蒼き炎の神鋼機兵(ドラグナー)

しかのこうへい

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第五章

大草原血に染めて-05

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幸い…とも言うべきか。アジ・ダハーカの面々に大きな被害はなかった。しかし、従軍したドラグナーの1/3を超す被害が出てしまった。ましてや、生身の騎士や兵士に至っては考えたくもない。それほどの大被害を被った。正直言って、俺は舐めていた。あの、アムンジェスト=マーダーという突出した敵将を。”恐怖公”の二つ名も持つだけのことはある。

何よりも、生き残った者が大変だった。先の戦いで彼の搭乗員… 哀れなマーダーの被害者の死に様を観た者たちは、多かれ少なかれ心に大きなキズを負ってしまった。何よりも精神力を喰らって稼働するのが神鋼機兵ドラグナーである。士気が下がりきった今となっては、戦うのも難しい。正直言って、間近に見てしまった俺自身もまともな神経でいられるはずもなく… これは何か、必要な処置を要しなければならなかった。

「…至急、トリアージを行います」
俺はアーサーハイヴに、医師や心の拠り所となる聖職者の派遣を要請した。そして、
「診療や処置が必要と認められる者には、そのレベルに応じた”色分け”を行います…」
と、トリアージの概念を伝えた。騎士や兵士の多くはあの光景・・・・を思い出して不眠を訴えるもの、精神的不安定を訴えてくるもの、その他大勢であった。しかも難儀なことに、あのマーダーの軍勢はすぐには追ってこなかった。時間を置きながら、強行偵察をしてくるだけだったのだ。

何故これが難儀かって?
そりゃそうだろう。連中が姿を見せる度に、我軍はストレスで体調を崩すのだ。強い偏頭痛を訴えるものもいれば、食べたものを全て吐き出してしまう者も多かった。ナルホド、これではとても戦争どころではない。それこそ”恐怖公”の”恐怖公”たる所以か。

ヴラド=ツェペシという男がいた。俺の知る歴史上に生きたその男は、捕えた捕虜を全て串刺しにし、街道に並べたという。

ふむ。確かにダメージが大きい。実際俺自身がビビって、簡単には攻められなくなってしまっている。

これは、かなり厳しい。

医師たちが到着するまでに俺ができることと言えば、たったひとつ。感情の共有だった。トリアージで付けた色の親しい者同士で情報や感情を共有しあい、言ってしまえば慰め合うのだ。それを一定期間続けることで、本来必要な精神的回復を早める効果があると聞いている。重症患者は医師に任せるしかない。聖職者の領分は聖職者に任せるのが良い。本来はグループ療法と呼ばれる手法… これを素人である俺が行うことには危険が伴う。しかも、俺自身が患者の一人なのだ。うまくいく可能性は低い。

しかし。しかしである。この世界ではPTSDに相当する概念がない。言ってしまえば、専門家がいないのだ。

故に、俺にできそうなことは積極的に行うしかない。行うしかないのだ。よく考えて。

「アーサーハイヴからの援軍は来ましたか?」
俺は絶えず聞くようにしている。何故なら、今この場で襲われると瓦解する可能性が高いからだ。一刻も早くアーサーハイヴからの援軍を警備に就け、現隊の人員を回復させることが必要だった。安心して治療に専念できる環境を作ること。それが俺に課せられた急務だった。

…ああ、頭が回らない。遠くで警報が鳴っている。無事だった兵員が目視で確認、安全が確認されたと報告が来るまで俺の感情はピリピリしていた。こんなので俺は大丈夫か?

…ああ、あの悲鳴が耳からこびりついて離れない。気分が悪い。

「…ライヴ君、準備は整った。では始めるとしよう…」
…準備? どこまで準備が進んだんです? …あれ? 声が出ないや?

「…神の神名において全てを許します。さぁ、始めましょう…」
目の前の神父らしき男は、そう言うとゆっくりと俺の目を閉じさせた。

◇     ◇     ◇     ◇

あれ?
俺は一体どうしたんだ?
俺の身体は…?
俺は瞼を開くと、キョロキョロと周囲を見渡した。まだなんだか頭がぼうっとする。
「目を… 覚ましたんだね、ライヴ君!」
「ああ、神よ!…良かった。本当に良かった…」
「シェスター、フラウ…」
「もう何時間も眠ってたんだよ。まる二日!」
「あまり自分に全てを背負い込むものではない。お前はお前にできること、すべてを出し尽くした。今はただ安め」
「でも…」
「デモもへったくれもないの!」
「これからお前は聖職者によるメンタルディスカッションを行うんだ。お前が必死に訴えていた、あの治療を行うのだよ」
フラウはニッコリと笑っていた。その目にはうっすらと涙が光っていた…。

◇     ◇     ◇     ◇

クーリッヒ=ウー=ヴァンの物語を知るものは幸福である。情の深さを知るがゆえに。だからこそ、伝えよう。彼ら勇者が残してきた、連綿たるヒトの歴史を。…皆さん、こんばんは。当番組のナビゲートを努めます、ブレンドフィア=メンションです。ご機嫌はいかがでしょうか?

さて。メッド=クラウン狂ったピエロ卿こと、アムンジェスト=マーダーの登場です。彼は数多くの物語の題材として、また、人気ゲームなどの登場人物として、彼の名を知らぬ者はいないほどの人気を誇っています。何がそれ程までに人を惹きつけるのでしょう? 彼は、同時に”恐怖公”の二つ名も持ち合わせていました。歴史上最も強い棋士ランキングでも絶えず上位にランクインするその圧倒的な強さ、彼の関わった事件全てが猟奇的かつサイコパスなその存在の特異さ。それらの全てが、彼を特徴づけるものとなり得ました。では、それ程までに強大な敵を前に、ライヴ達はどのように戦ったのでしょうか?」

「さて。私は今、スタディウム・ノーディスタンにある歴史博物館に来ています。ここには遺跡から出土した数多くの遺物が保管されています」
そう語るのは、アンスタフト=ヒストリカ教授だ。
「中でも、この時代の遺物として有名なのがここにある石版の数々です。これらに刻まれているレリーフには、アムンジェスト=マーダーに関する情報が所狭しと描かれています。故に、物語の題材としやすく、また未だに人気を誇る一人の人物として名を残しているのです。クーリッヒ=ウー=ヴァンの時代で生没年がほぼはっきりしている人物の一人であり、神鋼機兵の伝説を裏付ける人物であるともいえますね」

「その一方で、埋葬された場所が発掘されているにも関わらず、何も詳しいことがわかっていないという矛盾も、この人物の魅力につながっているのでしょう」
そう語るのは、ミンダーハイト=ギリアートン教授だ。
「スタディウム・ノーディスタンの製法にある第28号墓。ここが彼の埋葬された場所であると言われています。伝承にある通り、首がはねられ肩口にライヴ少年により穿たれたと思われる大きな傷跡が、発掘された遺骨から分かってきました。この時代の古墳の多くがそうであるように、この場所もとても保存状態の良い遺跡でした。にも関わらず、ドラグナーに関する出土品が全く発見されていないのです。この事実に私たちは愕然としました。歴史の空白期間… 約3000年前から2800年前の200年間を指して歴史の空白期間と呼ばれるのですが、不思議な事にこの空白期間には人類の歴史を思わせる遺跡らしい遺跡が全く出てこないのです。これも不思議な事なのですが、その傾向は世界各地にも言える現象でした。確かに、たった一箇所、東の果てにある島国から発掘された遺跡だけは例外的に存在します。ただし、その遺跡はそれまでの歴史に登場するような高度なものではなく、むしろ時代が逆行したような代物でありました。2800年ごろ以降の時代から出土する遺跡なども、その東の遺跡と同じ傾向にあるといえます。この200年間に何があったのか。歴史のミッシング・リンクとも呼ぶべき空白の時代抜きに、クーリッヒ=ウー=ヴァンの物語は語れないのかもしれません」

◇     ◇     ◇     ◇

「やぁ、随分と顔色が良くなってきたな。相変わらずカウンセリング、受けてるのかい?」
アジ・ダハーカの艦内通路にて。アギルが声をかけてきた。
「ああ。当初と比べたら、随分と楽になったよ」
「今回はキツかったからな…。後どれくらいかかるって?」
「今さっき、トリアージの色がランクダウンしたからさ。もう少しで戦線復帰できるかもよ」
「俺は音声だけだったからまだマシだったけどね。アレを間近でってのは堪えたろう」
「…本当はそういう蒸し返すような会話は禁じられてんだけどね」
「ああ、スマン。配慮が足りなかったな」
「いえ、いいですよ。実際に酷い現場でしたし、それに対する耐性も少しは付いてきましたから」
「…そう言ってもらえるとありがたい。なにせ、ホレ。お前の後ろで心配を隠せない面々がいるもんでな」
俺は後ろを振り向いた。シェスターとフラウと目が合った。二人は顔を真赤にすると、どこかへと消えていった。
「…な。それだけ皆、お前のことを心配してるんだよ、ライヴ。そろそろ元気な姿を見せてやっちゃくれないか」
「そうですね。オレ一人足を引っ張ってたんじゃ、面目が立たないや」
「そういうこと。さ、行ってこい!」
「はい。ありがとう、アギル!」

◇     ◇     ◇     ◇

2日が経った。そろそろ全軍を整理しないといけない。現状でトリアージランクが既に低い者をリストアップしていく。勿論、外傷は別のカテゴリーのトリアージで扱っている。アーサーハイヴからの援軍も込で、おおよその配置は7割方復帰可能だった。俺は前衛で戦えそうな者と間接攻撃なら行けそうな者とに大別した。

既にアーサーハイヴにはブラガルーン・ダシュタットからの援軍が集結している。敵もルフト・スラッシュシフを一隻失った。

あの爆発で、敵さんの多くもそれに巻き込まれていた。アムンジェスト=マーダー… 噂以上に危険な男だ。

俺はふと、アジ・ダハーカのドラグナー乗りのトリアージデータを見た。思った以上にダメージは少ない。それだけ歴戦を繰り返してきたという証か。ならば、試してみる勝ちはあるかもしれない。俺は艦内放送で主だったドラグナー乗りを集合させた。

「ヘリンは偵察任務に。マーンは… 来てないわね」
フラウが心配そうに呟く。
「で、ボク達に集合かけたってどういうこと?」
シェスターが興味深げに俺の顔を覗き込んでくる。
「ああ、実は俺に提案があるんだ。ただし、かなり危険だから、外れたい者はそう申し出てくれ」
「まぁまぁ、話を聞いてからでも遅くはないよ。さ、言ってみな」
「実は…」

◇     ◇     ◇     ◇

「斥候より連絡! ルフト・フルッツファグリッター:ハイド・ビハインドとフルッツファグ・リッター:チェルーべが敵と合流。旗艦をハイド・ビハインドにした模様!」
「アーサーハイヴにスターファを引きつけられるか、聞いてはもらえませんか?」
「やってみます」
「ライヴ君、もう調子は良いのかね?」
ローンが慌ただしい空気を読んで、ブリッジに上がってきた。
「ええ、なんとか」
「それで、今度はどのような手段に出るのかね?」
「以前やった、空挺部隊を編成しようと思います」
「ほう… あのパラグライダーかね?」
「そうです。ただでさえ制空権を握られるとかなり辛いものがあります。また、マーダーは躊躇なく旗艦をミサイルのようにぶつけてくるような男です。だから、空のエキスパートを育成します。今回必要なのは、ドラグナー空挺部隊と、騎士団による特殊工作部隊。1週間で仕上げます。…いいですか?」
「いいですかも何も、君の案にはいつも驚かされる。きっと今回も私の常識を超えるものになるのだろう。…責任は私が取る。

やってみ給え」
「感謝します。即時かかります」

俺は医療班から、生き残った騎士団の中でも前回の戦いの影響下から脱した者と、全くダメージを受けなかった者を選抜してもらった。

「で、またこの男が紛れ込んでいたんだが…」
シュタークが、またヌッツの襟首を掴んだままやってきた。
「だから言っただろう! ちゃんとこのヌケサクを教育しておけって!」
「いやいや、本当に申し訳ありません。でも、随分と慣れてきましたね?」
「…この男、いつも侵入禁止区域から入ってこようとする。捕まえるのは当然だ」
「それは…」
苦笑いするヌッツ。だがその表情はすぐにもとに戻った。笑みを浮かべているが、その瞳は笑っていない。
「シュタークさん、この人はいいんです。なにせ力強い味方ですからね。でも、よく俺があなたを必要としてるってわかったんですか?」
「そこはそれ、商売人の勘ですよ」
「樽を… フル装備した騎士や兵士が、4~5人入るような樽を14個。それから、以前作ったようなパラグライダーを7つ。できれば1週間以内に準備してもらいたい。…可能ですか?」
「納期に若干の問題があります。樽の方はなんとかなりますが… パラグライダーは…」
「できるだけ急ぎたい」
「10日でいかがでしょう?」
「わかった、10日には間に合わせて欲しい」
「ご請求は…」
「ローンさんにツケといて」
「ククク…。あなたもやり手になってきましたね」
「褒め言葉と捉えておくよ」
「では、約束通りに…」
ヌッツは俺に書簡をコッソリと渡すと、スタスタと歩いて外へ出ていった。

では、ミッション始めるか…?

◇     ◇     ◇     ◇

第一に、俺はドラグナー乗りの中でも機動性に定評のあるメンツを集めていた。そして、今までに使った空挺用のパラグライダーを演習用に出してきた。その布の塗装は、右に青・左に赤のペイントを施してみた。これは前回までの戦いから学んだ知恵である。そして俺は集合した10名のランナー乗りを前にしていた。

「いいですか? 今からあなた方は空挺部隊としての訓練を受けてもらいます」
「…空挺部隊?」
「そうです。皆さんはランダー乗りですが、そのランダーを空に飛ばします」
「ああ、フェアンレギオン砦でやった…」
「そう、アレです。ただし、あなた方にお願いするのはそれだけではありません」
「それだけじゃないって… 俺たちにできることなのか?」
「…勿論です。その為の訓練です。皆さんの教官として、アギルとフラウに当ってもらいます。いいですね?」
「ハイ!!」

第二に、普段あまり活躍のない騎士たち70名を前に、俺は集まってもらっていた。
「さて、皆さんに集まってもらったのは特殊な任務にあたってもらうためです」
「特殊な任務と言いますと?」
「皆さんには空を飛んでもらいます。勿論、操縦はドラグナー乗りが行います。あなた方にお願いするのはその後…、空の上での作戦です」
「ほほう…面白そうじゃないか」
「これから強力な風圧に負けることなく、移動するすべを身に着けてもらいます。いいですね?」
「ハイ!」

第三に、俺達だった。
「…コンビネーションプレイ?」
「ああ、そうだよフラウ。基本、ドラグナー戦は1対1という風習が未だに根強く残っている。だがそれでは貴重な戦力を永久に失いかねない。言ってる意味、わかるね?」
「ああ。今まででもお前の指示は敵1に対し複数で当たるべし… だったな」
「そうだよ、アギル。実は、今度の訓練もソレなんだ。ただし、相手はマーダー…」
「マーダー… ですって?」
フラウは驚きを隠し得ない。
「そう。実際に戦っていてわかったんだけどさ。ヤツの剣は速くて重い。剣と言うよりは、身体のすべてが全身武器だと言っても過言ではない。そんな奴に一人や二人でかかっても、倒せるわけがない。ならば、数パターンのコンビネーションプレイを覚えて、各々の連撃で攻撃、お互いをカバーしあって防御するしかないと思うんだ」
「なるほど、…俺達が一度にかかれば、或いは…」
「そうですよ、シュタークさん。やることは一杯あります。時間はありません。敵が攻め込んでこない内に、すべての準備を済ませましょう!」

◇     ◇     ◇     ◇

「…無理、してないか?」
フラウだった。俺はデッキから夕日を見上げていた、そんな折だった。
「むり? …してないしてない! 全くしてませんよ?」
「フフフ… なんだか以前のライヴに戻ったようだ。お帰り、ライヴ」
「ああ、ただいま… でいいのかな?」
「フフフ、そうね。でも、今度は危ないマネは駄目よ」
「だからこそのコンビネーションプレイなんだってば。理解できてる?」
「それは勿論。だが…」
「とにかく、面白いことになるよ。楽しみにしてて!」

俺はそう言うと、各地に帰す重症患者のことを考えていた。果たして、彼らのメンタルは元に戻せるだろうか? 一応、受けいれる自治体には、それなりのカウンセラーを配備している。敵の強行偵察に怯えなくなった今、そろそろ敵さんも動いてくるだろう。事は急を有する。なんとか一日でも早く、足並みを備えなければ…。
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