俺は妹の為に悪に染まる!!

第壱談

第禄談 割って入った危ないオンナ 敗走とキツい現実

　突然現れた女性がオッサンを睨む　奇声を発する!!　
　とても擬音で表現出来ないような恐ろしい音を出す人間独りの声量を越えている　ミサゴがすかさず俺の耳を守ってくれたがそれでも聞こえる　オッサンは塞ぎながら大きく跳んで下がる　『っ……しつこい女だ…もう務所から出てきやがった…』　『オイ　そこの若いの！　付け廻される覚悟が無いなら顔を隠して早く逃げろ!!』
　状況が判らず硬直する俺とミサゴ　『コイツは重度のストーカーだ捕まると心を持って行かれるぞ！』オンナを中心的に嫌な黒いなにかが広がる…オッサン目掛け大鋏が迫る刃先をグローブで受け止めながら　ワザと駆け下がる　『なんでそう染まった？！　てめえも元ヒーローだろうが！！』
　ジジイから俺のインカムに声が入る　『その女はそこのオッサンよりヤバいぞい!!　いいから逃げろ　直ぐにじゃ!!　奴は元ナショナルピンク　現ホラーガールヘンリッタ　ヒーローから怪人に成ったうえどこの組織にも手が負えん!!ワシも救援として呼んでおらん！座標を送った今日はもうええから下がれ！』
　オッサンがヘンリッタの大鋏をまだ掴んでいるじわりと血が手につく　硬直状態からすぐにオッサンは俺達と逆方向にヘンリッタを蹴り飛ばした　奪った鋏を捨てる　蹴り飛ばされたヘンリッタの腹元から黒い気体と共にまた大鋏が出て来る　呆れるオッサン　『もう手加減しねぇぞ』掌の血を舐めながらオッサンが云う　オッサンのジャージが破れ　白い煙りが上がる　一瞬赤い光が出た後　大きなクマが現れた！　『ぐぉぉぉ』とよだれが混じった呼応が響く　監視メカからの映像にびびるジジイ開いた口のまま数秒間固まる　『奴が大勇者ダクマじゃと！　』　『生身であれ程の戦闘力も納得いったわい!!　どっちも化け物じゃ!!ええぃ折角強者の少ない場所を選んだものおナント運の無いんじゃ！全て台無しじゃ!!』ダクマに合えた事と進展させられなかった計画と気持ちが溢れ研究施設のパネルを叩くジゴロク　狂喜と運命を感じざる負えない　まるで子供のように目を輝かせながらジゴロクは笑った　
　指定された座標の近くでミサゴとの合体は解けた　白い怪人スーツの姿では出歩けない。ミサゴが俺の袖元をいじるとスーツがリクルートスーツに変わった　これで地下鉄で移動し指定ポイントに行ける…ふた駅移動し大きな駅のロッカー置き場に着いた人気の無い事を確認し壁のペイントマークに触り　上から２つ目のロッカーを押す上下全てのロッカーが動き反転する壁の向こう側に入ると空気圧で流される丸い球の中に居る　そのまま俺は意識を失った
　
　変身した大勇者ダクマとヘンリッタの闘いは終わりを向かえる　八本の鋏を破壊しやっとヘンリッタを疲弊させた両脚で立てなくなりつつあるヘンリッタ折れた鋏で支えているプルプルと身体が振るえている　ダクマも体に鋏の残骸が刺さる　ダクマの両前脚でヘンリッタを叩き伏せる　沈黙するヘンリッタ　黒い何かも断ち消える　ダクマが身体を落とし少し迂回しながら白い煙りを出す『しつこい女だな…全く』身体に刺さった鋏の欠片を引き抜く　ヘンリッタの変身も解ける　黒髪～金髪の女性に変わる充血した瞳から涙を流す『邪魔しないでよ　憎い憎い男共……男のヒーローなんて居なくなればいいのよぉぉぉ!!　』　既に解散しているが発展戦隊ナショナルマンのナショナルピンクがヘンリッタだった　当時付き合っていたナショナルレッドがイエローと浮気　別れて欲しいと頼んだが海外任務中に彼らが挙式ピンクは呼ばれず既にイエローはレッドの子を宿しており見事に振られた　　その後　色んな男ヒーローと付き合うが長続きせず怨み募らせある日怪人化した遊ばれた男への復讐行為で逮捕され実刑が科せられたが脱獄　何らかの特殊能力を持つのか刑期満了は一度も無い　ヒーロー側でも出逢ったら逃げろと支持が出てる　イレギュラーの一人
　10年近く経ち都市伝説として扱われている　かつてのナショナルレッドも既に被害でイエローとの夫婦生活も終わっている。　
　
　俺はスーツ姿のままで寝ていたミサゴも俺の胸の上で寝ている　元いた研究施設のようだが　牢じゃない　
　畳の部屋だ　押し入れとちゃぶ台がある　ジジイと婆ちゃんの部屋か…　仏壇に俺のオヤジの写真とオヤジの弟の写真が並ぶ　ミサゴを背負い光と音のする方へと進む　通信機でジジイと他の怪人達が話す　アクアプルトンとギルティショック　エクスオーガス　ハイデモニウス　四大悪の組織とサエジマジゴロク博士が話している。　
　
　
　ジジイのせいで危うく人生の終わりを迎えそうに成った恨みを込め後ろからジジイを蹴る!!　『やってくれたな！クソジジイ!!　』ジゴロク博士に蹴りが当たる寸前で俺は吹っ飛ぶ何かに弾かれたのだ……　
　
　『トオルよ……お前は上手く逃げおうせたつもりかもしれんが　残念じゃのう……』　ジゴロク博士がトオルを哀しそうに見る　中央モニターの画面がTV報道に変わる　バダールオーギャン事サエジマトオル容疑者と俺の個人情報がだだ漏れている…今までジジイとの揉め事は何度とあったがここまではしなかった…完全に実社会での俺の生活は終わった…　『トオルよお前の人間としての人生は終わったのじゃ　』　『もうミサゴには手を出さん代わりに貴様に働いて貰うぞ　手始めに貴様はギルティショックに出向じゃきりきり働いてもらうぞ！』