2 / 24
エリュシオン学園入学編
始まりの旋律
しおりを挟む
空は高く澄みわたり、春の風が花びらを運んでいた。
入学式が行われる講堂の壇上。緊張と期待に満ちた新入生(主に思春期真っ盛りの男子生徒)たちの視線を受けながら、ひとりの少女が姿勢よく、緊張の面持ちで立っていた。
少女の名は――フィリア・ノート。
魔法学園エリュシオンの新入生。
その身なりはどこか田舎の風を残しており、制服の着こなしもぎこちない。(成長を見越して少しブカブカだし)
しかしその容姿はそんな高揚した新入生達の視線を惹き寄せていた。
柔らかなピンクブロンドの髪が風に踊り、無垢な水色の瞳。
更に特筆するべきは、彼女の生まれ持った“気配”だった。
まるで、音が抜け落ちた楽譜のように。
言葉にできない“何か”が、彼女から聴こえていた。
____________________________________
司会の教師が言葉を噛み、式典の厳かな空気が妙に静まり返った瞬間。
彼女は、小さく息を吸い――そして、歌い始めた。
フィリア「……ふふっ、なんだこれ……口が勝手に…!」
本人すら驚いたように、ぽつりと呟いた。だが、その歌声には確かに旋律が宿っていた。
それはどこか懐かしく、悲しく、優しい旋律だった。
司会教師「そこ!勝手に歌わないように!校歌はそれじゃあない!
…あぁ…これだから分けましょうとアレほど進言したのに…!」
入学式に参列していた生徒や教師たちは「妙な子だ」「変な奴がいる」とざわめき始めたが、彼女は気づかないようだった。
ただ、ぼぅっと窓から西の方角を見つめ、無意識に歌い続けていた。
フィリア『♪~♬ la la~☆』
旋律は確かに風に載り、
《魔法の書庫》にて一冊の本が色づいた。
学園の西棟、誰も寄りつかない古い図書室。
埃を被った本棚の中にあった、一冊の本が――淡く、色彩を取り戻し始めた。それは少年の瞳にも伝播して…
それは今は誰も気づかない"記憶"
_______________________________________
_入学式後_
教室でのホームルーム、入寮手続きの為、あっちに行ってくれ、こちらでは貴方の対応は出来ない…等、役所かよ…と、
少年は辟易とした気持ちを抱きながら次の目的地へと歩を進めていた。
そんな彼にはいつも抱えている“違和感”があった。
世界がどこか灰色がかって見えること。
何かを忘れている気がすること。
眼科医「リオ君は色弱ですわ~、残念です。そりゃ楽譜はマトモに詠めませんわなあーwww、アタマもスカスカみたいですし、何を教えても右から左に抜けが良い!入出力がバグっとりますな。
本当に旦那様と血縁あります? とくに!目の色!こんな色になりますかね~?www」
お抱えのヤブは事あるごとにチクチク言ってきやがったな…
_______________________________________
そんな少年が世界に違和感を覚えたのは、フィリアが入学式で歌い(やらかし始めた)始めた頃だった。
名を――リオ・???
灰色の瞳に、無造作な黒髪。
彼にとっての世界は生まれてからずっとモノクロだった。
(瞳が灰色なのが原因でしょうなーww)
「あのヤブ医者から距離が取れたのは救いだな…」
制服.容姿も全てが平均的。
目立つ要素はやけに立派な杖持ちなことぐらいか。
リオ
「同期で変わった奴がいるんだな…」
そんな違和感を抱いたのは当然か。
入学してくる生徒は、将来は執政官、官僚や裁判官、悪くとも大企業から引くて数多。出世するのが当たり前の、エリートばかりだからだ。
(あの歌ってる女の子、確実にFクラスなんだろうな)
リオ
「容姿で選ばれたってところだよなーきっと」
今まで少年が参加を強制された式典や王侯貴族での晩餐会、芸能人やインフルエンサーの馬鹿騒ぎでは見かけた事は無い…という事は平民、庶民の出自…にも関わらず見目麗しい…最低でもモデル・タレントに落ち着けるだろうから…と入学が許可されたってとこだな。と少年は勝手に納得していた。
Fクラスは、エリュシオン学園の良心と云われるクラスで慈善事業として一定数の生徒を募る事が稀にあった。
リオ(まあ俺には関係がないな…)
入学式が行われる講堂の壇上。緊張と期待に満ちた新入生(主に思春期真っ盛りの男子生徒)たちの視線を受けながら、ひとりの少女が姿勢よく、緊張の面持ちで立っていた。
少女の名は――フィリア・ノート。
魔法学園エリュシオンの新入生。
その身なりはどこか田舎の風を残しており、制服の着こなしもぎこちない。(成長を見越して少しブカブカだし)
しかしその容姿はそんな高揚した新入生達の視線を惹き寄せていた。
柔らかなピンクブロンドの髪が風に踊り、無垢な水色の瞳。
更に特筆するべきは、彼女の生まれ持った“気配”だった。
まるで、音が抜け落ちた楽譜のように。
言葉にできない“何か”が、彼女から聴こえていた。
____________________________________
司会の教師が言葉を噛み、式典の厳かな空気が妙に静まり返った瞬間。
彼女は、小さく息を吸い――そして、歌い始めた。
フィリア「……ふふっ、なんだこれ……口が勝手に…!」
本人すら驚いたように、ぽつりと呟いた。だが、その歌声には確かに旋律が宿っていた。
それはどこか懐かしく、悲しく、優しい旋律だった。
司会教師「そこ!勝手に歌わないように!校歌はそれじゃあない!
…あぁ…これだから分けましょうとアレほど進言したのに…!」
入学式に参列していた生徒や教師たちは「妙な子だ」「変な奴がいる」とざわめき始めたが、彼女は気づかないようだった。
ただ、ぼぅっと窓から西の方角を見つめ、無意識に歌い続けていた。
フィリア『♪~♬ la la~☆』
旋律は確かに風に載り、
《魔法の書庫》にて一冊の本が色づいた。
学園の西棟、誰も寄りつかない古い図書室。
埃を被った本棚の中にあった、一冊の本が――淡く、色彩を取り戻し始めた。それは少年の瞳にも伝播して…
それは今は誰も気づかない"記憶"
_______________________________________
_入学式後_
教室でのホームルーム、入寮手続きの為、あっちに行ってくれ、こちらでは貴方の対応は出来ない…等、役所かよ…と、
少年は辟易とした気持ちを抱きながら次の目的地へと歩を進めていた。
そんな彼にはいつも抱えている“違和感”があった。
世界がどこか灰色がかって見えること。
何かを忘れている気がすること。
眼科医「リオ君は色弱ですわ~、残念です。そりゃ楽譜はマトモに詠めませんわなあーwww、アタマもスカスカみたいですし、何を教えても右から左に抜けが良い!入出力がバグっとりますな。
本当に旦那様と血縁あります? とくに!目の色!こんな色になりますかね~?www」
お抱えのヤブは事あるごとにチクチク言ってきやがったな…
_______________________________________
そんな少年が世界に違和感を覚えたのは、フィリアが入学式で歌い(やらかし始めた)始めた頃だった。
名を――リオ・???
灰色の瞳に、無造作な黒髪。
彼にとっての世界は生まれてからずっとモノクロだった。
(瞳が灰色なのが原因でしょうなーww)
「あのヤブ医者から距離が取れたのは救いだな…」
制服.容姿も全てが平均的。
目立つ要素はやけに立派な杖持ちなことぐらいか。
リオ
「同期で変わった奴がいるんだな…」
そんな違和感を抱いたのは当然か。
入学してくる生徒は、将来は執政官、官僚や裁判官、悪くとも大企業から引くて数多。出世するのが当たり前の、エリートばかりだからだ。
(あの歌ってる女の子、確実にFクラスなんだろうな)
リオ
「容姿で選ばれたってところだよなーきっと」
今まで少年が参加を強制された式典や王侯貴族での晩餐会、芸能人やインフルエンサーの馬鹿騒ぎでは見かけた事は無い…という事は平民、庶民の出自…にも関わらず見目麗しい…最低でもモデル・タレントに落ち着けるだろうから…と入学が許可されたってとこだな。と少年は勝手に納得していた。
Fクラスは、エリュシオン学園の良心と云われるクラスで慈善事業として一定数の生徒を募る事が稀にあった。
リオ(まあ俺には関係がないな…)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
