"色褪せた図書室と歌姫" 〜挙動不審な歌姫と創造主様な大魔法使い(元ラスボス候補)は世界の記憶を取り戻します!?

leviathan

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魔法の書庫【第二階層】

風雲!イレーヌ・アストリア急襲!

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謁見の間を外部干渉より拒絶していた三重の魔術結界が砕け散り、重厚な扉が勢いよく開かれた。

謁見の間に居並ぶ重臣たちがざわめく中―
衝撃に即座に反応したのは、やはり魔術師団団長であった。

ジグムント(あー。三重でも足りないのか…)
しかし不思議な事に侵入者を征伐しようという気概は見受けられない。

そんな混乱の坩堝へと、魔術結界の欠片を押し除け、風を伴いながら、絢爛たるドレスの裾を翻し、堂々と歩を進めるひとりの女性。

???
「ヴァルディオス! な・ぜ・私に嘘をついたのですか!!
 リオたちの到着時間、違ってたじゃないのッ!!」

その声、容姿、立ち振る舞いに覚えのある。
そして、最も声を上げるべき存在は――黙したままだった。

玉座のヴァルディオス王である。

他の重臣達は顔が青ざめ、セレスタリア侯爵は後退りし、リオは頭を抱えた。フィリアはポカンとした表情を浮かべ、カグヤに至っては完全に思考停止してしまっている。

リオ(絶句)
「最悪だ…いや、最高のタイミング…か…?」

そんなリオの小さな呟きを聞き取ったフィリアがリオの顔を見つめた。

???
「あなたが……フィリア・ノートね……!」

フィリアは名前を呼ばれ、雷に撃たれた様に突入してきた女性へと視線が固定された。
その女性は稲光のような速さでフィリアの前へとやってきて…

???
「ふふ……やっぱり!可愛いわね!好きっ!!」
の言葉と共にフィリアは謎の女性に抱き締められてしまった。

フィリア(ふぇえっ!???!誰なんだろう…!?あっ!!とっても良い匂いがする…優しい人の匂いだ…)

突然、抱き締められたフィリアであったが、謎の女性の絶大な包容力の前にすっかり肩の力が抜けていた。

???(フィリアを抱き締めたまま、王に振り返る)
その女性の視線は多分に怒気を含んでおり…

「ねぇ、ヴァルディオス? あなた本当に、どうしてこんな大事な場面で、私を外したのかしら?」

ヴァルディオス王(目を伏せ、静かに)
「……お前が来ると、場が崩れるのは分かっていたからだ」

???(食い気味に)
「崩したのはそちらではなくて! ?いい歳した大人が子供達を囲んで!どうせ親父臭い説教でもしていたんでしょう!?一体何を考えてるの!!?」

ヴァルディオス王(額に手を当て疲れた様子を見せる)
「国の…世界の安寧、子らの未来を考えておる…」

???(驚くフィリアの髪を丁寧に撫でながら)
「だったら!!せめて私に黙ってるのはやめなさい!? 迎えの時間も、全部嘘ついて……あなた、私を敵に回す気!?」

ヴァルディオス(ジグムントへと視線のみで結界が破られた事を非難している)
「……“敵に回したら怖い妻”には、なるべく嘘をつくのが平和の秘訣だと、我が盟友ジグムントも言っていた」

ジグムント(小声)
「言っていない…私は一度も、そんなことは言ってないぞ……」

???(ジグムントへと一瞬視線を向ける)
「へぇ…後でゆっくりとお話しを聞かせて下さる?魔術師団長さん?」

ジグムント(俺の人生もここまでか…最期は戦場だと思っていたが…)
「…承知致しました。王妃様…」

リオ(フィリアの件が有耶無耶になって良い展開だけど…誰がどうやって止めるんだ…?)

カグヤ(王妃様…なんというか…凄まじいわね…)

フィリア(未だに謎の女性に抱き締められており、ふわふわした声で)
「あのぅ……王妃様…?ってリオのお母さんなんですか……?」

???(ぱぁっと微笑みながら)
「はっ!私ったら名乗りもせずに…恥ずかしいところを見せちゃったわね。」
「そうよ!私が―リオの母…イレーヌ・アストリアです!」
「あなた本当に可愛いわね!思わず抱き締めちゃったけど、後悔はしてないわ!」

フィリア(まだ抱きしめられたまま)
「わああ……なんか、すごい……!あったかい…です…!」

イレーヌ(大事なぬいぐるみを抱く少女のように)
「フィリアちゃんは"歌"が凄く上手みたいね!?」

リオ(よし!このまま母上に助けて貰おう…!)
「母上、ただいま戻りました。フィリアは先程までこちらで歌っておりましたよ?」

イレーヌ(ヴァルディオスへと鬼の形相を向ける)
「そう…私はそんな大事な場面を"外された"訳なのね…」

ヴァルディオス王(はぁ…ここから体制を整えるのは無理…だな…。段取りも何もかも吹き飛ばしおって…)

ヴァルディオス王
(視線のみで侍従長へと合図する)

侍従長(一歩進み出て、深く一礼)
「――それでは、予定の時刻となりました。
 これにて本日の謁見は終了とさせて頂きます。
 アストリア王国国王、ヴァルディオス・アストリア陛下が、ご退出されます」

居並ぶ重臣達が臣下の礼を取り、ヴァルディオス王は退出していく。

リオ(母上に感謝だな…この場はなんとかなったけど…はぁ…)

イレーヌ
「待ちなさい!ヴァルディオス!!予定なんて無いでしょうっ!!話はまだ終わっていないのよ!」

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【アストリア王国最強最終絶対破壊兵器】
イレーヌ砲が炸裂しクリティカルヒット。
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