファハンでも今までにみられなかった豪華な装飾が施されており、その左肩のポールドロンには隊長騎を意味するであろう簡単な”角”が生えていた。うん、最初の獲物は決まったな!
「レクルート・ファハン、ライヴ=オフウェイ見参!」
俺は颯爽と飛び出した。
『-あれが噂の白いやつか!?-』
『-ああ、おそらく、先日フィッシャー卿を倒したってやつだ-』
『-何を臆する必要がある! せっかく賞金もかけられたんだ、行くぞ!-』
…ほほう…、賞金首、ですか。俺もいろいろと有名になってきましたねぇ…。
装飾を施されてない二騎が前面に出てきた。その腕には何やら飛び道具のようなものが装着されている。そう言えば、このレクルート・ファハンを鹵獲したときにも腕に何かの装置がついていたが、おそらくアレと同じなのかもしれない。俺は違和感を感じ、正面からのダッシュから右へフェイントをかけてそのまま進路をスライドさせた。
『-撃て!-』
さっきまで俺がいた位置から炎が吹き上がる。…なんだ? ドラグナーにもお約束の爆発物があるってか?
『-第二撃、用意…!-』
俺はブースターの出力を上げた。
『-撃て!-』
俺のレクルートが描く軌跡を追いかけるように炎の塊が飛んで来る。そして次々と爆風が吹き荒れた。その爆発の明かりで周辺が煌々と照らし出されていく。
『-何をやっている、当てないか!-』
叱責の声が聞こえてきた。だが甘いね。俺は信地旋回を繰り返しながら間合いを詰めていく。
『-ええい、俺に貸せ!-』
ナンバリング001が021の飛び道具をもぎ取り、俺を指向した。そして、発砲!
しかし、俺は着弾の寸前にジャンプをしていた。その勢いで更に間合いを詰め、021の肩口から深々と大剣を突き刺す!
『-ヤザン!!-』
俺は021の肩口を蹴り突き刺した大剣を引き抜くと、そのままバク転をかました。敵との距離は相当詰まっている。飛び道具を使うには不利な地点だ。俺は逆手に持っていた大剣を順手に持ち替え、035の胴を薙いだ。…ヒット! でも致命傷には至っていない。俺は大剣を翻してコクピットを突き刺した。…クリティカル! 哀れ胴体を貫かれた035は火花とともに沈黙した。そして、レクルート・ファハンの瞳が001を指向する。
『-…おのれ。ヤザンとウェーバーの仇、いざ果たしてやる!-』
001は021から奪った飛び道具を捨て、スラリと剣を引き抜いた。そして俺に向かって袈裟懸けに斬りかかってくる。俺は左に重心を移し、”柳”でその剣を受け流した。そして頭の上で大剣を大きく回転させ、その勢いで逆袈裟を御見舞する。001の右腕が虚しく地に落ち、一瞬体を崩した。その隙を俺が見逃すはずはない。俺は大剣を翻すと、そのまま中段からコクピットへ剣を滑り込ませていく。で、力いっぱいに引き抜いた。…残心。決まったぜ!
哀れ001は名乗りもあげられないまま、コクピットから火花をあげて沈黙した。
「ドラグナーはすべて全騎、俺が駆逐した!俺達の勝利だ!」
「おおおおおおおおおッ!」
村人たちの勝鬨が上がる。俺は001が放棄した飛び道具を拾い上げ、右腕に装着しようとした。実のところ、なんに使うか分からない”爪”がこのファハンタイプには共通で装備されているようで、その爪に引っ掛けるとちょうどよく固定できた。
「全員、深追いはするな! 怪我人の収容だけを考えて、速やかに撤収だ!」
俺は大声で叫ぶと、撤退の合図を兼ねて空に向けて装着したばかりのその飛び道具を空へ向けて発砲してみた。
パァ… ン!
…ああ、ナルホド。このレクルートを鹵獲した時に聞こえた音って、つまりはコレだったんだ。何らかの回線がつながっているのか、残弾数が概念的にわかった。そういや、もう一つ落ちていたな…。俺は側にあったもう一つの飛び道具を持ち上げると、弾倉の確認をした。ふむ、まだ数発残っている。腕に取り付けた飛び道具の弾倉も確認してみる。…ふむ、それなりに減っている。これは戦利品だよなぁ…。そう考えて、俺は負うひとつの飛び道具も頂戴することにした。これで戦いに関するバリエーションが増えるはず。それはきっと、いい事なんだ。うん、そうに違いない。
報告を受けた怪我人は14名。そのいずれも軽症だということだった。皆それぞれフィリピン武術のエスクリマを日頃から鍛錬している。その成果とも言える内容だった。俺はその報告を聞いて、ホッと胸をなでおろした。俺が指揮している以上、村の人達に無理を強いることはできない。一人でも多く、生き残るように作戦を立てるべきなのだ…。
◇ ◇ ◇ ◇
「皆さん、ご機嫌いかがですか? 司会進行役のブレンドフィア=メンションです。さて、今回はいよいよ件の少年であるライヴ=オフウェイと反乱軍でもあるブラウ=レジスタルスとの接点についてお話していきましょう。
遠い昔、私がまだ若かった頃に演じた”シュターク=ヘラクレッシュ”。彼はブラウ=レジスタルスの一員であり、気のいい大男でした。酒好きで楽しいことが大好きで、でも高所恐怖症だったというところもまた魅力的な役柄だったことを覚えています。そのシュタークも所属していたブラウ=レジスタルス。そこは実に個性的な面々が揃った団体でした。ですが実際にはどのような団体だったのでしょう…?」
「そうですね、やはり軍隊ですから、規律のあるちゃんとした部隊であったと思います。例え演義において魅力的に描かれていたブラウ=レジスタルスの面々も、その実は今で言う軍隊と同程度の自由しかなかったのではないでしょうか?」
そう話すのは、アンスタフト=ヒストリカ教授である。
「ブラウ=レジスタルスがどのような運営をされていたかについての文献やレリーフなどの記述は、正直なところまだ発掘されていないのが実情です。であるならば、現在ある軍隊の規律に照らし合わせてみるのが妥当であると私は考えています」
この意見に真っ向から対立しているのが、ミンダーハイト=ギリアートン教授の説だ。
「はい、ブラウ=レジスタルス内の空気は実に風通しが良く、とても過ごしやすかったと私は考えています。その根拠として挙げるには若干弱いのですが、15歳という若い女性… シェスター=ネッテから、後に加わる58歳のベテランまで、そのメンバーは実に多種多様でした。彼らは規律で縛られていたのではなく、自由な雰囲気に当てられて仲間になったと私は考えています。後の世に描かれた演義:ディクローム・クーリッヒ・ウー・ヴァンにおいてもその様子は実にいきいきと描かれており、単なる作り話とするのはもったいない気がしますね、個人的に」
◇ ◇ ◇ ◇
「ライヴ、起きて。ねぇ、ライヴったら… お客様よ」
夜襲のあった翌朝のことである。不意に俺を尋ねて来た者がいた。
「…ん? お客様?…誰だよ、こんな朝早くから… 珍しいな」
「随分と可愛らしいお客様よ。何か書簡のようなものを持ってきているようだけど、どうする? 待っててもらう?」
「いや、すぐに会うよ。着替える間だけ、ちょっと待っててもらって」
俺は慌てて身支度を整えると、リバーヴァ家の今に向かった。どうやらそこにお客人がいるらしい。もしかしてヌッツが上手くやってくれたのだろうか? 俺の期待は最高潮に高まっていた。
「遅れて実に申し訳ない。俺がライヴ…」
「ああ、聞いているよ! あなたがライヴ=オフウェイさんだね! ボクよりも一つ上なのに、噂ではこの村の住民を率いて随分と派手に暴れているそうじゃない! それがこんな普通の男の子だったとは、ホント、ボクもびっくりだよ!」
小柄な体躯にやや小さめのバスト。オレンジ色のややクセのある髪を右のサイドテールでまとめてある。その瞳は好奇心に満ち溢れ、大きく見開かれていた。その顔立ちも十分に及第点以上。リーヴァとは異なるタイプの可愛さを持ち合わせていた。俺はできるだけ平常心を保ちつつ、目の前のお客陣に失礼の無いよう向き合った。
「俺のことを聞いている、と言ったね。それはどういう意味?」
「うん、このダーフで暴れているドラグナー乗りがいる。それが虐げられてきた村人を奮起させ、ひとつにまとめ上げてるっていうじゃない! それを聞いて心躍らない人なんて、いやしないわ!」
「…暴れていると言うのはいささか心外だな。俺はあくまで、俺達に降り掛かってくる火の粉を払っているに過ぎない。…それで、君は?」
「蒼き旅団のシェスター=ネッテ。本当ならウチのシュタークってのと一緒に来るはずだったんだけどちょっぴり飲みすぎちゃっててさ、ここに来られなくなっちゃった。で、このボクひとりが代理なんだ」
その少女は身なりを正すと、改めて挨拶をした。
「ライヴ=オフウェイ様。我が主、ブラウ=レジスタルスのリーダーであるローン=リアリズレン様からの書簡をお持ちしました」
「ブラウ=レジスタルス…」
俺は側にいたリーヴァの方を見た。リーヴァは小さく頷くと俺の耳元で囁いてくる。
「3年ほど前から各地を転々としながら活躍している、反帝国を掲げる団体よ。噂だけは聞いたことがあるわ。でも、こんな小さな娘までいるとは知らなかった。それだけ構成員に幅がひろいということかしら?」
「…そうか、わかった。少し時間をもらえないいか、この書簡を読む時間がほしい。…どうだろう?」
「うん。あなたがいいなら、ボクはいつでも待つよ。これがローン様からの書状です。どうぞ!」
俺はシェスターから書簡を受け取った。その書簡にはシーリング・ワックスの上から紋章らしき印璽が押されている。これはいよいよ本格的ファンタジーの世界だな…。などと思いつつ、その封印を解いた。
そういや俺、この世界の文字って意識せず読んでたよな。文字とか全く日本語のそれとは異なっているのに、スラスラと。これって、身体の持ち主である本物のライヴくんの記憶から来るものなのだろうか? とにかく、書簡に目を通してみよう。
『勇敢にも立ち上がった勇者を歓迎する』
意識してなかったけれど、普通に読めるじゃん? ナルホド、では先に進もうか。
『帝国軍に反旗を翻したダーフ村の噂は、辺境の地を転戦していた私の耳にも届いている。連戦連勝、とても簡単に真似できることではない。まずはその点において賞賛を贈りたい』
…ふむ。随分と上から目線なんだな。一体どのような人物が書いて送ってきているのだろう。俺は更に読み進めた。
『ヌッツという男が接触してきた。貴君が我々に対し、派遣された者だという。聞けば、随分と苦しい戦いをしているようだ。そこで、我々としては貴君の作戦を援護する用意がある』
ふむ、ナルホド。
『我が名はローン=リアリズレン。ヅィンデズランズの元当主にして、辺境遊撃隊ブラウ=レジスタルスの団長である。きっと、貴君の力になれるだろう。この書状への返信や質問などあれば、今貴君のもとへ派遣してあるシェスターに聞くといい。いつでも貴君の返事を待っている。この地方も厳しい冬が間近、無駄にできる時間はないはずだ』
ほほぅ… よく分かってんじゃん。もしかして、足元見られてる?
『可能な限り早く良き返事を待っている。我らが神の御名において、この書状の真意が貴君に届くよう祈っている。ローン=リアリズレン』
「で、シェスター… と言ったね。君はこの書状の内容について何か聞かされているの?」
「一応は。あなたからの返事を持ち帰らないといけないからね。で、どうするのかな?」
「ちなみに、君はどうやってあの砦を超えてきたんだ?」
「ボクのドラグナーは空中専用騎だからさ、それを飛んできたんだよ。火力を含めて戦闘力は地上専用騎ほどではないけれど、機動力では天下一品だからね。砦なんて、軽い軽い」
「じゃ、ひとつ聞いてもいいかな? 現在砦にはどれくらいの戦力が集まってきているかわかるかい?」
「その事についてはヌッツって人が事細かに調べ上げてきてたよ。いやぁ、大したもんだね。事細かく調べ上げてて、実はボクもその情報を頼りにここまで無難にやって来たのさ」
「それじゃ、把握はできているんだね?」
「…集まってきてるよ、少しづつではあるけどね。正直言って、ドラグナー一騎では厳しいと思う」
「バリエーラの状況は?」
「街こそ賑わってるけど、重い税金に苦しんでる。それに次々やって来る兵士たちの暴力も横行してるしね。不満はいっぱいだって聞いてる」
「…そうか。ならば伝えて欲しい。明晩午前零時を告げる頃、俺達は砦を破る。そして、ダーフとバリエーラを抑えようと考えている。協力してもらえるとありがたい。てか、協力がないと、俺達は全滅だ。…どうだろう?」
「了解! いい返事をありがとう。きっとローン様はお喜びになるわ!」
「そう言えば、なんだけど。」
「なに?」
「君たちは”辺境遊撃隊”と言ってたね? どうやって移動してるの?」
「僕達には陸上空母、アジ=ダハーカがあるからね。反旗を翻したドラグナー乗りや騎士たちは皆、それに搭乗しているわ。乗り切れない人は馬に乗っての移動ね。かわいそうだけど」
「じゃ、君一人だけじゃなくて…」
「ええ、ドラグナー乗りだって何人もいるわよ。期待してて!」
「…わかった。では作戦を開始しよう。タイムテーブルはこうだ。午前零時前、俺達は砦に対し奇襲をかける。敵さんが慌てて出た後に、君たちがバリエーラ側からあの砦を押さえて欲しい。俺達は奇襲をかけると同時に、敵を引きつけながら後退する。そこで敵さんの後ろからコツンと突き出して砦を占拠してくれれば、俺が各個撃破してみせるさ。勿論、キミ達の参戦が大前提ではあるんだけれど… どうだろう?」
「いい作戦だね。 もしかしてキミ、軍師も兼ねてる?」
「軍師なんて大層なものじゃないさ。昔遊んだゲームの戦略のひとつだよ」
「…げー… む? 一体、なにそれ?」
「そこはまだ突っ込むところじゃな~い! …じゃ、リアリズレン卿に伝えてもらえるかな? 俺達はこう動こうと思っているってさ」
「わかった! でもさ、キミは本当に不思議な人だね。気がついたら、ボクの懐の中にスッポリと入ってきちゃってるんだもの。本当に面白い人だね!」
◇ ◇ ◇ ◇
「で、これが私のドラグナー”ラーヴァナ”。機動力だけはどの機体にも負けないんだよ!」
そこには、まるでトンボを思わせる様な形状のドラグナーが駐機してあった。
「キミの意向は、ちゃんとローン様に伝えておくからね。期待してて!」
「ああ、勿論期待してる。帰投中にくれぐれも撃ち落とされないようにな」
シェスターは可愛らしいウインクで答えると、ラーヴァナに乗り込んで遙か上空へと飛び去った。これなら砦も軽く飛び越せるだろう。
「…ナルホドな。スカイアウフとランダーって、これだけの違いがあるんだな~。なんだか、一度借りて乗ってみたいな~」
思わずつぶやくと、隣りにいたリーヴァがじろりと睨んできた。
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