"色褪せた図書室と歌姫" 〜挙動不審な歌姫と創造主様な大魔法使い(元ラスボス候補)は世界の記憶を取り戻します!?

leviathan

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魔法の書庫【第一階層】幻影の亡国姫

〜亡国姫は高らかに歌う〜亡国の旋律は夢に続く調べかな

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フィリアの耳朶には旋律が…草花の歌が遥かな遠くで流れていた。
いつの時代だったのか、果たしてそれは現実か、自分という存在は…
…セレナ…?フィリア…?

音と理、歌と数式が呼応し、それは旋律となり、
世界はもう一度、選び直される。

__________________________________

リオ「フィリアが覚悟を決めたぞ!アレクト、ここが踏ん張り所だ!」

アレクト「わかりましたよ!どうなろうと付き合いますよ…!」

リオ「とにかくフィリアが歌詞を読み解くまで時間を稼ぐ!」

ーーー演算術式、展開…!
リオ「セレクト…オーダー…!」

ただただ、世界は静かだった…

燃え盛る空の残滓も、砕け散るガラスの草花も、
全ては彼には届いていなかった。

リオは、ただ静かに、
**術式空間オーダーフレーム**の構築を始めていた。

『光律の波動、万象に告げよ──』
『この手が示すは、調和の方程式』
『世界よ、遍くものの安寧を描け』

『滅びの咆哮を鎮めよ、星辰の揺籃』
『七因の螺旋、反転せし時の門』
『運命の数値、今ここに修正せよ』

『我は記録する者、我は紡ぎなおす者』
『ただ一人のために、ただ全てのために』
『犠牲なき選択を、理に叛いて求める』

『失われた涙の方程式』
『願いと誓いが交差する座標軸』
『選べ──未来に、誰を連れてゆくか』

『詠唱拒否』
『構文矛盾──感情干渉──強制演算』
『全魔術式、詩的拡張プロトコルにより否定』

『世界は歌う、けれど声を持たない』
『だから我は、選ぶ──その沈黙を破る一撃を』

『最適解拒否』
『選択肢:喪失・犠牲・分断』
『再計算──最終定義:“選べない者こそ、選ばねばならぬ”』



アレクトは──息をのんだ。

その姿は、まるで神代の魔術師王。
理と情、希望と絶望の狭間に立ち、あらゆる可能性を呑み込みながら、
それでも“最も困難な一手”を選ぶ男の背中だった。



「始原因子、開示。
光子位相、律動数式に同期。
詠唱──要らない。言葉では、追いつかない」

リオの周囲に、詠唱を破棄された術式環が幾重にも浮かび上がる。



銀の文字列、紅の記号、蒼の因果線。
無数の魔術記号が、空間上で詩のように踊り始める。



アレクトの記憶には、古い時間が蘇る。

それは太古、魔法文明がまだ歌と祈りだった時代。
“あの方”は、いつもそうだった。
誰よりも不器用で、誰よりも人を想い、
“自らが傷つく魔法”を選ぶ人だった。



「術式展開──演算…完了…!」

リオの瞳が、緋に染まった。

それは怒りでも、狂気でもない。
静かなる誓い。理の臨界を越えた、“選択の意志”。



術式は名を得る。

『選択演算式・セレクト=オーダー』
“あらゆる因果の中から、最も多くを救う道を一つ、選べ”



そして、世界が応えた。
空間が収束し、リュミエール王女の動きをもが、静止した…。
未来の可能性が圧縮されていく。

その代償は、リオ“自らの未来”の断片。

アレクト(内心):「……まただ。この方は……また、自分だけが苦しむ道を……!」

涙は流れない。記録体に涙腺はない。
けれど、その記憶核は震えていた。

リオ「仕事はキッチリしてやったぞ!フィリア…!頼んだぞ…」
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