世界を作り出した貴方を破壊する簡単なお仕事です

nanao78

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3人目 内海さん

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「こんにちは」
「」
「今日はどうされました」

内海たける、19歳。
肩幅が狭い細身の男性。
返事をするという教育はどうやら受けていないようだった。

「内海さん?」
「はい」
「今日はどういったご相談でしょうか」
「相談はありません」

そうですか。
ではおかえりください。
とは言えない。

自分から何かを発しない。
周りの空気を読みすぎる。
そういった類いのものか。

「ではこちらからいくつか質問させてください」
「はい」
「今日の朝ごはんは何でしたか」
「目玉焼きと、ご飯です」
「美味しかったですか」
「いえ、別に」

方向性を変えますか。

「内海さんは普段、何をしていますか」
「ゲームです」
「どんなゲームですか」
「普通のパソコンのゲームです」
「FPSですか」
「違いますよ。あんなのと一緒にしないでください」
「失礼しました」

ニートのくせによく吠えるものだ。

(すみませんね、先生)

隣の母親が小さく呟く。
お母さん、あなたの息子さんは悪いことはしていない。
勿論いい事もしていない。
人畜無害なだけです。

「そのゲームで、内海さんは強いんですか」
「ランキングでは上位0.28%に入ってます」
「それは強いと言っていいものですね」
「普通ですよ」
「大会などは出た事はあるんですか」
「あります。日本全国大会で3位でした」

サラッと言う。
ゲームに自信はあるし、実力もある。

今の時代ならプロゲーマーとして仕事がありそうなものではあるが。

(ゲームで働くなんて、うちの子は一族の恥ですよ)

ため息。

「内海さん、すみません。ちょっと外でお待ちいただいてもいいですか?」
「分かりました」

当事者の退場。
異例の出来事である。

「お母さん」
(はい)
「私は今日内海さんと話がしたいんです」
(でもうちの子は無口なので)
「そういう意味ではないんです」

「あの、先生。今誰と話しているんですか?」

井上ひかり。
つい最近雇った助手には、内海たけるの母親が見えていない。

内海たけるの母親は、数年前に亡くなっているのだから。
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