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第5話
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その言葉に王子は厳しい表情をした。
「へえ……婚約者選びの際は王子に畏まるべきではないとされるが、今のはあまりにも不敬ではないかい……? それに僕の婚約者を地下牢に閉じ込めるだって……?」
今まで笑顔を絶やさなった王子が睨むと、親子はたじろいだ。
「し、しかしウォレス様はあまりに失礼です!」
「そ、そうですわ! 私達を馬鹿にしています!」
「……馬鹿にしている? それは君達の方だろう?」
そしてウォレスはマルチナに近寄ると、その耳元の髪を上げた。マルチナの耳全体が明らかになり、その耳穴に宝石が埋まっているのが見える。それは魔石を使った魔道通信機で、遠隔地からの音声を届ける仕組みであった。
「ふむ、試験の最中に魔道通信機を付けているとはね?」
次の瞬間、マルチナがウォレスの手を叩いて髪を下ろした。
そのまま伯爵に駆け寄ると、涙目でわなわな震える。
「ウォ、ウォレス様が私に乱暴を……!」
「おいッ! いかに王子と言えど、許されないぞッ!」
まるでウォレスが悪いと言うように親子は非難する。
それは明らかに不正を誤魔化すためであった。
「はあ、君達親子はどこまで愚かなんだい? マルチナはマナー試験と口頭試問で不正を行っていたね。しかもその答えを教えていたのはアデルだ。この件については家に潜ませていた者が証人になってくれる」
「何ですって……!? この家にスパイが……!?」
「どいうことだ……!? あんまりだぞ……!?」
親子はウォレスに食ってかかる。
すると彼は手を上げ、従者に指示した。
「伯爵とマルチナを拘束しろ。二人は婚約者選びを妨害した犯罪者だ」
「いっ、いやあああッ! やめてッ! 離してッ!」
「やめろおッ! こんな横暴が通ると思っているのかッ!」
「へえ……婚約者選びの際は王子に畏まるべきではないとされるが、今のはあまりにも不敬ではないかい……? それに僕の婚約者を地下牢に閉じ込めるだって……?」
今まで笑顔を絶やさなった王子が睨むと、親子はたじろいだ。
「し、しかしウォレス様はあまりに失礼です!」
「そ、そうですわ! 私達を馬鹿にしています!」
「……馬鹿にしている? それは君達の方だろう?」
そしてウォレスはマルチナに近寄ると、その耳元の髪を上げた。マルチナの耳全体が明らかになり、その耳穴に宝石が埋まっているのが見える。それは魔石を使った魔道通信機で、遠隔地からの音声を届ける仕組みであった。
「ふむ、試験の最中に魔道通信機を付けているとはね?」
次の瞬間、マルチナがウォレスの手を叩いて髪を下ろした。
そのまま伯爵に駆け寄ると、涙目でわなわな震える。
「ウォ、ウォレス様が私に乱暴を……!」
「おいッ! いかに王子と言えど、許されないぞッ!」
まるでウォレスが悪いと言うように親子は非難する。
それは明らかに不正を誤魔化すためであった。
「はあ、君達親子はどこまで愚かなんだい? マルチナはマナー試験と口頭試問で不正を行っていたね。しかもその答えを教えていたのはアデルだ。この件については家に潜ませていた者が証人になってくれる」
「何ですって……!? この家にスパイが……!?」
「どいうことだ……!? あんまりだぞ……!?」
親子はウォレスに食ってかかる。
すると彼は手を上げ、従者に指示した。
「伯爵とマルチナを拘束しろ。二人は婚約者選びを妨害した犯罪者だ」
「いっ、いやあああッ! やめてッ! 離してッ!」
「やめろおッ! こんな横暴が通ると思っているのかッ!」
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