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黒子
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「井上さん、またズレてますよ」
「カツラじゃねーよ」
「じゃ、なくて」と口の横をツンとする。
正直少しトキめいた、いや、恥ずかしい。
「井上さんの黒子、毎回違う場所にあるんですよ」
「そんな話があるか」
「昨日は目尻にあったし、一昨日は額にあってインド人みたいになってました」
「インド人のは黒子じゃない。チャクラと言って神聖なものだ」
「その話、オチあります?」
日差しから逃れたビルの隙間、自分の黒子を触ってみる。
気にしたことがなかった。
というか、俺は鏡が嫌いなんだ。
「真島さ、今日の飲み会行くの?」
「え、何ですか急に。行くに決まってますよ」
「行くに決まってるのか。でも真島、酒飲めないじゃん」
真島は帽子を少し深くさげ、夏の暑さに抵抗して小声で。
「井上さんと飲むの、好きですから」
「そうか」
タバコに火をつける。
小さく吸って、濁った煙を吐き出す。
社交辞令でもいい。
勘違いでもいい。
俺は、少し幸せになった。
「井上さん、またズレてますよ」
「ほっとけ。気まぐれなんだよ」
「カツラじゃねーよ」
「じゃ、なくて」と口の横をツンとする。
正直少しトキめいた、いや、恥ずかしい。
「井上さんの黒子、毎回違う場所にあるんですよ」
「そんな話があるか」
「昨日は目尻にあったし、一昨日は額にあってインド人みたいになってました」
「インド人のは黒子じゃない。チャクラと言って神聖なものだ」
「その話、オチあります?」
日差しから逃れたビルの隙間、自分の黒子を触ってみる。
気にしたことがなかった。
というか、俺は鏡が嫌いなんだ。
「真島さ、今日の飲み会行くの?」
「え、何ですか急に。行くに決まってますよ」
「行くに決まってるのか。でも真島、酒飲めないじゃん」
真島は帽子を少し深くさげ、夏の暑さに抵抗して小声で。
「井上さんと飲むの、好きですから」
「そうか」
タバコに火をつける。
小さく吸って、濁った煙を吐き出す。
社交辞令でもいい。
勘違いでもいい。
俺は、少し幸せになった。
「井上さん、またズレてますよ」
「ほっとけ。気まぐれなんだよ」
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