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緑色という男
002 端末喫茶
しおりを挟む悴む寒さに耐えながら、端末喫茶への道を行く。
明かりの消えた閉店街は、若者と娼婦で溢れていた。
何度か誘いを受けるのだが、一時的な快楽に時間も金も払う気は到底ない。
「お兄さん、幸せにするよ」
「君に幸せにされるほど、落ちぶれちゃあいない」
「日本語分からないね」
「そうか。おやすみ」
濁った空気の中を歩くのは好きだった。
自分の住んでいる地域よりも濃く、深く身体の中まで浸透する淀んだもの。
それを味わうことに、喜びを感じる。
地下道に差し掛かる手前の路地を進み、現代に似合わない木製の大きな扉をゆっくりと開く。
「いらっしゃいませ。何だ、グリーンか」
「いつもの席、空いてるか」
「たまには予約の電話ぐらい入れて欲しいもんだな」
呟きはするものの、金属製のカードキーを差し出す店長とは長い付き合いだ。
「先日の旅行は何処に」
「青い海の見える島だ。最近は物騒だから、癒されるのも悪くはなかったぜ」
「酒は飲んだのか」
「飲めたもんじゃねぇよ。5杯も飲めばあの世行きするアルコールだ」
「お大事に」
キーを受け取り、ルームへと向かう。
青い海の見える島、つまりは海外からの来訪者。
人数は5人で気性が粗め、か。
予約なしってことは、新入りのチンピラか何かか。
まぁいい。
会って話せば分かる。
「失礼します。ご注文の品お持ちしました」
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