無能と呼ばれた魔術師の成り上がり！！

魔法学園グリモアール編

スライム撃破！

彼女に任せようとしていた俺はスライムの方を見ると、姿形が変化し、まるで触手のようなものを形成していた。

「まだ形状変化とかすんのかよ……」

「予想以上に厄介な相手ですね」

「そうだな……何か弱点になるものでもあれば……」

二人でどう倒すか相談していたが、無論相手が待ってくれるはずもなく、巨大スライムの触手が俺たちを襲う。

「クソッ！こいつめんどくさいぞ！」

「動きが普通のスライムより速い上にこちらの行動に気づいたりとやりにくいです」

そうなんだよな。この巨大スライムは普通のスライムより速い動きで攻撃してくるから、こっちもその攻撃を凌ぐので精一杯になる。
いっそ、こいつの動きが止まっていればいいのに……

「おい！どうにかしてこいつの動きを封じてくれ！その間に神器を魔法で造って終わらせる」

「動きを封じる………ハッ！その手がありました！」

俺の言葉に何か思い付いたミルラ王女は魔法の詠唱を始めた。

「《コキュートス》」

ミルラ王女の放った魔法は地面から凍り始めて、巨大スライムへと一直線に向かって行く。
巨大スライムは避けようと横に逃げるが、ミルラ王女の放った魔法の範囲が通常より広かったためか直撃し足元から凍る。
身動きがとれなくなった巨大スライムは抜けようと動いているが完全に凍りついているため、なかなか出れない。

「よくやった！あとは任せろ！《クリエイト、ゲイ・ボルグ！》」

ゲイ・ボルグはかつてクーフーリンの使っていた必殺必中の槍と言われている。
刺された相手は必ず死ぬという神器だ。

魔法陣から出てきたゲイ・ボルグを手に取り、俺は巨大スライムめがけてゲイ・ボルを投擲した。

《投槍レベルMAX発動！》

俺の放ったゲイ・ボルグは巨大スライムめがけて一直線へと飛んでいき、貫通していく。
ゲイ・ボルグが貫通した巨大スライムは苦しみ出したが、やがて動かなくなり倒れた。

「……ハァ………ハァ、やっと倒したのか？」

「…………みたいですね」

「ハアー、よかったー」

俺は緊張が解けてその場に座り込んでしまった。
今までで一番きつかった戦いだったかもしれない。いや、確実に一番きつかった戦いだった。もう二度とこんな敵と戦いたくないと胸に刻み、立ち上がり倒した巨大スライムへと近づく。

「討伐した証みたいなの取ったか？」

「ええ、取りましたよ。お兄ちゃん。それよりも大丈夫ですか？きつそうに見えますが………」

「ん？あ、ああ。実際今回の戦いはめちゃくちゃ魔力と体力使ったからな。そりゃ人間やめた存在であっても疲れるさ………」

そんな感じで二人でフラフラしながら、冒険者ギルドに行くと受付の人にめちゃくちゃ心配された。

「だ、大丈夫ですか！？やっぱり今回のクエストはまだ早かったですか！？」

おお、出ていくときは凄く冷静に見えていたけど、実際のこの人は優しいのだなと感じていた。

「いえ、クエストはクリアできたんですけど……」

「それまでがきつかったんですよ……」

「「ハハハッ…………ハァ」」

「お、お疲れ様でした。とりあえず、これでクエストクリアです。ありがとうございました。今回の討伐報酬として銀貨10枚と銅貨20枚になります」

俺たちはクエストの報酬を受けとると、もうすぐ寮の門限が迫っていたため全力で移動した。二人とも同じ部屋につき倒れるように眠ってしまった。