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第6話
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伯爵とマルチナは暴れるが、すぐに後ろ手に縛られる。王子による婚約者選びは国の大事な伝統である。それを汚した者は重く罰せられるのが決まりである。やがて親子は床に跪かされると、ウォレスを見上げた。
「どうして……! どうしてアデルなのよ……!?」
「そうだ……! あんな平民女が選ばれる理由はない……!」
「アデルが平民? 伯爵、あなたは本気でそう言っているのか?」
ウォレスは椅子に腰かけると、冷たく親子を見下ろした。
「アデルは平民ではない。伯爵、あなたの妹の娘――つまり姪だろう?」
「ち、違うッ! 私の姪は賊に襲われ、家族ごと死んだッ!」
「ナハルネック公爵家襲撃事件のことだね?」
「そうだッ! アデルは何の関係もない平民だッ!」
そう叫ぶ伯爵にウォレスは告げた。
「残念だったね、伯爵。この間、ついに賊が捕まったよ。その連中は口を揃えてアバルティエ伯爵に頼まれてナハルネック公爵家を襲ったと白状した。さらには娘をひとり取り逃がしたとも言っていた。あなたは昔から妹を虐げており、その妹が公爵家に嫁いだことをずっと根に持っていたようだね。まあ、同機は何であれ、あなたの未来は決定している――死罪だ」
「は? は……――」
「それと生き残りであるアデルを侍女の身分に落とし、虐げてきたね? マルチナは父の悪事を全て知った上で、アデルを虐待して利用してきた。この罪は死罪にまでは届かないが、重い罪として君に伸しかかるだろう」
「う、嘘……そんな……――」
その言葉に伯爵とマルチナは狼狽える。しかし従者がその体を引いて連れていこうとすると、親子は大騒ぎした。アデルはそんな様子を無言と無表情のままで、じっと眺めていた。ウォレスはそんな彼女を悲し気な目で見るのだった。
「どうして……! どうしてアデルなのよ……!?」
「そうだ……! あんな平民女が選ばれる理由はない……!」
「アデルが平民? 伯爵、あなたは本気でそう言っているのか?」
ウォレスは椅子に腰かけると、冷たく親子を見下ろした。
「アデルは平民ではない。伯爵、あなたの妹の娘――つまり姪だろう?」
「ち、違うッ! 私の姪は賊に襲われ、家族ごと死んだッ!」
「ナハルネック公爵家襲撃事件のことだね?」
「そうだッ! アデルは何の関係もない平民だッ!」
そう叫ぶ伯爵にウォレスは告げた。
「残念だったね、伯爵。この間、ついに賊が捕まったよ。その連中は口を揃えてアバルティエ伯爵に頼まれてナハルネック公爵家を襲ったと白状した。さらには娘をひとり取り逃がしたとも言っていた。あなたは昔から妹を虐げており、その妹が公爵家に嫁いだことをずっと根に持っていたようだね。まあ、同機は何であれ、あなたの未来は決定している――死罪だ」
「は? は……――」
「それと生き残りであるアデルを侍女の身分に落とし、虐げてきたね? マルチナは父の悪事を全て知った上で、アデルを虐待して利用してきた。この罪は死罪にまでは届かないが、重い罪として君に伸しかかるだろう」
「う、嘘……そんな……――」
その言葉に伯爵とマルチナは狼狽える。しかし従者がその体を引いて連れていこうとすると、親子は大騒ぎした。アデルはそんな様子を無言と無表情のままで、じっと眺めていた。ウォレスはそんな彼女を悲し気な目で見るのだった。
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